京急600形とは (ケイキュウロッピャクガタとは) [単語記事]

京急600形とは、京浜急行電鉄（京急）が保有する（した）次の電車を指す。

1.1956年に登場した2ドアクロスシート電車。登場時は700形と称した。
　　2000形に代替される形で1986年引退、一部は琴電に譲渡された。
　　逗子市内の公園にトップナンバーが保存されている。「旧600形」とも通称される。
2.1994年に登場した3ドア通勤型電車。「1.」との区別のため「新600形」とも呼ばれる。

本項では2.を扱う。

概要

京急車としては少ないスカイアクセス乗り入れ車で、遠く成田空港まで足を延ばす3扉車。
登場時の愛称はツイングル600。様々な面白いアイデアを盛り込んだものの、いろいろな意味で滑ってしまった。

新車は1500形1700番台がガンガン製造され続けるものと誰もが予想していた1994年に衝撃の登場。他者線直通車ながら形式名は1000 番台とされず、京急の歴史上3代目となる600が振られた。
8連で地下鉄直通車ながらオールクロスシートとし話題となった。また、1996年には設計を一部見直し、扉間に集団見合い式の固定クロスシート3脚を配置した後期車が登場、直通用8連のほか京急線内用の4連も製造された。

当初車内には、扉間に4つと前後車端で計12区画のボックスシートを設けた。このシートのうち一部はツイングルシートと称され、二人掛けの片方が畳まれて一人掛けになるという衝撃の機能を持っていた。しかしこの機構のため座面が薄くなり、座り心地が犠牲に。そのため後期車では前述のとおり座席の配置を見直し、ツイングルシートは省略された。

乗り心地の向上のため、アンチローリングダンパと車軸(軸受け)のオイルダンパが試された。両装置とも着脱が繰り返され、慎重に採用が見極められたようだ。

初期に落成したグループの性能は、1500形1700番台のシステムをほぼ踏襲。若干の出力向上により高速域での加速がより良くなっている。
シングルアームパンタグラフを掲げる後期車は4連を効率的に実現するため、モーター車と付随車の数を1:1として組成された。このため空転への対策として起動加速度を低く設定している。それでも実際は降雨時には空転・滑走が多発し、扱いが難しいようだ。

車体は1500形アルミ車をベースとしているが、塗り分けは当時の2000形と同様の赤いボディに窓周りクリームとした。また、前面は従来の京急車からは大きく変化し、大半径の球とも見られる輪郭のバルーン顔。ワイパーを隠す濃灰色カバーの設置やアンチクライマーの省略など、徹底した丸さを追及したようだ。
後にこの顔はワイパーカバーを白く改めたものが後輩の2100形と新1000形に受け継がれ、まさに京急の顔となる。

前面からの600形識別のポイントは、急行灯の寄り目である。後輩たちのものは外側に離れてついている。

変化

現在の600形は実際に運用された結果、上記の登場時の特徴をいくつも失っている。

クロスシートで首都圏の混雑を捌くのは困難であったらしく、現在は8連の全てと4連の一部が扉間ロングシート化改造を受けた（運転席後部のクロスシート及び車端部のボックスシートは存置）。クロスシートで存置されている車両は全て後期車であり、ツイングルシートは見られなくなってしまった。ちなみに撤去されたシートは一般に払い下げられ好評を博しているとか。