音読みとは一般的に、漢語を書きあらわす文字である漢字における、中国から伝わってきた読み方のことである。
辞書などにおいてはカタカナで書きあらわされる。
この記事においても辞書の表記にならい訓読みはひらがなで、音読みはカタカナであらわす。
概要
当然だが、漢字は文字だけが伝わってきたわけではなく、同時に読み方も伝わってきた。しかしながら、中国において少しずつ読み方が変化しているため、日本に伝わってきた時期によって呉音、漢音、唐音、慣用音の4つに分類される。
呉音
最も古くから使われている読み。呉音と呼ばれるようになったのは漢音が伝わってからである。ナ行やマ行で始まるもの(万 マン、男 ナン など)、母音がikiであるもの(色 シキ、力 リキ など)などがある。母音が同じで清音と濁音の読みがある場合、濁音の方が呉音である。
仏教用語として使われている読みは基本的に呉音である。往生(オウジョウ)、殺生(セッショウ)などの単語を思い浮かべてみればわかるだろう。
漢音
平安時代に遣唐使が伝えた読み。一般庶民に普及するようになったのは明治になってからである。呉音と比較すると、鼻音(ナ行やマ行)が濁音に(万 バン、男 ダン など)、濁音が清音になるなどの変化がみられる(神 シン、分 フン など)。
明治以降に西洋文化の流入の結果生まれた和製漢語は基本的に漢音である。文明(ブンメイ)、社会主義(シャカイシュギ)などの単語を思い浮かべてみればわかるだろう。
唐音
狭義には江戸時代に伝わった読みのことだが、平安中期から鎌倉時代に伝わった読み(宋音)を含めるのが一般的。呉音や漢音と異なり、唐音があるのはごく一部の漢字のみである。
行、杏、餡(いずれもアン)、子(ス)、明(ミン)、清(シン)などが該当する。
慣用音
上記のいずれにも当てはまらない読み。中国から来たのは間違いないのに呉音、漢音、唐音のいずれにも分類できない読み(茶 チャ など)、本来の読み方ではないものが広まってしまったもの(輸 ユ、耗 モウ など)などが該当する。日本で生み出された漢字である国字の音読み(働 ドウ、腺 セン など)は必然的にこの慣用音に分類される。
関連項目
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