馬(動物)
馬とは、ウマ目ウマ科に属する動物の事。学名はEquus ferus caballus(もしくはEquus caballus)。
馬の利用について
農耕、運搬、競馬、軍用、食用など幅広い利用が可能な家畜である。
古くから人類によって家畜化され、様々な目的で利用されてきた。特に産業革命が起こる以前の歴史では馬なしに語れない事柄が数多く存在する。
- 農耕では人間以上の馬力を使って耕作の手助けになるほか、遊牧民族などにおいては馬乳なども重要な栄養源であった。
- 馬車をはじめとした運搬なども人間だけで運搬するよりもより早く、より大量に物資を運ぶことが可能だった。
- 騎兵は近代になるまでその機動力を生かして戦う強力な戦力だった。第二次世界大戦になっても騎兵を主力として使い続けた国もある。
しかし、これら馬の仕事は産業革命以降近代文明が勃興すると、機械にその活躍の場を奪われることになる。
現代においては騎兵は形式的な意味でしかおかれていないことが多い(イギリス・ロンドンなどでは騎馬警察が存在する)。馬車もその役割を自動車・鉄道に譲っている。農耕もある程度以上の規模を持っているならば機械化が進んでおり、馬の出番はほとんどない。現代においてもっとも馬が活躍するのはやはり競馬ということになる。
まあ、実のところ、きちんと地方自治体の許可さえ貰っておけばペットとしての個人所有も可能であり、価格も実のところ50万円程度からの購入が可能だったりするため、東京や埼玉にもペットとして個人所有している人は存在する。
慣用表現としての馬
- 馬鹿 - 古代中国で馬と鹿を見分けられなかったことから愚か者を指す…といわれているが、実際の語源は異なるらしい。
- 馬並み - ペニスの大きさなどが並外れていること。すごく・・・大きいです・・・
- 馬面 - 面長の人を指してこう呼ぶことがある。
- 馬耳東風 - もっと熱くなれよぉぉぉぉ!!!! 該当記事参照。
主な馬の品種
一口に馬といってもわんこやぬこ様などと同じように様々な品種が存在する。
- サラブレッド
ご存知競走馬のサラブレッド。「馬」と聞いて大抵の日本人が連想するのが恐らくこの品種であろう。
ちなみに現在存在するサラブレッドは血統を遡ると全てがたった3頭に行き着くとか。 - アラブ(アラブ馬)
名前が示す通りアラビア原産の品種。非常に長い歴史を持つ品種の一つである。イスラム教(イスラーム)では預言者アーダム(最初の人間アダム)のためにアッラー自らが南風から創り出したとされ、神の被造物の中で最も美しい動物という別名を有する。
イケメン均整の取れた体格などから「馬の貴族」と呼ばれることがある。ちなみにかのナポレオンの愛馬・マレンゴもアラブ種。瞬発力には欠けるが耐久力において優れる。 - アングロアラブ
アラブ種とサラブレッドの混血。気性が荒く、またお世辞にも頑丈とは言えないサラブレッドの体質を改善するために生み出された。
日本の競馬ではアラブ種の血が1/4以上含まれたものがアングロアラブに認定される。
リンク先の方が詳しいので、もっと正確な情報を知りたい方はそちらへ。 - アメリカンクォーターホース(クォーターホース、AQH)
アメリカで生み出された乗用馬。「クォーター」というのは1/4マイル、つまり約400mのことを表している。
この名前が何を意味するのかというと、ゼロヨン競技400mのコースでのダッシュ力が重視された品種ということを表しており、短距離走ならサラブレッドをも圧倒する速さと評されている。早い話が阪神ジェットカー的な体質の持ち主。
西部劇でカウボーイが乗っている馬、と言えばいいだろうか。 - セルフランセ
フランス原産の馬術用の馬。アングロアラブ等をベースに様々な種類の血が混じっており、どちらかというと雑種に近い。
ちなみに「セルフランセ」として正式に登録されるのは、優れた運動能力を持っている馬に限られるとか。 - シャイアー(シャイヤー)
変態紳士の国イギリス原産の大型の馬車馬。というか世界一巨大な馬。体高(地上から肩までの高さ)が2mというとんでもない馬がギネスブックに登録されたことがある。
そして足がモフモフ。 - クライズデール
イギリス原産の大型の馬車馬。「ゼルダの伝説」のエポナもこの品種という設定があるらしい。 - ペルシュロン
フランス原産の大型の馬車馬。元々は騎兵用の馬として、重量のある鎧を着込んだ騎兵に耐えうる種類として生産された。体重は1t前後にもなる。
千葉市動物公園では「ヤエホマレ」という、どこかの日本酒のような名前のペルシュロンが飼われている。
北海道では農耕・荷役といった生活のための馬として輸入され、北海道独自の競馬「ばんえい競馬」でもペルシュロンの血を引く馬が多用されている。 - フリージアン
オランダ原産の馬。毛色は多くが黒。
日本では「ハウステンボス」にかなりの数が居る。 - ハフリンガー
オーストリア原産の馬車馬兼乗用馬。種類としての均質性が非常に高く(口悪く言えば大抵は同じ見た目)、慣れてくればほぼ一発で「あ、こいつはハフリンガーだな」と判別可能。ちなみに毛色は大抵は尾花栗毛(たてがみや尾が白い栗毛の馬。『ゼルダの伝説』のエポナを想像してもらえばいいだろう)。
人懐こく力持ちで扱いやすい品種として、乗馬クラブでの人気が高い品種の一つ。何より冬毛のもふもふ具合が半端ない。
つまり何が言いたいのかといえば、ハフリンガーはとにかく可愛い。 - 北海道和種(道産子)
道産子。国産の馬の代表格。
かつては冬場は完全に放し飼いにされており、自生する笹を食べて暮らしているというある意味凄まじいライフサイクルを送っていた。
このため性格はどちらかというと野生馬に近く、気性が荒い場合が多い(一部では人に慣れていない道産子は猛獣並だ、とすら言われているとか)が、反面人に慣れた道産子は馬としての群れる傾向が強く、乗用馬としての適性が高いという評もあるらしい。 - シェトランドポニー
シェトランド諸島原産の超小型のポニー。日本人が「ポニー」と聞いて連想するのは大概こいつ。
体高は110cm前後と馬としてはかなりの小型の品種であるが、見た目に反して力があり、大人を乗せることも割と余裕。
その身体の小ささを活かしてかつては炭鉱内でトロッコを牽いていたこともある。
そして冬毛がモフモフ。 - ミニチュアホース
シェトランドポニーよりさらに小さい馬。ここまで小さいと最早人を乗せることは難しく、どちらかというとペットとしての需要が主である。
分類上はポニーに該当するのだが(体高147cm以下の馬はポニーと総称される)、愛好家は「ポニーではない。小さな馬だ」と言いはることも少なくないらしい。
大きさ的には大型犬くらいのサイズと思ってもらえばいいだろう。 - 木曽馬
日本本州では唯一の日本在来種であり、主に農耕に使用された。中型馬で分類上ポニーに分けられる。
元々蹄が堅い品種であり、農耕に使う程度なら蹄鉄が不要なため、日本における蹄鉄の導入が遅れた。
近似種に蒙古馬があり、木曽馬の原種といわれている。 - 野間馬
遅くとも古墳時代から存在する愛媛在来の馬を品種改良されたポニー。
江戸時代、当時の今治藩領主が「4尺以上の馬は買い上げる、未満は好きにしろ」(=小型馬は飼育費用は負担しないが無償で払い下げる)というお触れを出したため農民はこぞって小型化させた。
小型だがパワーは十分、蹄鉄いらずで更に人懐っこいと農耕用家畜として大変珍重されたが明治の小型馬生産禁止・戦後の機械化もあり絶滅寸前に。
現在は篤志家が所有していた野間馬が今治市に寄贈され、今治市の天然記念物になっている。
関連動画
関連項目
馬(マスク)
ニコニコ動画では動画内に出演する際に素顔を隠したりするためによくマスクが用いられるが、その中でもアイコ社製の馬マスクを着用している人は数多い。
その見た目のインパクトからか、馬マスクが登場しただけで「馬wwwwww」というコメントが絶えなくなる。
場合によっては、マスクをせずに登場しても「人の中が馬」「馬の外の人」という解釈をされてしまうこともある。
馬マスクが登場する人気動画は中の人が違えどいくつも存在するため、ニコニコオールスター【2】 ほんのもう少し楽しくなる動画では「馬マスクをかぶった人」がニコニコオールスターの一員として登場している。この中の人は視聴者それぞれが自分の思う馬を思い浮かべるべきであろう。
馬マスクの中の人一覧(追記求む)
- そろり / だび☆すた(エレドラ奏者)
- おぐにゃ(ドラム奏者。最近はマスクをしないで動画に登場することも多い)
- 社長(歌い手。ランティス組曲関連番組・動画に出演した際に着用)
- 中村イネ(ひとりセッションの馬)
- 馬犬(ハイポーションの馬)
- パーヤン(のVo.)
- ヲタケン(サークルWM主宰。顔出し多し)
- コウジP@DDR(Dance Dance Revolutionプレイ動画投稿者)
- 駄馬(踊り手)
- 馬(動画投稿者)(FPSゲームのプレイ動画投稿者)
- ばあちゃる(世界初男性バーチャルyoutuber)
関連動画
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馬姓
中華圏で一般的な姓である。
趙の馬服君の末裔、馬に関する役職の人がつけた、司馬遷の末裔が改姓した、イスラム教の民族が中国風の姓をつけるときにムハンマドの表記の一つ馬哈麻から馬姓とした、などいろいろな起源がある。
著名な人物
- 馬殷 - 五代十国の楚の建国者
- 馬援 - 中国の後漢初期の武将
- 馬遠 - 南宋の画家
- 馬休 - 後漢末の武将
- 馬岱 - 後漢末の武将
- 馬玩 - 後漢末の武将
- 馬謖 - 後漢末の武将
- 馬祖常(? - ?) - 中国の元の文人
- 馬到遠(? - ?) - 中国の元の戯曲家
- 馬超(176年 - 222年) - 中国の後漢末から三国時代にかけての武将
- 馬騰 - 後漢末の武将
- 馬鉄 - 後漢末の武将
- 馬良(187年 - 222年) - 中国の後漢末から三国時代にかけての政治家
- 馬英九 - 第6代中華民国(台湾)総統
- ヨーヨー・マ(馬友友) - 中国系アメリカ人のチェリスト
その他の馬
- 馬(映画) - 1941年の日本の映画。
- マレーシア(馬来西亜)・マレー(馬来)の略。
- 将棋で、竜馬(成角)もしくは桂馬の事。
- 馬(シャンチー) - シャンチー(中国象棋)の駒。
- 馬(チャンギ) - チャンギ(朝鮮将棋)の駒。
- ホースニュース・馬 - 競馬予想専門紙。
- 道路工事などで使用されるバリケードの通称。
- 自動車の整備・展示用の固定式ジャッキの通称。
- 移動できる簡易的な土台のこと。馬台。
漢字として
- 意味
- ウマ、(罵と通じて)罵る。
- 〔説文解字・巻十〕には「怒るなり。武なり」とある。これは怒、武の音と馬の音とが畳韻の関係にあることを踏まえた解説。
- 字形
- たてがみのあるウマの姿の象形。〔説文〕に「馬の頭・髦・尾・四足の形に象る」とある。
- 音訓
- 音読みはバ(漢音)、メ(呉音)、マ(唐音)、訓読みは、うま。
- 規格・区分
- 常用漢字であり、小学校2年で習う教育漢字である。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。JIS X 0213第一水準。
- 部首
- 馬は馬部という部首を作り多くの字がある。
- 声符
- 馬を声符とする漢字には瑪、碼、罵、禡などがある。
- 語彙
- 馬官・馬脚・馬矢・馬歯・馬耳東風・馬車・馬主・馬首・馬術・馬上・馬食・馬酔木・馬前・馬丁・馬蹄・馬頭・馬肉・馬糞・馬力・馬鹿
異体字
- 𢒠は、〔説文(大徐本)〕に「古文」「籀文の馬、𢒠と同じ、髦有り」とある異体字。
- 𢒗は、〔集韻〕に「馬、――古、𢒗と作(な)す」とある異体字。〔説文(段注本)〕はこの字を籀文としている。
- 𢒧は、〔康煕字典〕に〔説文〕を引いて「籀文馬字」とある異体字。
- 𩡬は、〔字彙補〕に「古馬字」とある異体字。
- 簡体字は马。
互換文字
関連項目
- 海外の姓名の一覧
- リアルダービースタリオン(ニコニコがやっている競走馬を「みんなで」育てる企画)
- ウマ / うま
- (メディアミックス作品「ウマ娘 プリティーダービー」の世界では四本脚の「馬」が存在しないのでこの文字が用いられる)
子記事
兄弟記事
- なし
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