ニーアル・ファーガソン(1964~)とは、英米圏の歴史学者である。
スコットランドの都市グラスゴーに生まれる。1986年にオックスフォード大学モードリン・カレッジ卒業、1989年同大学にて博士号取得。ケンブリッジ大学フェローやオックスフォード大学教授、ニューヨーク大学スターン経営学大学院教授を経て、2004年からハーヴァード大学教授。またさまざまな大学でフェローとして勤める。
彼の関心は国際金融史から始まっているが、その知名度を一段と上げたのは2003年に発売された『帝国』である。
『帝国』における彼の論点は3つある。一つ目のポイントは、帝国は拡張主義のための資金を調達すべく様々な制度的イノヴェーションを起こし、グローバルな経済の拡大に寄与する、というものである。二つ目のポイントは大英帝国の統治が、自由主義、啓蒙主義の世界的拡大に寄与した、というものである。三つ目のポイントはイギリスの帝国統治が植民地に対して、持続的なコミットメントを持った、というものである。
この三つの論点はあくまでもグローバルな自由主義の擁護・拡大の観点から、大英帝国の果たした役割をポジティブに評価したものに過ぎない。そのため異論も多く見られた。
しかし、ファーガソンのより重要な著作が、アメリカが帝国としての責任を果たしていないとする、2004年の『コロッサス』である。この議論も論点が3つある。一つ目のポイントは、アメリカ自身の否認にもかかわらず、アメリカの歴史は帝国の歴史である、というものである。二つ目のポイントは前述したとおり、アメリカは帝国としての役割を果たしていない、というものである。そして三つ目のポイントが、その結果グローバリゼーションの帰結として、世界の無極化に我々が対峙している、というものである。
つまり彼のアメリカ批判は、帝国として責任を果たせるだけの実態的な力は十分あるにもかかわらず、その責任を果たそうとしないといういらだちなのだ。
彼の著書は昨今日本でも紹介され、「競争」、「科学」、「所有権」、「医学」、「消費社会」、「労働倫理」の六つが西洋が優位性を確立した要因である一方、複雑適応系のような文明は突然に崩壊し消滅するものであり、西洋文明にもそれが訪れているのが現在だと主張する、『文明: 西洋が覇権をとれた6つの真因』などが記憶に新しい。
彼の主張には異論も多いが、現代社会がどこに向かっているかを考えるのに、一読の価値はある現代の重要人物の一人とされている。
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最終更新:2025/12/06(土) 09:00
最終更新:2025/12/06(土) 08:00
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