スケープゴートとは、ある過失の責任を取らされ「身代わり」となる個人、または集団の事。
他人の過失の責任を取らされる「生贄」「身代わり」のことをスケープゴートと言う。
有名どころでは「中世の魔女狩り」が挙げられる。気候不良などによって生じる飢餓の不満から目を逸らさせるために支配者階級が目をつけたのが異教徒であり、その原因を彼らに押し付けたのが魔女狩りである。現在でも政治的・国際的な事件が生じた際になど、本当の犯人を隠そうと「スケープゴースト」を利用していると見られるような事例が生じている。
またスケープゴートとなるのは必ずしも人物というわけではなく、例えば凶悪事件が起こった際の「ゲーム・漫画」叩きなども、「明確な原因を挙げる事ができない」責任を逃れるために分かりやすいそれらに責任を押し付けているという見方もでき、一種のスケープゴートと考える事ができる。
これはもともとヘブライ語聖書(トーラー。旧約聖書)のレビ記第16章に登場する、人々の罪を背負って野に放たれる山羊が由来となっている。
レビ記第16章では、贖罪の儀式のために2匹の山羊が用意される。そして「主のための山羊」と「アザゼルのための山羊」をくじで決める。
(※この場合の「主」とは神、YHVHのことである。)
その後、「主のための山羊」は殺され、イスラエルの民の罪をすすぐためにその血が贖罪の祭壇に注がれる。
対して、「アザゼルのための山羊」は、イスラエルの民の罪を背負わせる儀式を行ってから荒野に放たれる。
この「アザゼルのための山羊」が「スケープゴート(英語でscapegoat)」の語源となった。
「アザゼル」はヘブライ語で「עזאזל」と記載するのだが、「עז」はヘブライ語で「山羊」も意味し、「אזל」は「逃れる」という意味でもある。
「逃れる山羊」、つまりこの放逐されて逃げ去る山羊そのもののことであるとも解釈できるわけだ。
この解釈を採用して英訳された聖書では、「עזאזל(アザゼル)」は「逃れる(scape)」「山羊(goat)」、すなわち「scapegoat」と訳された。
そこから、「罪を背負わせられる者」を「スケープゴート」というようになったというわけである。
(※なお、現在ではこの解釈をとっているものは少なく、無理に訳さずそのまま「アザゼル」としていることが多い。つまり「アザゼル」が何を意味するのかは不明のままである。詳しくは「アザゼル」の記事を参照。)
「身代わり」というイメージに引っ張られてか、「scapegoat」という英語が「生贄の山羊を意味する」、と認識している人も多い。しかし上記のようにレビ記第16章において、「生贄にされる」のはもう一匹の「主のための山羊」であり、「アザゼルのための山羊」すなわち「スケープゴート」は生かして追放される側である。
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最終更新:2024/10/07(月) 14:00
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