日産ディーゼル・スペースアローとは、日産ディーゼル(UDトラックス)が2010年まで製造していた大型ハイデッカー観光バスである。床面高さを更に高くしたハイデッカーバスはスペースウィングと呼ばれていた。
ここではダブルデッカーバスのスペースドリームや日産ディーゼル・フィリピンからの逆輸入車であるユーロツアーについても触れる。
概要
日産ディーゼルは自前のバス車体製造メーカーを持たず、富士重工業か西日本車体工業の製造した車体を架装するようになっていた。前者は東日本を中心に、後者は西日本を中心に見られたが、2003年からは西日本車体工業に一本化された。
2005年7月に発表されたADG-規制車から国産の大型観光バスでは珍しくMT車の設定を廃止し、変速機をドイツのZF社と日デが共同開発した電子制御式トルクコンバーターオートマチックトランスミッションECOMAT2plusに一本化。この時400馬力クラスのエンジン搭載車も廃止されており、事業者からの反応が注目されたが、東京空港交通では空港リムジンバス用に機関直結エアコン仕様車を大量導入しており、利用者からもシフトショックの少ない走りが好評のようである。
バリエーション
スペースアロー・スペースウィング
日産ディーゼルが自社で製造していたモデル。ハイデッカーがスペースアロー、スーパーハイデッカーがスペースウィング。2006年6月に発表されたPKG-RA系が最終モデル。
スペースアローA・スペースウィングA
三菱ふそうトラック・バスと日産ディーゼルのバス製造事業提携開始後に三菱ふそう側からエアロエース、エアロクィーンがOEM供給されたもの。スペースアローAがハイデッカー、スペースウィングAがスーパーハイデッカー。
こちらは日デ自社製造のモデルよりも長く販売され、2010年9月発売のLKG-AS系が最終モデル。
ユーロツアー
日産ディーゼルがフィリピン国内向けのバス製造事業のために設立した「日産ディーゼル・フィリピン」(NDPC)で日本向けに製造した大型ハイデッカーバス。
ベルギーのヨンケーレ社からの技術供与によって誕生したモデルで、車体の素材にアルミニウムやFRPを取り入れ、国産車では実現できなかったハイコストパフォーマンスを実現した。海外生産に起因する信頼性への不安、操作安定性が悪い車軸懸架サスペンションであることなどからあまり普及せず、一代限りとなっている。
排ガス規制では平成6年規制のKC-代に相当するが、逆輸入車のために排ガス規制記号がない。
スペースドリーム
1983年に発表された2階建てバス。1984年に横浜市交通局へ3台が納車された。
車体は富士重工業製で、非常口が車体右側面にあるのが特徴。ダブルデッカーバスブームの終焉と居住性の悪さなどから、累計販売台数はわずか11台で1988年に生産中止。
しかし1993年には高速バス用としてダブルデッカーバスの需要が生まれたことから、ベルギーのヨンケーレ社の車体を架装して再登場。こちらもスペースドリームとして販売されたので、販売台数はもう少し多くなる。
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関連項目
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