ロイ・ブキャナン(Roy Buchanan, 1939 - 1988)とは、世界最高の無名ギタリストである。
経歴
牧師の家庭に生まれ、ゴスペルを通じて黒人音楽に触れる。9歳の頃からギターを弾き始め、14歳の頃には家を出て放浪しながらギタリストとしてのキャリアを積んだ。
1957年頃から既にプロとして活動していたジェームズ・バートンと交流を深め、ジェームズの後を受ける形でデイル・ホーキンスのバンドに加入する。この頃の彼の代表的なプレイとして「スージー・Q」が挙げられる事があるが、現在ではジェームズ・バートンのプレイであると言われている。この後1960年頃までいくつかのバンドのギタリストを務め彼のプレイがミュージシャンの間で評判となる。
ツアーに疲れた彼はワシントンDCのローカルクラブでプレイするようになるが、話を聞きつけたミュージシャンらが彼のプレイを見るために出入りするようになる。出入りしていたミュージシャンとしてはエリック・クラプトン、ダニー・コーチマー等が有名である。
ミュージシャンズ・ミュージシャンとして絶賛されていた彼は1969年にはブライアン・ジョーンズの後釜としてローリング・ストーンズへの加入の誘いを受ける程であったが、一般的な知名度は低かった。しかし1971年に彼の特集番組「世界最高の無名ギタリスト」の放送により音楽シーンで話題となり、翌年ポリドールよりデビューする。
デビュー後はジェフ・ベックとの交流が有名である。ジェフが現在もライブの度に演奏している「悲しみの恋人たち("We've Ended As Lovers")」は彼に捧げられたものであり、彼の代表曲「メシアが再び("The Messiah Wll Come Again")」をリスペクトしたとされ、また彼も「メシアが再び」の再録時にアンサーソング「マイ・フレンド・ジェフ」という形で答えている。
1988年に酔いつぶれていた所を保護され、留置所内で首吊り自殺にて死亡。
プレイスタイル
ブルーズ、R&Bを中心としながらカントリー、ハードロックを取り入れたスタイルである。エフェクトをほとんど使用しなかったが、ボリュームポットを仕様した「ヴァイオリン奏法」、トーンポットを使用したワウ効果等を用いて多彩な音を繰り出した。またピッキング・ハーモニクスやナット・ベンドも彼が開発したと言われている。
レスポールやストラトキャスターを使用した事もあったが、トレードマークとなっているのは1953年製テレキャスター、"Nancy")である。ほとんどの音源はアームも付いていないテレキャスター一本で演奏され、そのテレキャスターを駆使したプレイから所謂"テレマスター"の一人に数えられる。
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関連項目
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