飯塚事件とは、死刑廃止論者にとっての旗印とも言える事件である。
1992年2月に福岡県飯塚市で発生した幼女誘拐殺人事件。
2月20日、2人の女児が登校途中で誘拐され、翌21日に山の中で遺体となって発見された。死因は絞殺とされ、性的暴行が加えられた跡もあった。
その5日後、犯人とされた久間三千年が重要参考人とされ、女児の膣内にあった血液や押収した車から採取した繊維片から採取されたDNAが久間と一致したことで9月23日に逮捕された。
久間は一貫して無実を主張していたが、2006年9月8日に最高裁で死刑が確定した。
判決確定後も久間は冤罪を主張し続け、再審請求の準備を進めていた。ところが2008年10月24日、判決確定からわずか2年という異例の早さで死刑が執行された。執行の際、久間は最期の瞬間まで無実を叫び続け、手錠をかけることや遺書を書くことまで拒否したという。
死刑確定後も何十年も収監されている死刑囚はたくさんおり、本来久間の優先順位は低いはずであった。それにも関わらず異様とも言える短さで死刑執行されたことで、ある疑惑が浮かび上がった。すなわち、「警察の失態を隠蔽するための口封じ」である。
実はこの直前に足利事件のDNA再鑑定の話が持ち上がっていた。両事件はどちらも同じ「MCT118法」という別人であっても数千人から数万人に一人の割合で一致するという、制度の低いDNA鑑定法で行われており、実際に足利事件の方ではより精度の高い鑑定法で再鑑定を行った結果、別人と判定され無罪となった経緯がある。ということは、同じ鑑定法を使用した飯塚事件でもその結果に疑問が出るのは明らかだ。もし2件続けてDNA鑑定が否定されれば警察の捜査能力に傷がつくことになる、だからそうなる前に死刑執行して口を封じてしまえということである。死刑廃止論者はこのことを例に挙げて「もし冤罪で死刑執行されたら取り返しがつかない、だから死刑を廃止すべきだ」と主張しているのである。
ならばこちらも再鑑定すればいいのではないかという話もあるが、科捜研の話では実はその時に使った試料を全て使い切ったとしており、再鑑定不可能だという。しかしこれも専門家の話によれば「鑑定に使ったのは3回だけで、本来は100回近く出来るはずの試料がなぜ使い切っているのか」「試料の使い方が杜撰すぎる」と批判されている。また、目撃証言についても「事件発生から何ヶ月も経過してから証言を始めたのにあまりにも詳細すぎる」と疑問が呈されており、2021年には「運転していた男とは別人だった」という新たな証言が表れている。
現在も遺族が再審請求中であるが、果たして真相が明らかになる日は来るのだろうか・・・
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最終更新:2025/12/11(木) 18:00
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