デイビッド・グレーバー(1961~2020)とは、アメリカの人類学者である。
シカゴ大学で学位を取得した後、イェール大学で教壇に立つが、2005年に契約を更新しない決定が何の問題も起こしていないグレーバーに下され、その後アナーキストとして活動する一方人類学者としての評価も高まっていった。
グレーバーはタルコット・パーソンズといった社会学における価値、「最小化・最大化アプローチ」と呼ばれる経済学の価値、ソシュールに代表される言語学の価値、それぞれに人類学はクライド・クラックホーンやマリノフスキー、サーリンズやデュモンといった人々の試みのように関与していったのである。グレーバーはこうした価値をめぐる人類学の試みは、論理的に一貫したシステムを詳細に描くことで個人の行動から離れ、経済理論が入り込む隙を与えないようにしてきたとする。
さらに人類学は構造主義の問題を飛ばしてポストモダンの議論に向かったが、フーコーやブルデュー、アパデュライといった人々は古い理論を再構成しただけとする。
そこでグレーバーが注目したのがナンシー・マンの研究である。彼女はすべての構造が人間の行為から成り立っており、人は最も重要で意味があると思うものにエネルギーを投入すると主張し、グレーバーはこれが贈与/商品の二元論に大きく風穴を開けたと評価する。つまりこれまでの価値の理論と異なり、行為の隠された生成的な力から始めることによって、価値は人々が自分たちの行為の重要性を自身に向けて表象し、そこには社会関係を作り出す包括的な人間の潜在能力に根差した行為の力があるとしたのである。
つまり社会が主に行為によって構成されるという伝統に立ち返り、そこでの「社会構造」は行為者が絶えず自己を再定義する手段となる。そしてある種の全体性としての構造は一時的な姿にすぎず、その価値は常に「社会」というレベルにおいて実現し、常にある種の全体への参照がなされる。要するに「行為の生成的力」、「想像的全体性」の二つがグレーバーの価値理論なのである。
グレーバーは特定の価値への全体化に対抗し、自分たちが望む価値を自由に考えることのできる、より妥当で強制的ではない制御機構がどのようなものかを考えるべきだと主張したのである。
掲示板
3 ななしのよっしん
2020/10/10(土) 16:46:10 ID: rwDFdpFl9k
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削除しました ID: 9ZUUKPtz1+
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5 ななしのよっしん
2024/02/23(金) 19:12:33 ID: vBsvec5dkJ
グレーバー、ルトガー・ブレグマン、ジェームズ・C・スコットらがかなり大きな知的集団を作ってる気がする。要するに文明自体を断罪する。
彼らが、ピンカー、ドーキンス、ダニエル・C・デネットら「楽観的で科学」の側の人たちを批判しているようにも見える。
あと、グレーバーはユヴァル・ノア・ハラリ、じゃれド・ダイアモンドも批判する。
さて、この論争の中でチョムスキー、オリバー・ストーンらアメリカ左派、フランシス・フクヤマ、また進化心理学の人たち、ビッグ・ヒストリーの人たちはどんな立場なんだろう。
そして日本は。
未来は誰に軍配を上げるんだろう…
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最終更新:2025/12/06(土) 02:00
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