本作品は、楽曲制作者「fermina」による作詞作曲である初音ミクオリジナル楽曲作品「ひとりごと」に対する、MMD動画制作者「動こうP」によるVOCALOID-PV作品である。
本作品の特徴として、緩急のある動画展開を指摘しなければならない。動画導入時のミクは、楽曲のゆったりとした調律にあわせて、氏の過去の作品群にはあまり見られないとおもわれる、比較的ゆっくりとしたモーションが取り入れられている。
本作品では、当該作者の得意とする、すばやい動きが抑制されており、これは、当該作者に、かなりの禁欲を迫ったものとおもわれる。視聴効果を高めるため、あえて、このようなメリハリのある動画展開が採用されているといえる。この展開により、しっとりとした曲調に調和しながら、かえって、当該作者の得意とするすばやい動きが違和感なく視聴者に受け入れられる一因になったと考察される。この結果、間奏時のミクのモーションの美しさが、ひときわ際立つこととなり、逆に当該作者の固有のモーションの秀逸性を印象付けることになったと考察される。
もちろん、実質的に大きな役割を果たしたのは、むしろ、ゆっくりとした動きの小さなモーションに、極めて丁寧な作業がなされている点であると推察される。人間の視覚機能には、きわめて微細な運動を感知する能力があり、おそらく当該作品は、その厳しい基準をクリアーするほどの配慮がなされており、それが多くの視聴者の高い評価を得た原因と思われる。
ミクの女性らしい優しさ、美しさを印象付けるためのポージングもまた、真剣に追求されており、最後のミクのポージングは秀逸である。
氏の更なる発展に期待したい。
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