日本国民全員が偏差値60以上とは (ニホンコクミンゼンインガヘンサチロクジュウイジョウとは) [単語記事]

日本国民全員が偏差値60以上とは、文字通り日本国民全員が偏差値６０以上という、できそうでできない、やっぱできるのか？という状態である。

概要

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このようにX（旧Twitter）で流行った、「日本国民全員が偏差値６０以上になれば、この国はもっと変わると思う。」というフレーズに登場する言葉である。文字通り、日本国民全員の学力が偏差値６０以上になるくらい賢ければ、と言うことである。

全員が偏差値６０以上...？

まぁ日常でも、例えば高学歴大学の学生だけで集まった合コンなどで「全員が偏差値６０以上だよ」などと言うように全員が偏差値６０以上というシチュエーションは確かに存在する。それは、大学受験をした人間全体の中で偏差値６０以上の人が集まっている、という意味であって、これが日本国民全員が母数となると日本国民全員は偏差値６０以上と言うのは不可能になる。

偏差値と言うのは、相対評価である。相対評価と言うのは他の受験生との比較競争であり、資格試験のように「このテストで７０点以上取れば合格ですよ」というのとは違うのである。

仮に、「大学に進学したいならAと言う試験を受けなければならない。この試験の合格点は６０点であり、６０点以上取れば、定員などはなく誰にでも大学入試に挑戦する権利が与えられる。５９点以下ならばそもそも大学受験に挑戦できない」という制度が導入されたとする。このような「６０点以上で合格」という絶対評価の試験ならば「全員が６０点以上取って合格」ということも可能である。逆に、全員不合格ということも起こりえる。しかし、偏差値６０はそうではない。

偏差値とは、簡単に言うと「平均点を偏差値５０として、どれだけ平均点からかけ離れているか」という値である。公式はこんな感じ。

（自分の得点－平均点）÷標準偏差×10＋50

平均点が基準になっている以上、全員が平均点＋３０点とかになることはない。つまり、もし今１００人の高校生がいて、試験Aを受けさせて、偏差値６０未満をアウトにして偏差値６０以上の集団を２０人抜き出したとする。この２０人に試験Bを受けさせると偏差値６０未満が出てくるのである。日本国民全員が偏差値６０以上になることはない。仮に今の基準で偏差値６０以上の賢さに全員がなっても、その中から偏差値６０未満の人間は必ず出てくる。

いや可能か？

しかし、これは可能であるという説もある。それは、母数が「地球上の人間全員」であればである。基準を地球規模で考えましょう。日本人だけでなく、ギリシャ人やエジプト人とかとも勝負しましょう。そして、日本国民以外を偏差値６０未満に追いやるのだ。母数が７０億人と言う地球上の人間全員であれば、日本国民全員が偏差値６０以上も可能なのだ！

偏差値〇〇未満の大学は潰すべき

似たような主張として「偏差値５５未満の大学は税金の無駄だし、どうせ学生も勉強しないし、就職できないんだから価値がない。潰すべき」という趣旨の主張がなされることがある。

しかし、これも前述と同じ原理で、仮に現在偏差値５５未満の大学を全て潰しても、生き残った大学から偏差値５５未満の大学がまた出てきてしまうので、偏差値５５未満の大学がなくなることはない。これを防ぐには「大学進学資格を与える試験を実施して、その試験で偏差値が５５以上だった人にのみ大学進学資格が与えられ、大学に行くことができる。偏差値５５未満だった人は大学進学を諦めて高卒で就職してもらう」というような制度に変更して、そもそも偏差値が５５未満の人が最初から進学できないような制度にしなくてはいけない。しかし、かなり大幅な改革が必要であるし、国家権力が大学を潰すことが憲法的に許されるのかも怪しいし、実現可能性は低いだろう。普通に市場原理に任せて、不要な大学が淘汰されていくのを待つしかないのかもしれない。