国際ファクタリングとは、ファクタリングの一種である。
概要
定義
国際ファクタリングとは、外国の輸入企業が債務不履行を起こした場合も、売掛金の全部または一部を銀行預金にすることを保証し、安心を提供するサービスを指す。
ファクタリングの一種である買取ファクタリングは、サービス利用者の売掛金を取得して、その対価にサービス利用者に銀行預金を渡し、サービス利用者の財務状況を好転させるものである。国際ファクタリングは、そうした買取ファクタリングとは少し異なっている。
利用者
国際貿易をする輸出企業は、外国の輸入企業に向けて商品を輸出している。
外国の輸入企業は、どんな企業なのかよく分からない。売掛金を発生させても、真面目に支払ってくれるのか不安である。このため国際ファクタリングは、安心を求める輸出企業たちの間で広く利用されている。
流れ
国際ファクタリングに関わるのは4社とされる。
国内ファクタリング企業 | 4.→ 10.← |
外国ファクタリング企業 |
3.↑ 6.↑ 8.↑ 11.↓ | 5.↓ 9.↑ | |
国内輸出企業 | 1.⇔ 2.⇔ 7.→ |
外国輸入企業 |
- 国内輸出企業と外国輸入企業が売買契約を結ぶ
- 国内輸出企業が外国輸入企業に国際ファクタリングの利用を提案し、同意を得る
- 国内輸出企業が国内ファクタリング企業に審査を依頼する
- 国内ファクタリング企業が外国ファクタリング企業に審査を依頼する
- 外国ファクタリング企業が外国輸出企業に審査をする
- 審査結果を受けて、国内輸出企業と国内ファクタリング企業がファクタリング契約を結び、債権を譲渡する
- 船・飛行機に商品を載せ、商品を輸出する。
- 国内輸出企業が商品を輸出したことを証明する書類を国内ファクタリング企業に提出する
- 外国輸入企業が外国ファクタリング企業に銀行振り込みする
- 外国ファクタリング企業が国内ファクタリング企業に銀行振り込みする
- 国内ファクタリング企業が国内輸出企業に銀行振り込みする
商品を引き渡す前に、ファクタリング契約をする
ファクタリングといえば買取ファクタリングのことをいうが、その買取ファクタリングでは、売買契約が成立して商品を債務企業に引き渡してから、ファクタリング契約を結び、売掛金をファクタリング企業に譲渡して銀行預金を受け取る。
国際ファクタリングでは、買取ファクタリングと違って、売買契約を結び、国際ファクタリング契約を結んでから、商品をやっと船・飛行機に載せる。
分かりやすく表にすると次のようになる。
ファクタリング契約をするタイミング | |
買取ファクタリング | 商品を引き渡した後 |
国際ファクタリング | 商品を引き渡す前 |
売掛金を銀行預金に変換するタイミングが、買取ファクタリングに比べて遅い
ファクタリングといえば買取ファクタリングのことをいうが、その買取ファクタリングでは、売掛金を譲渡すると、売掛金の債務企業が支払う前であっても、すぐに銀行預金に変換してくれる。
国際ファクタリングでは、買取ファクタリングと違って、売掛金を譲渡してもすぐに銀行預金に変換してくれるわけではない。外国輸入企業が支払いを行ってから、「売掛金から手数料を差し引いた金額」の銀行預金を払ってくれる。
分かりやすく表にすると次のようになる。
銀行預金をもらうタイミング | |
買取ファクタリング | 債務企業が支払いをする前 |
国際ファクタリング | 債務企業が支払いをした後 |
外国輸入企業が支払い不能になったときに保証してくれる
外国の輸入企業が、支払い不能に陥ったとき、国内ファクタリング企業から「売掛金から手数料を差し引いた金額」の全額または一部が保証される。
国際ファクタリングを手がける企業が少ない
国際ファクタリングを提供できる企業はごくわずかに限られている。日本では、三井住友銀行と、みずほファクターと、三菱UFJファクターだけとされている。
国際貿易は巨額の取引になりやすいので、国際ファクタリングを提供するには巨額の保証をすることができる資金力を必要とする。そうした大きな資金力を持つことができるのは、メガバンクやメガバンク傘下企業ぐらいのものである。
また、国際ファクタリングにおいては、海外のファクタリング企業と意思疎通を図る必要があり、語学堪能なスタッフを大量に雇用しなければならない。そうした人員確保ができる大手企業というのは、やはり少数の存在である。
世界各国の国際ファクタリング提供企業は、Factors Chain International(FCI)という国際組織を作り上げている。これに加入している企業には、各国の有力銀行やその子会社が多い。
関連項目
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