SCP-414とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
項目名は『Regardless, I Might Prefer Myself Sick (それでも、私は病んでいる方が好きかもしれない。)』。
概要
SCP-414 | |
基本情報 | |
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OC | Keter |
収容場所 | N/A |
著者 | SoullessSingularity |
作成日 | 2016年1月26日 |
タグ | 人間型 未収容 知性 精神影響 聴覚 自我 認識災害 集団意識 |
リンク | SCP-414 |
SCPテンプレート |
SCP-414は非社交的な人間を対象とする現象。非社交的のレベルは問わないようで、単に内向的なだけの人間からひきこもりまで多くの人が対象になるが、大概はニート (Not in Education, Employment, or Trainingの略。)であることが発現のトリガーとなっている。地域的偏りはない。
まず、条件を満たす人物の前に、地元の福祉団体の職員を自称する実体群、SCP-414-1が現れる。彼らは円形の仮面と全身を覆う衣服を身に着けた長身のヒューマノイド群であり、対象者との接触・会話を終えるとどこへともなく消失する。この実体群は、単一の知覚・認識・意識を共有していると考えられている。
人がSCP-414-1実体群と会話すると以下に述べるSCP-414-2事象が起きる。この『会話』だが、なにぶん対象者がいわゆるコミュ障であることが多いためか、単に挨拶を交わすくらいでも『会話』判定になってしまう。
こうしてSCP-414-2事象が起きると、対象者は2-276日で以下のフェーズのように変遷していく。30歳以下であったり、SCP-414-1実体群と直接接触を行うと、フェーズ間の遷移も早くなることに留意されたい。
まず、対象者の孤独感が増し、ひとりで行う作業に満足しなくなる (第1段階)。次に人生において自意識の発達に強い影響を及ぼした出来事を思い出すことが困難になり始め、少なくとも7日に1度は会話することで症状は進行する (第2段階)。そして、だんだん5日に1度は他者と会話しないと満足しなくなり、単独行動を楽しんでいた記憶や、13歳以前の記憶を回想することが不可能になる。こうして自意識が減退し、社会活動に7日に1度は参加するようになる (第3段階)。
そしてついには自意識が完全に欠如するとともに、45時間ごとに他者と交流しないと充足感を感じなくなる。更に、2年以上続いている特定個人との関係性を思い出せなくなる。充足感を感じるためボランティアや社会的活動に精を出すようになる (第4段階)。そして、参加していないときは幻覚が見えるようになっていき、15分以上他者と会話しないと動揺するようになると最終段階。少なくとも3桁はこの段階に移行したと財団は確認している。
最終段階に移行した対象者は、完治できず対症療法でしか対応できない。SCP-414-2の死亡率は5年間で46.78%、10年間で67.84%と高いものであり、40歳以上になると死亡率が増加する。この死亡は自死によるもの。寂しさで自ら死を選択してしまうのだ。
人は個か、共同体か?
2014/09/12、SCP-414を研究していたチュアン博士はSCP-414-2事象を受けてしまった。これは、SCP-414-1実体と会話したことが要因である。当時はSCP-414-1実体群と会話してSCP-414-2になるのはニートのみと考えられていたため、SCP-414-1実体群に遭遇した際、咄嗟にインタビューを敢行したのだ。
なぜ上述のようなことをするのかと問われたSCP-414-1実体群は語る。『彼ら』は僅かしか働いていない。基盤を必要とするゆえに立ち止まる。だから、我々が救うのだと。しかしチュアン博士は反駁する。彼らは救われたと言えるのか?彼らは最後、自ら命を絶つと言うのに。しかし、SCP-414-1実体は彼らの最後の社会への貢献だと語って見せる。己を捨てることで、資源を他者のために残すのだと。それが社会のためであると。
チュアン博士は糾弾する。社会は個を必要とするのだと。そしてそれこそが成功への動力源や動機づけとなる、と。しかしSCP-414-1実体は怯まない。
貴方がたは確保し、収容し、保護する(secure, contain, protect)。しかし私は社会であり、共同体であり、発展であります(society, community, progress) ――人類を導く羊飼いなのであります。貴方は道を見失い病んだ仔羊であります、しかし間もなくそうではなくなるでしょう
SCP-414 - SCP財団より,2022/06/23閲覧
SCP-414-1実体はチュアン博士に接吻をして消失した。そしてこれがトリガーとなり、チュアン博士は症状を発現したのだ。
チュアン博士が研究主任から研究対象に変わってしまったので、その仕事は彼女の弟子であったアリス・オガワ博士に引き継がれた。そして、オガワ博士は研究対象となってしまった師にインタビューを行う。チュアン博士はオガワ博士を見て、どこかで見た顔だと述べ、何かしらのプロジェクトに取り組んでいたこと、弟子がいたこと、それらを思い出せないことを述べたが、それを語るチュアン博士は思い出せないことの不安より、他者と交流することの喜びに満ちていた。チュアン博士は「今のあなたは何が重要なの」と無邪気に問いかけてくる。
今の研究そのものだ、それは恩師のライフワークであり、それこそが私と恩師を結びつけてくれる。そう語るオガワ博士に、チュアン博士は信じるものがあることはいいことだ、それが人類を進歩に導くと述べると、やはり無邪気に尋ねる。あなたの恩師はどこにいるのだと。
「今はもう共に働くことはないだろう」とだけ述べると、オガワ博士はインタビューの終了を宣言した。チュアン博士は最後にオガワ博士に名を尋ねる。「アリスです」と回答されると、チュアン博士は「貴方と話せて楽しかった、アリス。きっと貴方の師は貴方を誇りに思っているはずだ。それに師のライフワークを引き継ぐことは助手にとっての夢でしょう?」とオガワ博士にエールを送る。
貴方に戻って来てほしいというほどに強い望みではありませんでしたよ……
SCP-414 - SCP財団より,2022/06/23閲覧
チュアン博士はこのインタビューから数年後、自殺を遂げている。それまでの間、オガワ博士は二度とかつての師と顔を合わせることはなかった。
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関連リンク
関連項目
- SCP Foundation
- SCP-4560 - 『万事快調』。こちらも表向きは元気で明るいように見えるのだが……。
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