京急800形とは、京浜急行電鉄(京急)がかつて保有していた通勤型電車である。
普通車のスペシャリストとして日夜、京急の小駅から乗降客を拾い続けてきた18m級4扉ロングシート車。車両の顔つきから「ダルマ」と呼ばれることも(正面2枚窓・白い縁取り・デコの1灯ライト・沿線に川崎大師が立地、などから)。またニコニコ動画での通り名は「変態加速」。
直通仕様車1000形の製造が一段落した1978年に、普通車の性能向上を目的として登場。
京急線内専用としたことで規格の縛りが減り、当時の設計陣の非常に自由な発想によって生み出された。
最大の特徴は、何といってもその尋常では無い加速力である。軌道(路面電車)発祥とする京急は駅間距離が総じて短く、各駅停車の車両に要求されるスペックは第一に急加速・急減速である。専門書や雑誌などで記されている800形の起動加速度は3.5km/h/sであるが、実際に速度計を見てみるとどうもそれ以上の加速をしているようだ。ただし、高速域での伸びは鈍く、快特や特急などの高速運転にはあまり向いていないため、これら種別の運用に充当されることはほぼ無い(かつては急行の「D急運用」ほかが存在した)。
高加速度の達成と省エネルギー性を高めるため、モーターの駆動には当時技術が成熟しつつあった「界磁チョッパ制御」を採用。この方式は、ブレーキをかける際に電力のリサイクルが可能になるため、京急の電力事情にとって救世主になったのではないかと思われた。
1000形に引き続きまったく懲りること無く片開き戸を採用した(在京大手民鉄最後の通勤形片開き扉車となっている)。また、4扉で先に登場していた700形では「窓が小さい、座席が高い・浅い」など、多くの反省点を残していた。このことを踏まえ800形では内装に白系の色を選択、当時はまだ珍しかったFRP製の成型物を使用するなどこだわり、ローレル賞受賞で見事汚名返上を果たした。
現在、2100形や新1000形などに採用されている「窓周りを白系で包み込む塗り分け」は、この800形で初めて施されたものである。しかし4年後に登場した快特用の2000形でも使われることになったため、800形はこれを後輩に譲り、自身は白帯一条の現行塗装に改めた。末期は、リバイバル塗装として823編成にのみデビュー当時の塗装が施されていた。
初期の800形は当初3連で登場し、後に中間車(3~5両目)を組み込んで6連となった。
また801~810編成は近年まで3連で存置されていたが、1994年からの更新工事で2編成を併せて6連とする改造を受けた。新しく生まれたこれら5編成の3・4両目連結面は、非常にいかめしい様相となっていた。
先述のとおり全て6連で、大師線を除く京急線内の普通車で使用されていて、本線であればおおむね、品川駅~浦賀駅の間で待っていれば会えた。かつては空港線でも運用されていたが、2009年に開業した羽田空港国際線ターミナル駅のホームドアに対応できないため、それ以後空港線には入線しなくなった。
新1000形6連の新製投入に伴い廃車が進み、2019年6月16日のさよなら運転をもって、京急線上から姿を消した。それと同時に「日野原イズム」を受け継ぐ車両が消滅した。
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最終更新:2025/12/06(土) 12:00
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