名無し(Unnamed)とは1794年生のイギリスの元競走馬で第18回(1797年)ダービーステークスの優勝馬である。
名無しでは不便なので、便宜上記事名をコルトバイフィジェット(Colt by Fidget)とする。
父Fidget、母Highflyer Mare、母父Highflyerという血統。これについては後述する。
第5代ベッドフォード公爵フランシス・ラッセルによって生産・所有された。ベッドフォード公は第10回ダービーステークスをSkyscraperで勝利しているが、Fidgetによる子はあまり期待していなかったのか名無しのまま出走させている。
名無しはデビュー戦として1797年に行われた7頭立ての第18回ダービーステークスに出走し勝利した。
10か月の休養のあと名無しは4歳時の4月に2マイルのハンデ戦に出走するが、一昨年のセントレジャー優勝馬Ambrosioが優勝し、名無しは7着に敗れている。
記録に残っている出走は以上の2戦である。種牡馬として供用された記録も残っていない。彼は最後まで名づけられることはなかったが、現在ではコルトバイフィジェット(フィジェットの仔馬)と呼ばれている。
Q.名無しのまま出走していいの?
A.はい。1913年になるまでイギリスでは名無しが出走することが認められていました。まず近代競馬の初期の頃は競走馬より馬主のほうが重要でした。「○○アラビアン」「○○ターク」「○○メア」などは後の血統管理ために便宜的につけられたもので事実上名無しです、たとえば「ダーレーアラビアン」は「ダーレーさん家のアラブ馬」程度の意味です。
Q.未出走馬がダービーに出走していいの?
A.はい。他にデビュー戦がダービーで優勝した馬は第46回(1825年)のMiddleton(1戦1勝)、第59回(1838年)のAmato(1戦1勝)がいます。コルトバイフィジェットの頃は2歳戦・3歳戦のレース体系がそんなに整備されていませんでしたし。そして今でもたぶんそれは適用されています。普通は出走登録料が高いのと空気を読んでやらないんですけど。
でもどこの国でも空気を読まない人はいるようで、2017年とつい最近にトッドという人が未勝利戦を2戦して8着、5着の未勝利馬Diore Liaという牝馬をダービーに出走させようとして物議を醸しました(結局当日朝になって故障が見つかって回避)。2020年にはAmhran Na Bhfiannという未勝利馬がダービー3着になって波乱の一端を担いましたが、この年は新型コロナウイルスの影響で予定通りに競馬が開催されなかったこともあって、しゃあないって雰囲気でした。
| Fidget 1783 鹿毛 |
Florizel I 1768 鹿毛 |
Herod | Tartar |
| Cypron | |||
| Cygnet Mare | Cygnet | ||
| Y. Cartouch Mare | |||
| Matchem Mare 1777 栗毛 |
Matchem | Cade | |
| Partner Mare | |||
| Syphon Mare | Syphon | ||
| Shakespeare Mare | |||
| Highflyer Mare 1784 黒鹿毛 FNo.6-a |
Highflyer 1774 鹿毛 |
Herod | Tartar |
| Cypron | |||
| Rachel | Blank | ||
| Regulus Mare | |||
| Giantess 1769 鹿毛 |
Matchem | Cade | |
| Partner Mare | |||
| Molly Long Legs | Babraham | ||
| Fox-Hunter Mare |
Herodの3×3、Matchemの3×3とキツいクロスがあるが、この馬の場合、そこはあまり問題じゃない。
父 Fidget
ベッドフォード公所有の4頭の種牡馬のうちで一番期待されてなかったようだが、他は外国の資料を見てもよくわかっていない(知っている人がいたら修正・加筆お願いします)。全弟に名無しでダービーを勝利して後にEagerと名付けられる競走馬がいる。
母 Highflyer Mare
便宜上付けられた名前で、名無しである。
父父 Florizel
競走馬として23戦16勝。種牡馬としても第1回ダービー馬Diomedなど多くの活躍馬を輩出している。
父母 Matchem Mare
名無しである。繁殖牝馬として前述のEagerを生んでいる。
母父 Highflyer
競走馬として12戦12勝。種牡馬として13回リーディングサイヤーになっている。
母母 Giantess
孫に1811年~1813年リーディングサイヤーのSorcerer、初のダービー・オークス優勝馬のEleanorなどがいる。この馬の子孫となる牝系にPersonal Ensignなどがいる。ファミリーナンバー6-aの多くがこの馬の子孫。
このように今にしてみればかなりの良血である。コルトバイフィジェットがダービーを勝利したのは必然だったのかもしれない。
掲示板
1 ななしのよっしん
2021/08/12(木) 09:11:12 ID: Xr5MyDBPAG
デビュー戦がダービーだったダービー馬は1825年(第46回)のMiddletonもそう
1戦1勝のまま無敗で引退
2 ななしのよっしん
2023/02/16(木) 18:42:16 ID: zAad0flMYp
ダービーの権威が今ほどなかった時代の産物だろうか
今だとダービーがデビュー戦よりも名前がないほうが物議を醸しそう
3 ななしのよっしん
2023/05/30(火) 00:51:04 ID: 4e1piURK5i
今はそもそも名前を登録しないと競走馬として出走できないので名無しという事態は起きない
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最終更新:2025/12/05(金) 20:00
最終更新:2025/12/05(金) 19:00
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