自分で言うのもなんだけど、
1巻初版オビより
死亡遊戯で飯を食う。とは、著・鵜飼有志、イラスト・ねこめたるによるライトノベル。
概要
鵜飼有志のデビュー作。MF文庫Jから2022年11月より刊行。既刊7巻(2024年9月現在)。『このライトノベルがすごい!2024』文庫部門2位、新作部門1位。
第18回MF文庫Jライトノベル新人賞《優秀賞》受賞作。受賞時のタイトルは「死亡遊戯で飯を食う」。選考会では4人の審査員(榎宮祐、さがら総、志瑞祐、鈴木大輔)のうち2人が最高点、2人が最低点をつけるという真っ二つに分かれた評価の末《優秀賞》に落ち着いた。
タイトル通りのデスゲームものだが、通常の一般人が不条理に巻き込まれるタイプのデスゲームものとは異なり、主人公がデスゲームの賞金で生計を立てているプロのプレイヤーであり、他のプレイヤーも原則として合意の上での参加者である(例外もいるが)。そのためデスゲームもののお約束であるパニックや疑心暗鬼、極限状態での狂気といった要素は必要最小限に刈り込まれており、作中では様々なデスゲームが登場し、そのルールを解明して攻略する過程に焦点を当てた作品になっている。
なお、ゲームの参加は全員美少女であるが、もちろんデスゲームなので登場キャラは容赦なく死ぬし、四肢欠損も珍しくない。基本的に主人公以外のキャラとは生死にかかわらずゲームごとの一期一会だが、ゲームの生還率は7割程度に設定されており、繰り返しゲームに参加するプレイヤーも多いため、以前のゲームで共に生き残ったプレイヤーと再会するという展開もしばしば。
主人公の幽鬼はデスゲームに参加する切実な動機や目的意識を持っているわけではなく、「99連勝」という目標を掲げてはいるものの、その目標自体に特に意味はない。また幽鬼のプレースタイルも「利他」ではあるもののそれはあくまで自分の生還のためであり、攻略に必要とあれば他のプレイヤーの殺害や味方のプレイヤーを見捨てることも躊躇しない。
そうした通常のデスゲームものではなかなかあり得ない主人公のスタンスと倫理観が、選考会でも大きく評価が割れた要因であり、そうして何度もデスゲームを繰り返すことで生まれるドラマが本作の魅力である。
なお、3巻までの各巻には(ライトノベルとしては珍しく)文庫解説がついている(ただし普通の文庫解説よりだいぶ短い各2ページ)。解説担当はそれぞれ、1巻が二語十・竹町、2巻が久追遥希・三河ごーすと、3巻がカンザキイオリ・斜線堂有紀・冬野夜空。解説はすべてこのページで読める。
『月刊コンプエース』2023年6月号から、万歳寿大宴会による漫画版が連載中。ニコニコ漫画でも公開されている。
2024年9月にはテレビアニメ化が発表された。
主な登場人物
複数のゲームに登場した人物を中心に記載する。
- 幽鬼(ユウキ)
- 本作の主人公。幽霊のような風貌をした17歳の少女。これといった強い動機を持たずにゲームに参加し続けていたが、9回目のゲームとなった〈キャンドルウッズ〉を経て「99連勝」を目標に掲げてゲームに参加する。基本的なプレースタイルはなるべく生存者数を最大化しようとする「利他」だが、あくまでそれが自分の生存に有利な場合の戦略であり、過去のゲームで他のプレイヤーを殺害した回数も数知れない。クリアしたゲームの衣裳は毎回部屋に保管している。
本名は反町友樹。日常生活においてはボロアパートのトチノキ荘で一人暮らしをしており、ゲームの賞金で生計を立てながら、夜間学校に通い、完全な昼夜逆転生活を送っている。生活能力は皆無だが、ゲームでの生存力向上のために生活を立て直し中。3巻発売時に公開されたボイスドラマでのCVは中島由貴。 - 白士(ハクシ)
- 幽鬼の師匠。クリア回数95回を誇る最古参のプレイヤー。幽鬼とともに〈キャンドルウッズ〉に参加するが……。幽鬼の他にも複数の弟子を持っている。
- 伽羅(キャラ)
- 〈キャンドルウッズ〉で幽鬼と対戦したプレイヤー。薄いキャラメル色の長髪と長身の持ち主。殺人を目的にゲームに参加している殺人鬼で、〈キャンドルウッズ〉にて大惨事を引き起こす。
- 御城(ミシロ)
- 〈スクラップビル〉で幽鬼と出会った金髪縦ロールお嬢様のプレイヤー。リーダー気質で、自分よりもキャリアのある幽鬼と対立する。
- 藍里(アイリ)
- 〈キャンドルウッズ〉に〈切り株〉側で参加していた青髪のプレイヤー。数少ない〈キャンドルウッズ〉の生き残りで、〈クラウディビーチ〉で幽鬼と再会したときには「三十の壁」を突破したベテランとなっていた。
- 毛糸(ケイト)
- 〈スクラップビル〉で幽鬼と出会った、勝ち馬に乗る小判鮫スタイルのプレイヤー。後に〈ガベージプリズン〉について調べる幽鬼と再会する。
- 真熊(マグマ)
- 〈クラウディビーチ〉に参加した、その時点で43回目のベテランプレイヤー。ばきばきに鍛えられた巨体の持ち主。昔はワルだったという。
- 紫苑(シオン)
- 参加者の9割が死亡した〈ガベージプリズン〉で大量殺戮を行ったプレイヤー。それが原因でリアルで他プレイヤーに狙われることになり、そこから逃げるために〈ハロウィンナイト〉に参加する。
- 玉藻(タマモ)
- 〈ハロウィンナイト〉で幽鬼と出会った初心者プレイヤー。ころころと丸っこい体型。幽鬼に対して弟子入りを志願するが……。
- 鈴々(リンリン)
- 全盲でありながらエコーロケーションを使ってゲームを戦い抜いた元プレイヤー。現在はゲームを引退している。右目の視力喪失に直面した幽鬼から視力に頼らない戦い方の指南を求められる。
- 尸狼(シロウ)
- 〈ロワイヤルパレス〉で幽鬼と対戦したプレイヤー。芝居がかった喋り方をするナルシスト。幽鬼とは以前に別のゲームで出会っていたが、幽鬼は全く覚えていなかった。
- 幽鬼のエージェント
- 幽鬼専属の運営のエージェント。ゲーム会場や義体職人の工房への送迎などを担当する。女性。彼女の過去については6巻で詳しく語られることになる。
- 義体職人
- ゲームプレイヤーの欠損した部位を補う義体を作る職人。ドワーフのような極度の低身長の男性で、幽鬼からは「おっちゃん」と呼ばれている。本作では数少ない男性キャラのひとり。
- 骨塚仁美
- 幽鬼の通う夜間学校のクラスメート。幽鬼の正体を探ろうと幽鬼をつけ回すが……。
作中に登場するゲーム
作中のデスゲームは、トラップだらけの会場から脱出すればクリアの〈脱出型〉、一定期間生存すればクリアとなる〈生存型〉、プレイヤー同士での殺し合いである〈対戦型〉の3種類に大別される。ゲームの種類によって参加者は数名から数百名まで様々だが、100人を超えるような大規模なゲームは珍しい。また、どのゲームでも生還率は平均して7割程度になるように設定されている(それ以上の人数が死亡することももちろん多々ある)。
ゲーム内容については運営側から開始前にルール説明がある場合もあるが、少なくとも作中で描かれているゲームに関しては事前のルール説明がなく、プレイヤーが自力でルールを解明する必要のあるものが多い。
参加者は全て美少女であり、ゲームごとに様々な衣裳(メイド服、バニーガール、水着など)を着せられ、それぞれプレイヤーネームを名乗る。会場には至るところにカメラが仕掛けられ、ショービジネスかつギャンブルとして観客の間で誰が生き残るかの賭けが行われている。また、その掛け金がゲームの賞金の原資となっている。3回目以降のプレイヤーには専属のエージェントがつき、ゲーム会場への送迎などを務める。ゲーム参加時には睡眠薬を飲み、プレイヤーは眠った状態でゲーム会場へと運ばれる。ゲームの運営についての詮索や、ゲームについて外部への公言はもちろん禁止。
プレイヤーはゲーム参加時に〈防腐処理〉という名の身体改造を受ける。これを受けると出血がもこもことした白い綿状の物体に変わり、体臭が消え、遺体は腐敗しなくなる。この処置に加えてゲームの運営は極めて高度な医療技術を持っているため、身体の一部を切断されても(切断された部位が残っていれば)元通りに繋げてもらえる。治療不可能な負傷については専用の義体を作ってもらうことも可能。ゲームから完全に引退する場合はゲームに関する記憶消去の処置を受けることもできる。なお、〈防腐処理〉を受けているプレイヤーは健康診断などは受けられなくなるが、ゲームへの参加を止めてある程度時間が経てば効果は徐々に抜けていくらしい。
ベテランプレイヤーの間では、通算回数が30回あたりのゲームで極端に生還率が下がるという「三十の壁」というジンクスが囁かれている。
作中で描かれた主なゲーム
- 〈ゴーストハウス〉
- 原作1巻に登場。参加者6名。幽鬼にとっては28回目のゲーム。トラップだらけの館から脱出するスタンダードな〈脱出型〉。衣裳はメイド服。
- 〈キャンドルウッズ〉
- 原作1巻に登場。参加者330名。幽鬼にとっては9回目のゲーム。300人の〈うさぎ〉と30人の〈切り株〉に分かれ、〈うさぎ〉は1週間生き延びればクリア、〈切り株〉は1人あたり5人の〈うさぎ〉を殺害すればクリアとなる〈対戦型〉のゲーム。衣裳はバニーガール。後に「〈キャンドルウッズ〉以後」という言葉が生まれるほど、この業界において大きな転機となったゲームとなる。
- 〈スクラップビル〉
- 原作2巻に登場。参加者6名。幽鬼にとっては10回目のゲーム。廃墟のビルから脱出する〈脱出型〉。衣裳は白いワンピース。
- 〈ゴールデンバス〉
- 原作2巻に登場。幽鬼にとっては30回目のゲーム。大浴場の中から下足箱の札を探し出し、履物を入手して建物を出る〈脱出型〉。ただしプレイヤーの数に対して札の数が少ないため、札の奪い合いとなる〈対戦型〉の要素を兼ねる。衣裳はバスタオルもしくはバスローブ。
- 〈クラウディビーチ〉
- 原作3巻に登場。参加者8名。幽鬼にとっては44回目のゲーム。クローズド・サークルのミステリーを模した、孤島で殺人者から生き延びればクリアの〈生存型〉。衣裳は水着。
- 〈ハロウィンナイト〉
- 原作4巻に登場。参加者数不明。幽鬼にとっては45回目のゲーム。お菓子を与えないと襲ってくる子供たちのキャラクターに殺されないように一定期間生き延びればクリアの〈生存型〉。衣裳は魔女コスチューム。
- 〈ホルモンタウン〉
- 原作5巻に登場。参加者100名程度。幽鬼にとっては3回目のゲーム。8割の〈お尋ね者〉と2割の〈保安官〉に分かれ、〈お尋ね者〉は生きて街を脱出すればクリア、〈保安官〉は〈お尋ね者〉を捕まえて一定額の賞金を稼げばクリアの〈脱出型〉+〈対戦型〉。衣装はカウガール。
- 模擬ゲーム
- 原作5巻に登場。盲目での戦い方の指南を求めた幽鬼に対して鈴々が仕掛けた実戦形式の模擬ゲーム(ゲーム名なし)。Bluetoothを手がかりに島内に隠されたボートのキーを発見し、鈴々の妨害をかわして島を脱出すればクリアの〈脱出型〉。
- 〈ロワイヤルパレス〉
- 原作5巻に登場。参加者70名。幽鬼にとっては62回目のゲーム。7人の10チームに分かれ、互いにチームから1人代表者を選んで〈決闘〉を行い、全18回戦の総当たりリーグ戦を行う〈対戦型〉。〈決闘〉は相手を殺害するか相手が降参すれば勝利となり、18回戦終了時点で下位3チームが敗北となり死亡する。なお、クリアが確定したチームはそれ以降は全て不戦敗となる。衣装は剣士。
- 〈メイデンレース〉
- 原作6巻に登場。参加者約50名。幽鬼にとって初めてのゲーム。転落すると剣山に串刺しにされるアスレチックコース(全9コース)をクリアする〈脱出型〉。衣装は体操服(ブルマ)。
- 〈スノウルーム〉
- 原作6巻に登場。自身の幻影に襲われた幽鬼が、幻影を倒すために鈴々に依頼した模擬ゲーム。5×5の白い部屋に隠された謎を解くことで脱出を目指す〈脱出型〉。
既刊リスト
- 死亡遊戯で飯を食う。 (2022年11月、MF文庫J)
- 死亡遊戯で飯を食う。2 (2023年1月、MF文庫J)
- 死亡遊戯で飯を食う。3 (2023年4月、MF文庫J)
- 死亡遊戯で飯を食う。4 (2023年8月、MF文庫J)
- 死亡遊戯で飯を食う。5 (2023年12月、MF文庫J)
- 死亡遊戯で飯を食う。6 (2024年4月、MF文庫J)
- 死亡遊戯で飯を食う。7 (2024年9月、MF文庫J)
関連動画
関連静画
関連リンク
- 死亡遊戯で飯を食う。 | 書籍 | MF文庫Jオフィシャルウェブサイト
- 優秀賞 死亡遊戯で飯を食う。 | 第18回MF文庫Jライトノベル新人賞作品第一弾
- 死亡遊戯で飯を食う。(MF文庫J編集部) - カクヨム - 1巻の試し読み
- 『死亡遊戯で飯を食う。』公式(@shibouyugi_) - 公式Twitter(X)
- 鵜飼有志(@Zzzyxas000) - 原作者Twitter(X)
- ねこめたる(@NecoMeta) - 原作イラストレーターTwitter(X)
関連項目
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