聿とは、筆や棒をもつ様子を表す漢字である。
漢字として
- 意味
- 筆、という意味がある。また、ここに、と読み発語として用いられる。
- 〔説文解字〕には「書する所以なり。楚に之れを聿と謂ふ、吳に之れを不律と謂ふ、燕に之れを弗と謂ふ」とあり筆のことである。
- また遹・欥・曰・述・術と通じる。
- 字形
- 筆や棒をもつという字形。象形なのか会意なのか指事なのかは諸説あって、又と筆の形の会意説、筆の形に印をつけた指事説、𦘒が筆をもつところで一は竹簡だとする説などがある。〔説文〕は「𦘒に從ひ一聲」と形声としている。筆の初文。
- 甲骨文では、筆か棒かで形が違うようだが、篆書では同じ字形である。
- 音訓
- 音読みはイツ、イチ、訓読みは、ふで、ここに、ついに。
- 規格・区分
- 常用漢字ではない。JIS X 0213第二水準。
- 部首
- 聿は部首聿部を作る。部首の場合はふでつくりとも呼ばれる。
- 意符
- 意符として筆を持つ、棒を持つ、針を持つ意味で使われる。筆を持つ意味としての会意字には、書(𦘠、聿+者)、建(聿+廴)、筆(聿+竹)、肅(聿+𣶒)、盡(聿+皿)などがある。棒を持つ字には、㶳(聿+火)、針を持つ字には、𦘔(聿+彡)がある。
- 声符
- 聿を声符とする漢字に、律、などがある。
- 語彙
- 聿役・聿越・聿懐・聿皇・聿修・聿遵
異体字
- 肀は偏旁に使うときの形の一つ。
互換文字
- 1
- 0pt