レゴラス(Legoras)とは、J・R・R・トールキンのファンタジー小説『指輪物語』(及びこれを原作とした映画「ロード・オブ・ザ・リング」三部作などの作品)に登場するエルフである。
→なお、これを由来とする競走馬(種牡馬)に関してはレゴラス(競走馬)を参照せよ。
概要
闇の森北部を支配するエルフ王スランドゥイルの息子であり、森に住むシンダール・エルフである。
生年は不詳だが2〜3千歳ほどと推測されており、「旅の仲間」の中ではガンダルフに次いで高齢であるが、ガラドリエルやエルロンドといったエルフの大御所からすればまだまだ若手である。このためか、作中の高名なエルフに比べて喜怒哀楽が豊かなところがあり、ファンゴルンの森を訪れた時は年甲斐もなくはしゃいでたりする。
基本的にはエルフらしく温厚で高潔な人柄で、むしろ突き抜けて陽気なところさえあるが、シンダール出身である(後述)ためかドワーフには反感を持っている面も見られる。しかし、後に指輪戦争を通じてドワーフのギムリとは滅多に見られないドワーフとエルフ間の篤い友情を築き上げることとなる。
「旅の仲間」の中では随一の弓の名手であり、作中でははるか上空にいる怪物を射るなどそのスナイパーぶりを見せつけている。後のファンタジー作品における「エルフ=森に住む弓使い」という構図はレゴラスの影響が非常に大きいと考えられる(トールキンの作品ではエルフは基本的に人間の上位互換で、皆森に住むわけでも弓のみが得意なわけでもない)。
生い立ち
レゴラスの祖父オロフェアはドリアスに住まうシンダール・エルフであり、第一紀にドリアスが滅亡した後に霧ふり山脈をわたって闇の森に移住して同地のシルヴァン・エルフとともに王国を建てた。ドリアスはドワーフとの戦争で疲弊した後、ノルドール・エルフ(正確にはフェアノールの一族)の同族殺しによって滅亡したという経緯があり、オロフェア父子はここからドワーフやノルドールに対する反感を抱いていたようである。
第二紀末期、サウロンに対する最後の同盟が締結されると、オロフェアもエルフの大軍を率いて従軍しダゴルラドの会戦に参加した。しかし、エルフの総指揮官とされたギル=ガラドへの対抗心を持つ(もしくは前述の理由からノルドールを嫌っていた)オロフェアはギル=ガラドの合図を待たずに突出し、結果として討ち死にしてしまう。この後王位はスランドゥイルが継いだが、この頑固さと熱血ぶりも受け継がれた。
スランドゥイルは『ホビットの冒険』にも「エルフ王」として登場するが、ドワーフに対して(事情が事情とはいえ)あんまりな扱いをしたのも、前述のドワーフに対する反感があったのかもしれない。とはいえ、作中終盤ではビルボに対しエルフ王らしい器量と威厳を見せている。
時期的にはこの頃レゴラスは当然いるはずなので、「ビルボとレゴラスはニアミスしてたのでは?」という説は以前からあったが……→映画で採用されました。
「指輪物語」において
裂け谷のエルロンドが指輪の去就を決めるために招集した会議に闇の森のエルフ代表として出席し、成り行きから指輪を葬るための「九人の旅の仲間」に選ばれてフロド・バギンズとともに旅立つこととなった。
パルス・ガレンにて一行が離ればなれになった後はドワーフのギムリとともにアラゴルンと行動をともにし、数々の激戦をくぐり抜けて勝利へと貢献した。
この過程でレゴラスはギムリとの間に強い友情を築くようになり、互いの命を預けられるようにまでなった。
以下ネタバレ
指輪戦争終結後、「旅の仲間」と別れたレゴラスとギムリはファンゴルンの森を逍遥したのち、それぞれの故郷へと帰っていった。その後、レゴラスは闇の森のエルフの一部を引き連れてゴンドールのイシリエンに移住し、モルドール支配時代の荒廃を癒やしていった。
しかし、指輪戦争の時に目覚めた海へのあこがれを消すことはできず、アラゴルンの死後に遂に西方に船出していった。一説にはこの時ギムリも同行したと言われている。
映画
映画「ロード・オブ・ザ・リング」三部作ではオーランド・ブルームが非常にイケメンなレゴラスを演じており、人気を博した。その人気ぶりからかレゴラスは他の登場人物に比べても見せ場が恵まれており、「王の帰還」では単独でムマキル(巨大な象)一頭を倒すという活躍を見せている。
ギムリとの関係は原作のような「親友」というよりはケンカ友達といった仲だったが、その分ラストのデレは必見である。
前日譚にあたる『ホビットの冒険』の映画化に際してレゴラスの登場が予想されていたが、ついに第2部「竜に奪われた王国」よりメインキャラクターとして登場。もちろん役者はオーランド・ブルーム。ちなみに父スランドゥイル役リー・ペイスのほうが2歳年下である(オーランド老けなさすぎる……)。
「グローインが持っていた息子(ギムリ)の肖像画を見て『なんだコレ』と顔をしかめる」というファンサービスはもとより、シルヴァン・エルフの女戦士タウリエルとの共闘など大活躍。その戦いはクライマックスでのオークの首領の息子ボルグとの大立ち回りなど、「ロード・オブ・ザ・リング」当時よりパワーアップした超絶アクションでお届けされた。
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