マクマーティン児童施設裁判 単語

マクマーティンジドウシセツサイバン

2.9千文字の記事

マクマーティン児童施設裁判とは、アメリカ合衆国において1984年から1990年の間に執り行われた裁判である。アメリカ史上最も長く、同時に最もお金がかかった刑事裁判として知られる。

概要

通称マクマーティン事件。

裕福な白人層が多く暮らすリゾート地、カリフォルニア州マンハッタンビーチにある児童施設において、園児ら369名が職員に性的虐待を受けたと告発したことで施設の経営者の孫であるレイモンドバッキーを始めとする職員7人が逮捕され、アメリカ中にニュースが駆け巡り、全の児童施設において同様の性的虐待が行われているのではないかという魔女狩りを引き起こした。

結果として物的拠が何一つ提示されなかったこと、園児らの告発が「施設には地下トンネルがあり、そこは悪魔を奉る教会へと繋がっていて動物の血を飲むなどの闇の儀式を強要された」や「魔女を見た」、「陰茎陰茎を挿入された」、「犯人の一人はチャック・ノリス」など荒唐稽な内容であったこと、これらの告発がCIIという児童ケアセンターで、カリフォルニア州セラピストの資格を持っていないキー・マクファーレンによる人形を使った特殊な、ケアという名の誘導尋問を受けた後に言い出したものだったことなどから200をす容疑のほとんどで実が確定し、残る一部は評決不能を言い渡された。

終わってみれば史上最悪の児童虐待事件と報道された本件は史上最悪の冤罪事件であった。

なぜ事件が起こったか。またなぜここまで裁判が長引いたか。

この事件はジュディ・ジョンソンという女性警察に届けた電話手紙が発端である。

ジュディはアルコール依存症統合失調症を患っており、周囲に「現実妄想界がわからなくなる」と漏らすほどであった。

彼女警察に宛てた手紙には「息子アナルく腫れあがっている。息子が通う児童施設の職員は息子ライオンに対面させるとその尻尾を引っるよう示し、息子ライオンに襲わせた。」などの文が書かれていた。検察側は前半部分だけを表し弁護側から摘を受けるまでライオンの下りを隠していた。

また、最初の通報レイモンド逮捕されるも拠がなかったため即日釈放処置となったが、警察はこの後すぐに「あなた方の息子さんはレイモンドに“イタズラ”されていませんか?」という質問状を施設に通う子供たちのに200通送っている。この時点でレイモンド社会的に死亡

当時のロサンゼルスTVリポーターであるウェイン・トーマス・サッツが事件をセンセーショナルかつ推定無罪の原則を無視してまでレイモンド達を犯人だと決めつけたレポートを繰り返したことも大きい。この報道姿勢により初期値が有罪で判がスタートしてしまった。後にサッツはマクファーレン人関係にあることが発覚し非難を浴びる。

報道に触発された群衆はモラルパニック状態になり非難はマンハッタンビーチそのものまでに及んだ。性犯罪者鉄槌を下すという大義名分を得た正義マンたちの行動エスカレートしていき、レイモンドの住居は何度も放火され「レイモンド死すべし」というスプレー書きが辺り一帯に並び、「悪魔を打ち倒す」といったプラカード被害児童のは掲げた。本件とは何ら関係のい周辺の児童施設九校が閉鎖を余儀なくされた。裁判が進むにつれ検察側の不備が明らかになってきても、ここまで騒動が大きくなってしまったため、レイモンド有罪を叫ぶ人々は引くに引けなくなってしまったと見られる。

また検察側の担当に女性が多く導入されたのも、女性として子供告発真実だと信じ込み、反対意見にを傾けなくさせた要因だという見方もある。

人形セラピー

本件で弁護側と審員から総突っ込みを受けたのがキー・マクファーレンによる人形セラピーである。

弁護側の要により裁判が始まってしばらくして開されたテープによると、それは大まかにいえばこんな感じの代物であった。このときマクファーレンの、児童はワニのパペットを手にはめ、それらになり切っている。

マクファーレンワニさんワニさん、「裸の映画スター」について教えて。

児童:うーん、その遊びは知らない。

マクファーレンワニさん?をついてはいけないよ?施設に通う他の子供達にも聞いたよ?おになると先生たちが来て、みんなで裸の撮会が始まるのよね?

児童:そういえばそんなことあったかも・・・

マクファーレン思い出せて偉いねえ!もっと詳しく教えて!

この手法の問題点として

  • 具体的な情報を先に子供開示している。
  • 他の子供を引き合いに出す。
  • 虐待を認めると褒める。
  • この尋問は一人当たり二時間に及ぶなど子供の集中力が限界に達していた中で行われた可性が高い。

などが挙げられる。

児童らは当初、警察から連絡を受けたからの質問には「虐待はされていない」と答えていたが、このセラピーを受けたあと態度が一変。皆一様にありありと施設で恐ろしい虐待が行われていることを話すようになる。そして「可愛いが子になんてことを!」、「子供は純虐待記憶捏造するはずがない」と思ったたちは子供のいう事をそのまま受け入れてしまった。

疑問点と新たな問題

レイモンドはほとんどの容疑で実質無罪が確定し、最終的に検察が全ての罪において有罪にすることを諦めたため裁判は終結したが、審されたいくつかの容疑は「どちらとも言えない」または「有罪だと思う」が多数を占めたものもあった。

告発した元児童の中には裁判終盤には13歳になる子もいたがその子を含め児童たちのほとんどは一回も意見を翻していない。裁判が終了した際は元児童らが会見を行ったがこぞって「あの人はハッキリと悪人です。レイモンド自由の身になるなんて信じられません。とても怖いです。」と述べていた。人形によるマインドコントロールだけでここまで強く擦りこめるものなのか?

本件は虚偽記憶を植え付けられたというにより弁護側が勝利を得たが、この虚偽記憶と言うワード一気に広まったことにより、実際に虐待が行われていたケースでも乱用されるようになってしまった。その結果、裁判が長引いたり場合によっては加害者実を獲得してしまうといったケースが増えた。

一部関係者らのその後

レイモンドバッキー名前を変えロサンゼルスを離れたとされる。他の被告人も多額の裁判費用で破綻し、多くは新たな仕事も見つからず人生からドロップした。

事件以降、マンハッタンビーチの住民は子供に対し腫物を扱うように接するしかなくなってしまい全体に暗いを落とした。

この事件でカウンセリングを担当したCIIの担当者の一人は、2005年に発生したマイケル・ジャクソン裁判でマイケルから性的被害を受けたという児童のカウンセリングも請け負った。この事件もマイケル無罪が確定した冤罪事件として知られる。

事件から既に40年以上が経ったが、当時告発した元児童達はか本当か区別がつかない記憶のせいで未だにレイモンドを許していない。

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