日本ミステリー文学大賞とは、光文文化財団が主催する、ミステリー小説の大家に贈られる賞。
併設されている公募新人賞の日本ミステリー文学大賞新人賞についても本記事でまとめて解説する。
1997年創設。日本のミステリーの発展に大きな貢献をした作家・評論家に与えられる功労賞で、一般の文学賞とは違い、作品ではなく個人を対象としている。要は国内ミステリー版ノーベル文学賞みたいなもの。作家、評論家、マスコミ関係へのアンケート等を参考に候補者を決定、毎年秋に受賞者が決定し、翌年3月に贈呈される。正賞はシエラザード像、副賞は300万円。
主催の光文文化財団はその名の通り光文社の内部にある一般財団法人なので、光文社の賞である。そのため、受賞者の作品に品切れが多かったりすると、受賞を機に光文社文庫で復刊されたりする。
大家・巨匠への功労賞なので、最低でも25年以上、多くは30年以上のキャリアがある、本当の大ベテランしか受賞できない(デビューから最も早く貰ったのが、1989年デビューで2015年に26年目で受賞した北村薫。最年少受賞は54歳で受賞した大沢在昌)。また、存命の人物のみが対象なので、受賞に値する作家が賞をあげる前に亡くなってしまった場合は「特別賞」として追贈されることがある(過去に鮎川哲也と連城三紀彦が没後に特別賞を受賞。特別賞は物故作家限定というわけではないようで、2018年に存命の評論家の権田萬治が受賞している)。
大ベテランのみが対象の賞だけに、第6回までは「この賞を貰った途端に亡くなった」という例が相次いだ(中島河太郎:1999年3月贈呈→同年5月死去、笹沢左保:2000年3月贈呈→2002年10月死去、山田風太郎:2001年3月贈呈→同年7月死去、都筑道夫:2003年3月贈呈→同年11月死去)。第7回(森村誠一)以降はその傾向はほぼ無くなったが、近年でも船戸与一が贈呈の直後に亡くなっている。
山田風太郎や夢枕獏など、一般的にはミステリー作家と見なされていない作家でも受賞することがある。なお、この賞および日本ミステリー文学大賞新人賞の現役選考委員は候補にならないという内規があるらしい(赤川次郎の受賞が遅かったのはそのせい、とは第9回選考委員の阿刀田高の弁)。
Q:松本清張や高木彬光は受賞してないの?
A:それぞれ亡くなったのが1992年、1995年なので創設に間に合ってません。
Q:連城三紀彦が特別賞受賞してるのに泡坂妻夫は受賞してないの?
A:急死されたので正賞を貰えなかったのは仕方ないですが、特別賞も貰ってないのは謎です。
Q:夢枕獏ってミステリー作家なの?
A:選考委員の東野圭吾いわく「夢枕作品はミステリに含まれるか、という疑問には、夢枕作品はミステリを含んでいる、という回答で決着をつけたい。」だそうです。
Q:綾辻行人や有栖川有栖が受賞してるのに宮部みゆきや東野圭吾や高村薫はまだなの?
A:東野圭吾は現選考委員なので今のところ対象外。まあそのへんの面々はそのうち貰うでしょう。
正賞と一緒に1997年に創設された、長編ミステリー小説の公募新人賞。対象は400字詰原稿用紙換算で350枚から600枚までの広義のミステリー作品。賞金500万円。
設立時点で既に、江戸川乱歩賞(講談社)、横溝正史賞(角川書店、現:横溝正史ミステリ&ホラー大賞)、サントリーミステリー大賞(文藝春秋、2003年で終了)、鮎川哲也賞(東京創元社)、新潮ミステリー倶楽部賞(新潮社、現:新潮ミステリー大賞)、メフィスト賞(講談社)とミステリーの長編新人賞は乱立気味であり、しかも後発の賞なのにやたらと仰々しい名前になってしまった。そのせいかなかなか受賞作にヒット作が出ず、パッとしない新人賞と言われてしまうこともあった(例:『文学賞メッタ斬り!』)。噂によると、2006年の第10回受賞作、海野碧『水上のパッサカリア』が初めて増刷がかかった受賞作だとかなんとか。
2008年の第12回で受賞した結城充考『プラ・バロック』(ドラマ化)以降は、映画化された前川裕『クリーピー』(第15回)や、この賞の受賞作で最も評価が高く受賞者も一番の出世株と言っていい活躍をしている葉真中顕『ロスト・ケア』(第16回)など、ぼちぼち話題作が出ている。パッとしないと言われた時期の受賞者も、第2回受賞者の大石直紀が日本推理作家協会賞を受賞したり、第5回受賞者の岡田秀文が本格ミステリ方面から注目を集めたりと、なんだかんだ何人かは実績を残してきている。
大百科に記事のある受賞者はいません。まあ結城充考か葉真中顕か岡田秀文の記事はいつか出来るんじゃないかな。
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最終更新:2025/12/07(日) 03:00
最終更新:2025/12/07(日) 02:00
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