浜焼き鯖とは、鯖一匹を串刺しにして丸焼きしたもの。主に福井県で親しまれている。
「鯖の生き腐れ」と言われるように鯖は獲ったそばから鮮度低下が始まるので漁獲後速やかな処理が必要になる。そこで水揚げした浜で焼いてしまえばいいという発想で生まれたのが浜焼き鯖である。丸焼きというのは干物や酢じめと比べると保存性に劣るが近辺で消費するには十分な保存性だった。かつて若狭地方の漁村の女性は近辺の農村に浜焼き鯖を売り歩いたという。現在では工場や店舗内で焼かれていて単純に「焼き鯖」とも呼ばれるが、普通の切り身の焼き鯖と区別するために「浜焼き鯖」と呼ばれることもある。福井県では店先で立てて売られていたりスーパーでもパック入りではあるが串刺しの状態で売られている。空弁ブームの火付け役となった焼き鯖寿司は浜焼き鯖の技術が応用されている。
雑節の一つで夏至から11日目の半夏生(はんげしょう/はんげっしょ)は農作業の節目に当たる時期で福井県では鯖を食べる習慣がある。鯖街道で知られる若狭地方はもちろんだが内陸部の越前大野(大野市)でも浜焼き鯖を食べる習慣がある。これには江戸時代に大野藩の殿様が海沿いの大野藩の飛び地で獲れた鯖を浜焼き鯖にして大野城下まで運ばせ農民の栄養補給のために食べることを推奨したという逸話が伝わる。
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最終更新:2025/12/21(日) 09:00
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