京福電気鉄道

京福電気鉄道とは、京都府京都市中京区壬生賀陽御所町3丁目に本社を構える鉄道事業者である。
京阪電鉄グループの傘下企業である(京阪が京福の約40％を保有する筆頭株主)。

概要

京福電鉄は太平洋戦争直前の1941年、これまで京都市内で鉄軌道事業および電力事業を行っていた「京都電燈」が解散するのに伴い、その鉄軌道事業の受け皿を担う企業として1942年3月設立された。

『京福』の名の由来は、京都電燈が設立した「京福送電線」である。当時の福井では昼間、京都では夜間の電力需要が多かったことから、京都・福井の電力の融通を行うために設けられたものである。
京都と福井を結ぶ鉄道路線を敷設する計画があったわけでは無い。

京都における現存する唯一の路面電車であり、『嵐電』は嵐山本線・北野線の公式愛称である（またの名称を、「嵐山線」）。

かつては京都市内で叡山本線・鞍馬線を、福井県内で越前本線・永平寺線・三国芦原線を保有していたが、
1986年に叡山本線・鞍馬線は叡山電鉄に分離譲渡、2003年に福井県内路線はえちぜん鉄道に分離譲渡し福井県内からの鉄道事業からは撤退した。
ただし福井県内のバス事業に関しては現在も「京福バス」として運行が行われている。

現存する路線

一部（嵐山本線の西大路三条駅～山ノ内駅間前後、嵐電天神川駅～蚕ノ社駅間、及び太秦広隆寺駅付近）が併用軌道となっている。それ以外は全て専用軌道となっている。嵐山本線は全区間複線、北野線は全区間単線となっている。

嵐山本線

駅番号	駅名	営業キロ（駅間）	接続路線・周辺施設
A1	四条大宮駅	0.0	■阪急電鉄：京都本線大宮駅（HK-84） ○京福電気鉄道本社 ○中京警察署　○京都市バス壬生操車場
A3	西院駅（さい）	1.4(1.4)	■阪急電鉄：京都本線西院駅（さいいん：HK-83） ○京福電鉄西院車庫
A4	西大路三条駅	2.0(0.6)	○島津製作所本社・工場
A5	山ノ内駅	2.8(0.8)	○京都ファミリー
A6	嵐電天神川駅	3.7(0.9)	■京都市営地下鉄東西線（太秦天神川駅T17） ○サンサ右京(右京区役所・京都市交通局本庁舎等) ○京都学園大学右京キャンパス ○三菱自動車工業京都工場・京都研究所
A7	蚕ノ社駅	3.9(0.2)	○木嶋坐天照御魂神社（蚕ノ社）　○天塚古墳
A8	太秦広隆寺駅	4.4(0.5)	○広隆寺 ○東映太秦映画村（正面口）・東映京都撮影所 ○右京警察署
A9	帷子ノ辻駅	5.2(0.8)	■京福電鉄北野線（北野白梅町方面：B1）
A10	有栖川駅	5.7(0.5)	○京都バス本社（嵐山車庫）
A11	車折神社駅	6.2(0.5)	○車折神社（芸能の神様） ○京都嵯峨芸術大学
A12	鹿王院駅	6.5(0.3)	○鹿王院
A13	嵐電嵯峨駅	6.9(0.4)
A14	嵐山駅	7.2(0.3)	○渡月橋　○天龍寺 ○嵐山モンキーパーク　○京都嵐山美空ひばり座

A2が欠番なのは将来に新駅設置を予定しているが、現在具体的な計画が立っていない。

基本的に全線通しで運行。一部、西院車庫での出入庫をかねての始発・止り列車がある。

北野線

駅番号	駅名	営業キロ（駅間）	接続路線・周辺施設
A8	帷子ノ辻駅	0.0	■京福電鉄（嵐電）嵐山本線A9
B1	撮影所前駅	0.3(0.3)	■JR嵯峨野線太秦駅（JR-E07） ○東映京都撮影所 ○東映太秦映画村（撮影所口）
B2	常盤駅	0.9(0.6)	○京都市立嵯峨野高校
B3	鳴滝駅	1.2(0.3)	○オムロン創業記念館
B4	宇多野駅	1.7(0.5)	○福王子神社
B5	御室仁和寺駅	2.1(0.4)	○仁和寺
B6	妙心寺駅	2.5(0.4)	○妙心寺
B7	龍安寺駅	2.9(0.4)	○龍安寺　○立命館大学衣笠キャンパス
B8	等持院・立命館大学衣笠キャンパス駅	3.1(0.2)	○等持院 ※日本一長い駅名
B9	北野白梅町駅	3.8(0.7)	○イズミヤ白梅町店　○北野天満宮　○大将軍八神社

　基本的に線内折り返し運転。早朝に出庫に伴い、西院駅発北野白梅町行き列車が存在する。

※かつて（昭和33年まで）は、北野白梅町駅から先に北野天満宮前の北野駅まで併用軌道が伸びており、京都市電が今出川線を開通させるために線路を譲って現在の路線となった。

車両

車両はモボ21形やコラボ塗装を除いて、紫1色（京紫色と呼ばれる）にほぼ統一されている。
かつては、上半分がベージュ色、下半分が緑色が一般色であった。

スタイルとしては、低床ボギー車の路面電車タイプであるが、一部を除いて全ての駅が専用ホームであり、例外の駅でも安全地帯が高めに作られているため、ステップは設けられていない。連結運転を行うために、戦前から当時の路面電車タイプとしては珍しかった間接自動制御（制御装置を床下に置いて、自動ノッチ進段がおこなえる）が全車に導入されており、ク201形というこれまた路面電車としては異色の制御車が存在した。昔は連結運転を行うためのジャンパ栓が付くという路面電車としては異色の機構が設けられていたが、現在は電気連結器の導入で無くなっている。現在もモボ101形、301形の前面真ん中にその取付台の名残がある。

モボ101形

101～106号車の6両が在籍する。元は、1929年（昭和4年）に製造されたモボ101形であり、1975年（昭和50年）に下記のモボ301形と同様の車体に置き換えられた。なお、嵐電では多くの車両が下回りを流用した車体新製車であるが、この形式のみ車体更新車として扱われ、タネ車の番号を受け継いでいる。

105号車は嵐電パトトレインとして活躍している。

モボ301形

嵐電で現存する最古参の1971年（昭和46年）製車両。301、302号車の2両が製造された。

2007年に2両とも休車にされていたが、301号車は2008年に見事に現役復帰した。302号は2011年に廃車となっている。
嵐電では1975年までポール集電を行っていたので、トロリーバスを除いてはポール集電仕様の最後の新製車という珍しい存在でもある。

モボ501形

東京都電（7000形）をオマージュして作られた車両で、嵐電初の新製冷房車。501～504号車の4両が製造された。

後乗り前降りで前後扉が主流の嵐電の中で、ワンマン運行の利便性と都電のオマージュを追求して乗車扉を中扉にしたのが仇となり、なかなか運用に入らなくなってしまった不遇な子。モボ2001形の登場による置き換えにより503と504の2両が廃車となり、その後は501号車（オリジナル色）と502号車（旧一般色）の2両のみ在籍することになった。それからもラッシュ時の増結用ぐらいでしか使用されておらず、持て余し気味になっている。1万円ちょっとで貸切できるので、積極的に貸し切ってあげて下さい。などと書かれるぐらい不遇な存在だったが、2016年10月に、他車と仕様を合わせる扉の移設を含めたリニューアルが行われ、めでたく普通に運用に入れるようになった。

モボ611・621・631形（600形シリーズ）

モボ111・121形、ク201形の機器を流用して作られ「新・嵐電スタイル」として登場した、嵐電の現在の主力ともいえる車両である。

モボ611形は611～616の6両、モボ621形は621～625の5両、モボ631形は631～633号車の3両が製造された。

モボ21形

茶色の塗装をしており、ダブルルーフというかつては多く見られたスタイルを再現したレトロ調電車。26・27号車の2両が製造された。モボ121形の機器を流用しており、仕様はモボ621形とほとんど同じため、車番もモボ621形の621～625号車に続き26、27となっている。

モボ2001形

前中扉の不遇な子モボ501形を置き換えるべく、2001・2002号車の2両が製造された。吊り掛け天国の嵐電で唯一のVVVF車。そのためモボ2001形同士でないと連結ができず、単行で走ることが多い一匹狼。

イベント

春：北野線で桜のトンネル（ライトアップ）
夏：夕刻以降に走る妖怪電車（妖怪の扮装をした乗客は運賃50円で乗車できる）
冬：クリスマス電車
　季節ごとにさまざまなイベントがある。

ヤマト運輸との提携

　2011年5月から提携。宅急便の集配業務に嵐山本線が利用されている。2両編成の列車のうち1両がヤマト運輸が貸し切り、通常の旅客車両と共に運行を行う。西院車庫で積み込み、嵐山駅で降ろす。そして、セールスドライバーに渡し、リアカー付き電動自転車で配達する。

シミュレータでの登場

• 電車でGO!旅情編(PS2,Windows)
  全線収録。2002年7月発売なので、収録されている駅名が旧名である。
  登場車両は26,27,103,105,301,501,502,611,621,631,2001。 

関連動画

前面展望

MADなど

 関連項目

• 鉄道事業者・路線一覧
• 京阪電気鉄道：親会社。
• 叡山電鉄：京阪グループの一員。2002年まで京福グループでの子会社。
• 京都市交通局
• 京都バス
• 京福バス
• 妖怪電車