割引債 単語

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割引債とは、債券の一形態で、定期的に支払われる利子が存在せず、額面価格よりも低い価格で売り出されるものをいう。ゼロクーポンとも呼ばれる。
 

概要

割引債の特徴

中央政府地方自治体企業が、資金調達を的として、金銭債権の内容を券面上に実体化させて発行する有価券のことを債券という。中央政府が発行する債券は国債地方自治体が発行する債券は地方債企業が発行する債券は社債という。

債券には様々な形態があるが、利付債割引債というのが代表的な形態となっている。利付債とは定期的利子が支払われて償還期日になると額面金額が支払われる債券である。

割引債は償還期日になると額面金額が支払われる債券である。割引債は発行日から償還期日を迎えるまでの間、一切の利子が支払われない。手形と非常に良く似た債券である。

発行日から償還期日を迎えるまでの間に支払われる利子のことをクーポンという。割引債はクーポンが付かない債券である。このため割引債はゼロクーポンという別称で呼ばれる。
 

割引債に関する用語

割引債には、償還期日と額面金額が決まっている。

償還期日は、発行日よりも後に設定される。

額面金額とは、償還期日に支払われる金額のことをいう。
 

額面金額よりも低い価格で売り出される

割引債は、必然的に額面金額よりも低い価格で売り出され、投資に買われることになる。額面金額と「発行時の価格」の差額を割引料とか償還差益というが、この差額が投資にとっての利益となる。

額面金額よりも低い金額で債券を売り出すことをアンダーパー発行という。割引債は必ずアンダーパー発行される。

手形を持つ人は、手形の額面金額よりも低い金額のお金を受け取りつつ、手形銀行や貸金業者などに買い取ってもらうことがある。額面金額と「銀行や貸金業者の買い取り価格」の差額(割引料)が銀行や貸金業者にとっての利益となる。そういう形態の融資を手形貸付とか手形割引という。

手形貸付手形割引は、割引債の発行・売却と非常に良く似ている。
 

日本や米国における短期国債の形態に採用されている

日本では国債が発行されている。その国債の中で、償還期間が1年以内の短期国債があり、国庫短期証券という名前で呼ばれている。その国庫短期証券は割引債の形態で発行されている。

米国でも国債が発行されていて米国債と呼ばれている。米国債の中には償還期間が1年以内の短期国債があり、Treasury Billsという名前で呼ばれている。そのTreasury Billsは割引債の形態で発行されている。
  

利回り

利回りとは、割引債を購入することで投資するお金がどれだけの利益を生むかを示す数値である。

利回りには単利利回り複利利回りがある。詳細は利回りの記事を参照。
 

割引債における単利利回りと複利利回りと割引率の比較

この項では、割引債の単利利回り複利利回り割引率の違いなどを確認していく。
  

表計算ソフトの数式

エクセルオープンオフィスといった表計算ソフトを使って数値を計算する。B1のセルに購入金額、B2のセルに額面金額、B3のセルに残存年数を入れる。

割引料(償還差益)は=B2-B1という数式になる。

単利利回り=((B2-B1)/B3)*100/B1という数式になる。

複利利回り=((B2/B1)^(1/B3)-1)*100という数式になる。

割引率=100*((B2-B1)/B3)/B2という数式になる。
 

残存年数を1年にすると、単利利回りと複利利回りが同じになる

残存年数を1年にすると、額面金額や購入金額をどのような数値にしても、単利利回り複利利回りがぴったり同じになる。

残存年数が1年以上の場合は、単利利回り複利利回りが異なる数値になる。
 

単利と複利の比較

額面金額100円で残存年数10年にして、購入金額をいろんな数値に変化させると、次の表のように各種数値が変化した。
 

購入金額 割引料 単利利回り 複利利回り 割引率
115 -15 -1.304 -1.388 -1.500 オーバーパー発行
110 -10 -0.909 -0.949 -1.000
105 -5 -0.476 -0.487 -0.500
100 0 0 0 0 パー発行
95 5 0.526 0.514 0.500 アンダーパー発行
90 10 1.111 1.059 1.000
85 15 1.765 1.638 1.500

 
割引債の場合はオーバーパー発行やパー発行をする可性が存在しないのだが、較のために掲載しておいた。

パー発行の場合は、割引料も単利利回り複利利回り割引率もすべてが0になる。

割引債はアンダーパー発行されるので、「単利利回り複利利回り」になる。単利利回り複利利回り定義そのものが異なるので、こうした現象が起こる。

購入金額が減るたびに単利利回り複利利回りも上昇していく。「国債などの債券は、価格が下がると利回りが上昇する」といわれるが、その通りになっている。
 

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