キングズソード(King's Sword)とは、2019年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牡馬。
生産者は浦河町の日進牧場、所有者はヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン、管理調教師は栗東・寺島良。
砂塵を切り裂く王剣
父*シニスターミニスター、母キングスベリー、母父キングヘイローという血統。父は米国馬でGⅠ1勝。引退後種牡馬として来日し、ダート戦線に多数の活躍馬を送り込む人気種牡馬となった。
母は芝短距離を主戦場に25戦3勝。牝系は小岩井農場の基礎輸入牝馬の1頭アストニシメントから連綿と続いてきた由緒正しい血脈。8歳上の全兄に重賞1勝ながら9歳まで長く堅実に走り抜いたキングズガードがいる。ちなみに4代母はハローキティーという版権ギリギリな名前だったりする。
母父は*ダンシングブレーヴと*グッバイヘイローという欧米の名馬を両親に持つ超良血で現役時代はGⅠ高松宮記念を勝利。種牡馬としても複数のGⅠ馬を残したが母父としての活躍がめざましい。ちなみにキングヘイロー自身は砂を苦手としたが、産駒にはメーデイアやキタサンミカヅキなどダートの活躍馬も一定数いる。
馬名の由来は「王の剣」。前述の兄キングズガードの馬名である「王の楯」にあやかり、兄のような活躍をするようにという願いを込めて名付けられた。
3歳
3歳1月の中山ダート1800mで藤岡佑介を鞍上にデビュー。単勝1.7倍の断然人気に支持され、これに応えて逃げ切り勝ち。2着とは3/4馬身の僅差だったが3着には大差をつけていた。
2戦目は関西に戻り、弟の藤岡康太に乗り替わって3月の阪神ダート1800mの自己条件戦に進んだが、のちに同年のジャパンダートダービーを勝つノットゥルノとJBCレディスクラシックを勝つヴァレーデラルナに当たってしまい、全く逃げ粘れず8着と大敗を喫する。
夏競馬まで休養し、6月の中京で戦列に復帰。距離短縮して1400m戦に出走したが二の脚がつかず後方からの競馬になり、直線馬群の間を縫うように伸びはしたが6着が精一杯だった。なおこのレースで今村聖奈に騎手がスイッチし、以後夏競馬は今村が主戦騎手となる。
続いて小倉に転戦しダート1700mの1勝クラス戦に出走。このレースも中団後方からの競馬になったが、4コーナー手前で早めに仕掛け、直線で先行馬に進路を塞がれかけたが鞍上の今村が迷わず内に振った判断が功を奏し、空いた最内を突いて一気に抜け出し4馬身差の圧勝を決める。
2勝クラス初戦は3週間後、前走と同条件の岩国特別。このレースは先行馬を見るような競馬をしたが前が全く止まらず、バテず伸びずで5着に敗れる。
2ヶ月ほど間を空け、次走は中京に戻ってダート1800mの大府特別。前走を上回る2番人気に支持されたがゲート後に立ち遅れほぼ最後方から大外を回らされる競馬では苦しく、直線伸びはしたが5着がやっとという結果に終わる。
その後再び2ヶ月休養し、阪神ダート1800mの条件戦に出走。今度はゲートを決めて好位置から競馬をしたが直線でやや前に置いて行かれたことが響き前を捕まえきれず完敗の2着に終わる。
翌月の同条件である赤穂特別では川田将雅へ乗り替わり。前走と同じような位置取りの競馬になったが今度は直線まで先行馬の直後で待ち、直線外目を追い出されて一気に加速。残り1ハロンで先頭に躍り出ると上がり最速37秒1の末脚で後続をちぎり捨て、たった200mで2着に10馬身差をつける出色の競馬を見せ3勝クラスに昇格。このレースで3歳を終える。
4歳 王の目覚め
4歳初戦は2月、前走と同じ阪神ダート1800mの伊丹ステークス。このレースは岩田望来が騎乗する。
このレースも過去2戦と同様先行して直線で抜け出す競馬。直線で1番人気サンライズアリオンにかなりのリードを取られたが残り100mで急加速し、2戦連続上がり最速となる36秒3の鬼脚を繰り出しゴール板寸前できっちり差し切って連勝でオープンに昇格する。
OP初戦は初の重賞挑戦となるGⅢアンタレスS。4戦連続の阪神ダート1800m戦である。騎手は岩田康誠に乗り替わる。このレースは4戦ぶりに後方からの競馬となり、直線上がり最速36秒9の末脚は見せたが逃げたプロミストウォリアの影も踏めず3着に敗れる。
次走はOP特別の三宮ステークス。5戦連続阪神ダート1800m戦である。このレースから川田に手が戻った。
このレースは中団からの競馬となり、直線外に持ち出されて4戦連続の上がり最速である35秒9という強烈な差し脚で猛然と前に迫り、先行集団から抜け出た同父のメイクアリープをハナ差でかわしてOP初勝利を決める。
次走は1年ぶりの小倉へ向かい、ダート1700mの阿蘇S。このレースでは久々に前目のポジションを取り、4番手で4コーナーを通過。前々の競馬ながら上がり3位の末脚で内から力強く伸びて1馬身1/4差の快勝。OP連勝を果たす。
次走には初のGⅠ級競走、初の地方競馬場出走となるJBCクラシックを選択。無敗の南関東三冠馬ミックファイアこそ回避してしまったが、帝王賞連覇のメイショウハリオ、前年覇者テーオーケインズの強豪2頭が顔を揃えた。単勝オッズは上記2頭と交流重賞3連勝中のウィルソンテソーロに次ぐ4番人気となった。主戦の川田がアメリカ遠征中のため、鞍上には短期免許で来日中の「マジックマン」ジョアン・モレイラを迎える。
外の8枠9番から発進すると自然に前に出て、テーオーケインズをマークする3番手の位置につける積極策。そのまま外を回り、3コーナーで早めに仕掛けられ捲り気味に進出。逃げたノットゥルノ、2番手のテーオーケインズと3頭並んで最終直線に向かう。追い比べになるかと思われたが、残り300mで早々に2頭を抜き去り、後続も寄せ付けず4馬身差の完勝。3連勝で初重賞タイトルにして初交流GⅠタイトルを手にした。
管理調教師の寺島良は開業8年目の初GⅠ勝利。厩舎に初重賞勝利(2017年プロキオンステークス)をもたらしたのが兄キングズガードであり、6年の時を経てその弟が再び師に初タイトルを届けた。また鞍上のジョアン・モレイラは2018年エリザベス女王杯のリスグラシュー以来5年ぶり2度目の国内GⅠ級勝利、そしてJBCクラシック初の外国人騎手による勝利。生産者の日進牧場は1999年高松宮記念のマサラッキ以来実に24年ぶりのGⅠ勝利となった。
そして次走は同じ大井2000、暮れのダート大一番東京大賞典へ向かう。鞍上は4歳初戦以来の岩田望来。前走BCクラシック5着と、同レース日本馬最高着順をデルマソトガケと共に更新したウシュバテソーロが出走する大舞台。同じ寺島厩舎所属のセラフィックコールと共に、世代交代へ向けての更なる戦いに挑む。
血統表
*シニスターミニスター 2003 鹿毛 |
Old Trieste 1995 栗毛 |
A.P. Indy | Seattle Slew |
Weekend Surprise | |||
Lovlier Linda | Vigors | ||
Lida Summers | |||
Sweet Minister 1997 鹿毛 |
The Prime Minister | Deputy Minister | |
Stick to Beauty | |||
Sweet Blue | Hurry up Blue | ||
Sugar Gold | |||
キングスベリー 2004 鹿毛 FNo.7-c |
キングヘイロー 1995 鹿毛 |
*ダンシングブレーヴ | Lyphard |
Navajo Princess | |||
*グッバイヘイロー | Halo | ||
Pound Foolish | |||
リボンストロベリー 1997 鹿毛 |
*デインヒル | Danzig | |
Razyana | |||
ハローキティー | *ラシアンルーブル | ||
ハードエントリー |
Northern Dancer 6.25% 5 x 5
Squander 6.25% 5 x 5
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関連項目
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