優先権とは、以下の2つの意味がある。
- トレーディングカードゲームにおいて、呪文などをプレイする権利のこと。本稿で詳述
- 特許などにおいて、A国で出願した後、第三者がB国で同一の特許を出願したときに、A国での出願より一定期間内であるならばその後B国で出願してもA国での出願と同時に出願したものとみなし第三者の出願を拒絶させることができる仕組み
概要
たとえば、MtGにおいては、以下のフェイズ・ステップが存在する。
このうち、アンタップ・ステップでは優先権は常に発生しない。では、たとえばこのような流れを考える。
- どちらもゲーム開始時の手札をキープしたため、ゲームを開始する
- ゲーム開始時に行えることがある場合(力線を置くなど)、それを行う
- 先手プレイヤーの1ターン目のアンタップ・ステップを行う
- 先手プレイヤーの1ターン目のアップキープ・ステップが開始する。ここで初めて優先権が発生する。優先権を得るのは先手プレイヤーである。ここでは何もしないためパスをした
- すると後手プレイヤーは優先権を得る。何もすることがないためパスをした
- どちらもパスをしたのでスタックが空であることを確認する
- 先手プレイヤーの1ターン目なのでドロー・ステップは飛び、戦闘前メイン・フェイズが開始する
- 先手プレイヤーに優先権が発生する。先手プレイヤーは森をプレイした。土地のプレイはスタックに乗らずに解決するため、これに対応して何かをすることはできない
- 先手プレイヤーは優先権を保有したままなので、森をタップして緑マナを生み出した。マナ能力の起動もスタックに乗らずに解決するため、これに対応して何かをすることはできない
- 先手プレイヤーは極楽鳥を唱えた。優先権はまだ先手プレイヤーにある
- 先手プレイヤーはパスをした。これにより後手プレイヤーが優先権を得る
- 後手プレイヤーは何もする必要がないためパスをした
- スタックの中の呪文を確認し、極楽鳥が一番上にあるため、それを解決する。解決した結果、極楽鳥が戦場に出る
- 先手プレイヤーは再び優先権を得る。先手プレイヤーはパスをした
- 後手プレイヤーが優先権を得るがこちらもパスをした
- スタックが空なので戦闘開始ステップへ移り、再び先手プレイヤーが優先権を得る
- 何もすることがないのでパスをし、後手プレイヤーが優先権を得るが、何もすることがないのでパスをする
- スタックが空なので攻撃クリーチャー指定・ステップへ移る
- ここで攻撃クリーチャーを指定するが、この手順はスタックには乗らない。そして攻撃できるクリーチャーは存在しないため何も指定しなかった
- 先手プレイヤーが優先権を得てパスをし、後手プレイヤーが優先権を得るが何もすることがないのでパスをする
- スタックが空であり、攻撃クリーチャーの指定がないため、ブロック・クリーチャー指定ステップと戦闘ダメージ・ステップは飛ばされ、戦闘終了ステップへ移り、先手プレイヤーが優先権を得る
- 先手プレイヤーがパスをし、後手プレイヤーも何もすることがないのでパスをした
- 戦闘後メイン・フェイズに入り、先手プレイヤーが優先権を得てパスをし、後手プレイヤーが優先権を得てパスをする
- 終了ステップに入り、先手プレイヤーが優先権を得てパスをし、後手プレイヤーが優先権を得てパスをする
- クリンナップ・ステップに入るが、特に処理も誘発型能力の発動もないため、優先権は発生せず先手プレイヤーの1ターン目が終了する
- 後手プレイヤーの1ターン目のアンタップ・ステップを行う
- 後手プレイヤーのアップキープ・ステップが始まり、後手プレイヤーが優先権を得るがパスをし、先手プレイヤーも優先権を得るがパスをした
- 後手プレイヤーのドロー・ステップが始まり、後手プレイヤーはカードを引く。その後後手プレイヤーは優先権を得る
- 後手プレイヤーはパスをし、先手プレイヤーが優先権を得るがこちらもパスをした結果、戦闘前メイン・フェイズが始まる
- 後手プレイヤーはVolcanic Islandをプレイした。これはスタックに乗らずに即座に解決される
- 後手プレイヤーはVolcanic Islandをタップし赤マナを生み出した。これもスタックに乗らずに即座に解決される
- 後手プレイヤーは稲妻をプレイした。対象は極楽鳥である。後手プレイヤーは優先権を持ったままだがこれ以上やることはないのでパスをした
- 先手プレイヤーが優先権を得る。このままでは極楽鳥は致死ダメージを受けて破壊されてしまうため、それを防ぐために渦まく知識を追放し1点のライフを支払いForce of Willを唱えた。先手プレイヤーは優先権を持ったままだがこれ以上やることはないのでパスをした
- 後手プレイヤーが再び優先権を得る。稲妻を打ち消されたくないため、Volcanic Islandを手札に戻し目くらましを唱えた。後手プレイヤーはパスをし、優先権を再び先手プレイヤーに移した
- 先手プレイヤーはこれ以上対応を持ってないため、パスをした
- まず目くらましを解決しForce of Willを打ち消す。これによりForce of Willはスタックから取り除かれ先手プレイヤーの墓地へ落ちる。その後解決された呪文である目くらましも後手プレイヤーの墓地へ落ちる
- その後、後手プレイヤーが優先権を得るが特に何もすることがないためパスをし、先手プレイヤーが優先権を得るがパスを選択した
- これにより稲妻が解決され極楽鳥は3点のダメージを負った0/1クリーチャーになる
- その後、後手プレイヤーが優先権を得ようとしたとき、致死ダメージを負っている極楽鳥は状況起因処理により破壊される。この処理はスタックに乗らないため、これに対応して何かをすることはできない
- 後手プレイヤーが優先権を得る(以下省略)
まだ後手1ターン目の途中だがこれだけ大量の優先権の処理が発生する。TCGはこの優先権の交換で成り立つので、遅延行為は厳に慎む必要がある。
関連動画
この動画は、簡単に説明をしているため、わかりやすいだろう。
この動画の問2は優先権がらみの問題である。ただし、かなり頭が痛くなるので注意。
関連項目
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