CIWSとはClose In Weapon System.の頭文字をとったもので、日本ではシウス、シーウスなどとも呼ばれる。海軍艦艇における最終的な個艦防御システムの総称。
ここではCIWSの説明と共に代表的なCIWS、レイセオン社のファランクスとタレス社のゴールキーパーについても簡単にふれるものとする。
尚、細かいようだがCIWSのCloseは「クローズ」ではなく「クロース」と発音する。クローズだと「閉じる」という意味の動詞だが、クロースと発音すると「近い、接近した」といった意味の形容詞になるためで、近接防御火器システムなどとも訳されるCIWSでは「クロース」と発音する方が正しいのである。
対艦ミサイルなどの攻撃兵器に対して艦隊および個艦防御の段取りは各国のシステムの違いはあれど、概ね以下の手順で行われる。
ときて、上記の対抗処置でもダメな場合の最終的防空兵装としてCIWSで迎撃するという手順である。
CIWSの基本は20mmか30mmガトリング砲を使った弾幕で接近するミサイルを物理的に破壊してしまおうというのが趣旨なので有効範囲は2km以下と極々短距離になっており、これが動き出したとすれば個艦防御の最終局面で、ミサイルはもう直前まで迫っているという危険な状態だといえるだろう。
CIWSの特徴としては上記のような緊急時に使うため、レーダーなどの電子装備も含めた(つまり独立した)ユニットとなっている。これは艦の防空システムから独立して対空防御を行えるようにしているためでもある。
通常のフリゲート艦クラスでは艦の前後、大型艦では舷側に二基など、全周をまかなえる配置となっているので艦船の映像や写真など見る機会があれば見てみるといいだろう。
…ただし昨今の対艦ミサイルは大型化・高速化しているため、20mmや30mmではミサイル弾頭を破壊するまでに至らない、あるいはそもそも命中しないのではないか?とその有効性が若干疑問視されているのも事実ではあるが、あまり規模を大きくすると通常装備などが乗せづらいなど様々な問題が生じるため(後述するゴールキーパーはあまりにシステムが大きすぎて搭載されている艦が少ない)、RAM対空ミサイルシステムを搭載する艦艇もふえてきている。
アメリカ・レイセオン社が開発したCIWS。もっぱらCIWSといえばこちらを想像する人が多いだろう。
白いレーダードームが特徴的でアメリカ海軍ではR2D2とも呼ばれているとか。レドーム下に設置された20mmガトリング砲から毎分3000発のスピードで弾幕を張る…もっとも弾倉は1000発に満たないので実際はものの20秒あまりでタマ切れするのだが。
メリットはそのコンパクトさで艦にあまり影響を及ぼさない作りになっているのだが、いかんせん20mmでは有効射程が短いこと、高速化する傾向にある対艦ミサイルに対して弾頭破壊まで至らないのではないか(破壊しても艦に近ければ損害も発生する)というわけで、ファランクスでは防御力が足りないのではないかという懸念が付きまとっている。
ただ、20mmというちょうど手ごろな攻撃力もあってか、最新のBlock1Bでは手動制御も可能にして水上小型目標(自爆艇など)やUAVなどの小型目標も追尾、破壊できるようになった。
またこのファランクスの地上型ともいえるLPWS(Land-based Phalanx Weapon System)も開発され、トレーラーなどに積載して運用するスタイルとなっており、イラクで実際にテスト運用されているとか。
海上自衛隊では護衛艦の多くがファランクスを搭載している。稼働率が芳しくなく、よく共食い整備されているなどという話もあるが定かではない。…また、あまりいい話ではないが、過去にアメリカ海軍との共同訓練でこのファランクスの誤射でA-6イントルーダー攻撃機を撃墜してしまったことがあります…。
オランダ・シグナール社(現フランス・タレスグループ)が開発したCIWSで、A-10攻撃機にも搭載されているGAU-8アヴェンジャー・30mmガトリング砲を搭載。破壊力もあるがいかんせん高価でシステム規模も大きく、最初から搭載を考えた設計にしないと艦重心位置などに影響を及ぼすためか、搭載している艦艇はあまり多くない。
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最終更新:2025/12/30(火) 08:00
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