N-II とは、1987年に運用を終了した日本の第2世代型液体燃料ロケットの名称である。
日本のロケット開発ではN-I ロケットとH-I ロケットの橋渡し的存在であり、
なおかつ気象衛星「ひまわり2号」など日本における実用衛星を打ち上げたロケットでもある。
概要
N-II ロケットとは宇宙開発事業団(NASDA)と三菱重工が、
米国デルタロケットの技術等を参考に開発していた3段式の中型液体燃料ロケットである。
開発経緯
東京大学生産技術研究所を礎とする固体燃料ロケットの分野ではそれなりの技術を有していた日本であったが、
実用的な大型衛星などを打ち上げ可能とする液体燃料ロケットの開発には遅れをとっていた。
これらの開発担当となったNASDAは米国からの技術供与を得てデルタロケットの技術を段階的に習得、
本機はN-I ロケットの改良型として打ち上げ性能向上を狙った機体である。
機体構成
3段式の液体燃料+固体燃料ロケットで、米国デルタ1904ロケットの略同型といえる。
全長35.36メートル、総重量135.2トン。(積荷の人工衛星を除く)
第1段機体
N-I ロケットにも使用した、液体酸素とケロシンを燃料とするMB-3-3エンジンを使用。
第2段機体
当初は国産エンジンであるLE-3の性能向上型を使用する計画だったが、思った成果が出ずにこれを断念。
デルタロケットの第2段として使われていた四酸化二窒素とエアロジン-50を推進剤とする、
エアロジェット社製エンジンの改良型AJ10-118FJを石川島播磨重工がライセンス生産する事となった。
5号機以降では更に改良を施したAJ10-118FJIを使用、性能向上を図ることとなる。
第3段機体
サイオコール社の固体ロケットモータ スター37Nを輸入して使用。
補助ブースター(SOB)
サイオコール社の固体ロケットモータ キャスターII を、
日産自動車宇宙航空事業部(現IHIエアロスペース)がライセンス生産。
ロケット打ち上げ時には、第1段部分に9基装着し推力増強。
なお後継機種であるH-I ロケットと共に、9本のSOBが上空で分離する様は圧巻である。
ペイロードフェアリング(衛星フェアリング)
マクドネル・ダグラス製のデルタロケット用フェアリングを輸入して使用。
打ち上げ能力
打ち上げ実績
8回中すべての打ち上げに成功。
詳細
| 機体番号 打ち上げ日時etc | 搭載衛星 |
| 1号機(N7F) 1981/02/11 17:30 ※初飛行 |
|
| 2号機(N8F) 1981/08/11 05:03 | |
| 3号機(N10F) 1983/02/04 17:37 | |
| 4号機(N11F) 1983/08/06 05:29 | |
| 5号機(N12F) 1984/01/23 16:58 ※第2段エンジンを ※改良型のAJ10-118FJIに変更 |
|
| 6号機(N13F) 1984/08/03 05:30 | |
| 8号機(N14F) 1986/02/12 16:55 | |
| 7号機(N16F) 1987/02/19 10:23 ※N-II ロケット8号機と ※H-I ロケット1号機が先行打ち上げ |
成果とその後
第2段エンジンの計画変更などで国産化率はN-I ロケットのそれよりも低下する一方、
安定した打ち上げ実績を残す事になる。
開発が難航していた国産のLE-5エンジンの完成に伴い、H-I ロケットへとバトンタッチし運用を終了する。
関連コミュニティ 関連チャンネル
関連リンク
関連項目
- NASDA 宇宙開発事業団 / 三菱重工 / 石川島播磨重工 / 日産自動車
- ISAS 宇宙科学研究所
- JAXA 宇宙航空研究開発機構
- N-I / H-I / H-II ロケット
- 種子島宇宙センター
- 気象衛星ひまわり
- 打ち上げロケット・宇宙機の一覧
- 宇宙へ打ち上げリンク
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