生贄とは (イケニエとは) [単語記事]

生贄とは、

神への供物、または供物を備えること
他人の欲望の犠牲になる人を指す比喩表現
団鬼六による小説
柴田哲孝による小説

である。ここでは1.について記載する。

概要

神話や伝承、祭礼などで見られる、人間を含む動物を神への供物として捧げる儀式。

生贄が人間の場合は「人身御供」とも呼ばれる。

多くの古代文明に見られた行為であり、アステカ文明やマヤ文明、インカ文明、エジプト文明などは大々的に人間を生贄として捧げる風習があったことが記録されている。

アメリカ大陸では子供や処女が生贄にされることが好まれたようだが、奴隷や捕虜などもバンバン生贄にされた。

アステカ文化においては「花の戦争」が行われ、敗者は儀礼の生贄となった。また、古代メソアメリカ文明では生贄に選ばれることは神の領域に入る栄誉でもあり、儀式として行われていた球戯では「褒美」として勝者が生贄に捧げられることもあった。

生贄は神々や霊の怒り、或いは宇宙の力を静めることを目的とした、利他精神に支えられた重要な行為であった。しかし、生贄を行う側からすれば神聖な行為であるのだろうが、信じない側からすればオカルトの極致のような行為であり、原住民が行っていた生贄の儀式を侵略者や後から来た偉い人が野蛮だとして禁じた事例は少なくない。

現代の宗教行事において、生贄の儀式は文字通りに行われることはほとんどないが、供物を米や酒、野菜などに代替した生贄の儀式の名残はあちこちで残っている。

『遊戯王』を始めとするカードゲームでは、カードの発動及びモンスター召喚の際に他のカードをコストとして捨てることを「生贄」と呼んでいたが、保護者などから残酷だというクレームがついたこともあり、現在では「リリース」や「コスト」など他の言葉に言い換えられていることが多い。