CIWS 単語

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シウス

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CIWS(Close In Weapon System、シウス/シーウス[1])とは、対艦ミサイル軸となる現代水上艦艇における最終的な個艦防御システムの総称である。

ここではCIWSの説明と共に代表的なCIWSについても簡単にふれる。

概要

対艦ミサイルなどの攻撃兵器に対して艦隊および個艦防御の段取りは各システムの違いはあれど、概ね以下の手順で行われる。論脅威下においては発射機・母艦を攻撃前に化するのが最善ではある。

  1. ECM(電子妨)・チャフ・フレア煙幕などのソフトキルを行う(あるいは以下のどこかで行う)
  2. 艦隊防を担当する長距離対空ミサイル(スタンダードミサイルなど)で迎撃
  3. 個艦防御を担当する中距離対空ミサイル(シースパローESSMなど)で迎撃
  4. 個艦に搭載された速射(127mmやOTOメララの76mmスーパーラピッドなど)から打ち出す調整破片弾

ときて、上記の対抗処置でもダメな場合の最終手段としてCIWSで迎撃するという手順である。

CIWSの基本コンセプトは20mm~30mmクラス機関による弾幕で接近するミサイル物理的に化するというのものなので、有効射程は数km程度とごく短距離になっており、これが動き出したとすれば個艦防御の最終局面で、ミサイルはもう直前(着弾まで数)まで迫っている危険な状態であるといえる。

CIWSは上記のような緊急時に使うため、基本的に捜索・追尾・照準用のレーダーや電子学機器等を含めた(完結した)ユニットとなっている。これは艦の防システムから独立して対防御を行えるようにしているためでもある。通常のフリゲートクラスでは艦の前後、大艦では舷側に二基など、全周をまかなえる配置となっているので艦映像写真など見る機会があれば見てみるといいだろう。

…ただし昨今の対艦ミサイルは大化・高速化しているため、20mmや30mmではミサイル弾頭を破壊し全に化するまでに至らない、あるいはそもそも命中しないのではないか? とその有効性が若干疑問視されているのも事実ではあるが、あまり規模を大きくすると通常装備などが乗せづらいなど様々な問題が生じるため(後述するゴールキーパーはあまりにシステムが大きすぎて搭載されている艦が少ない)、RAM対空ミサイルシステムを搭載する艦艇もふえてきている。

おフランスドイツイタリアの艦艇はオートメララの76mmでCIWSの領域まで防御させる。76mmなら近接信管による榴弾の破片と爆発でも対艦ミサイルの迎撃に効果が期待されるからである(20mmや30mmの榴弾ではさすがに効果が期待できない)。

要するにどういうこと?

難しい事を一切抜きで説明すると

  1. 自艦に対して高速で飛翔するミサイル
  2. ガトリングガンの強弾幕(一部ミサイルの場合もあり)
  3. 強制的に叩き落とす最後の防衛手段
    …である。これに失敗すると被弾と大損は免れない。
    ただしシステム自体が物理的に大きいため、小船舶一般車両への搭載は困難

代表的なCIWS

Mk.15 ファランクス

護衛艦「ちょうかい」のCIWSアメリカレイオン社が開発したCIWS。もっぱらCIWSといえばこちらを想像する人が多いだろう。バルカンファランクスとも。

M61「バルカン」 20mm多身機を使用する。

1969年開発を開始、1980年に実用化された。捜索用アンテナと追尾用アンテナを同軸に上下配置したレーダー、20ミリ6連ガトリングドラム給弾機構を電動油圧3軸架台に装着、下部に電子機器、レーダー送信部、循環式冷却装置を備えた独立システムとして上甲装する。block0はシースキマー対艦ミサイルを対開発されたが、スカイダイビング対艦ミサイルが出現したため、頂捜索を備えたブロック1が開発され1980年代末期より運用されている。block1では発射速度3000発/分から4500発/分に増加している。[2]

その後も対艦ミサイルの命中直前の高G運動への対処を高めたブロック1A、FLIR赤外線前方監視装置)を追加して低高度を飛ぶ対艦ミサイルおよび水上標への射撃を強化したブロック1B開発され、海自も導入している。[3]

弾丸は直径12.75ミリのペネトレーターの外側を、発射後飛散するサボ(ナイロン製)とプッシャー(アルミ製)で覆った構造になっており、ペネトレーターは当初劣化ウランを使っていたが、1988年以降はタングステンに変更、海自は当初から後者を使用している。[4]

1996年に行われたリムパックにおいて、海上自衛隊ゆうぎりが標的を航していたA-6ファランクスで撃墜してしまう事故が発生、当初は機械的な故障とされていたが後にヒューマンエラーであることが判明し、これ以降ファランクスには味方撃ちを避ける対策として赤外線カメラと電子カメラが追加されている。[5]

Mk.15のメリットはそのコンパクトさで艦にあまりを及ぼさない作りになっているのだが、いかんせん20mmでは有効射程が短いこと、高速化する傾向にある対艦ミサイルに対して弾頭破壊まで至らないのではないか(破壊しても艦に近ければ損も発生する)というわけで、ファランクスでは防御が足りないのではないかという懸念が付きまとっている。

ただ、20mmというちょうど手ごろな攻撃もあってか、最新のBlock1Bでは手動制御も可にして水上標(自爆艇など)やUAVなどの小標も追尾、破壊できるようになった。これは駆逐艦コールに対する小自爆テロなどの教訓から上におけるチーキル安価な小艇や小航空機無人機などによる非対称攻撃)対策や、海賊など非軍事標への対処の向上が進められていることが背景にある。

陸上型(車載型)

ファランクスはC-RAM(Counter Artillery, Rocket and Mortar:敵のロケット弾や弾、迫撃砲弾への対処)にも応用されており、大トラックファランクスを載せたMLPWS(Mobile Land-Based Phalanx Weapon System)「センチュリオン」が、既に実用化されている。[6]

ゴールキーパー

オランダシグナール社(現フランスタレスグループ)が開発したCIWSで、A-10攻撃機にも搭載されているGAU-8アヴェンジャー30mmガトリング砲を搭載。破壊もあるがいかんせん高価でシステム規模も大きく、最初から搭載を考えた設計にしないと艦重心位置などにを及ぼすためか、搭載している艦艇はあまり多くない。

RIM-116 RAM(Rolling Airframe Missile)

バルカンファランクスの問題点(近距離で破壊されたミサイルの残骸が艦内に飛び込む恐れ、有効射程が短いので標に対処する時間が2程度しかない、弾数は多くないので迎撃できるミサイルの数はせいぜい2基で、再装填にも時間がかかる)を解決するために、1974年からアメリカ海軍開発に着手した小ミサイル。しかし開発が難航したため、配備が始まったのは1992年になってからである。[7]

ミサイルは、艦載レーダー等によって得られたデータを入して発射し、発射後は標から放射されるレーダー波を感知して飛行方向を決め、ミサイル赤外線シーカー標を補足すると赤外線ホーミングに切り替わる。ブロック2ではシーカー赤外線画像誘導方式に変更、全行程を赤外線誘導にできる。[8]

ミサイルサイドワインダーの弾体とスティンガー赤外線シーカー(追尾装置)を転用してコストを抑えている。ミサイル弾体を飛行中に回転させることで飛行制御とシーカーによる捜索を行う構造になっており、これがローリングエアフレームの名称の由来である。

射程距離も9~10kmと、ファランクス(同約1.5km)の6倍以上とされており、より遠距離での迎撃が可となった。これによって敵ミサイルの撃墜時、高速で飛散した破片により艦のレーダーセンサーなどが損傷するリスクを抑える事が出来るとしている。

製造元であるレイオン社によるテストでは、これまで300回以上の発射で95の成功率を叩き出しているらしい。

ただし、RAMは終端誘導を赤外線シーカーによって行う関係上、連続発射すると先に発射したミサイルの発射炎がフレアのように作用してシーカーを妨してしまい、命中精度が低下するのではないかと言う懸念が一部にある。また、機関CIWSのように対地・対水上攻撃に転用しづらいというデメリットもあったが、HASモードの導入で一部の式では対水上標にも対応出来るようになった。

上記デメリットすべく、赤外線画像追尾方式や新誘導電波(ERF)レシーバー、強化ロケットモーターを導入、機動性・射程距離などの各性を大幅に向上させたBlock2開発された。 米海軍においは2014年内から、共同開発ドイツ海軍でも間もなく初期運用が開始される予定となっている。

SeaRAM

ファランクスFCSにRAMランチャーを組み合わせたもので、外部から情報を入する必要がない。

このシステム海上自衛隊では、「ひゅうが」に続く「いずも型護衛艦」(19500トンDDH)において初めて搭載された。 いずも型護衛艦も最新Block2を搭載しているものと思われる(「あぶくま型護衛艦」にも装備される計画があり、と艦の間に必要なスペースが確保してあったりする・・・)。

AK-630

ソビエト開発された30ミリ機関を使用するCIWSで、ファランクス肩される旧東側におけるデ・ファクトスタンダード射撃レーダー座そのものを分離して配置する方式になっており、1基の射撃レーダーで2基の座を管制する。

人民解放海軍では独自のステルス性を考慮したシールドつきのタイプを使用している。

730型

中国人解放海軍オリジナルCIWS。730㎜ガトリングガン台にレーダーセンサーを積んでいるがスタンドアロンというわけではなく搭載艦のレーダー支援が必要とのこと。

広州駆逐艦など大艦の標準装備であるが問題はお値段で、上記AK-630の2倍弱なんだとか。

1130型

上記730……、なのだが1130㎜ガトリングガン、ばら撒ける弾は分間10000発をする化け物空母遼寧』に初めて搭載されたが、ガトリングガンの発射限界は分間6000発という説があり性については疑問視されていた。しかし1130は次期駆逐艦である055型駆逐艦や昆明級駆逐艦の後期に搭載されることが決定しており問題はないようである。

HQ‐10

ざっくり言えば中国RAM。面いのはミサイルランチャーの種類で、24発入り(蘭州級駆逐艦で採用)18発(遼寧で採用)8発(056型コルベットで採用)4発(現在採用艦はなし)と四種類もあり艦艇によって使い分けている。基本的にはファランクスRAM の関係と同じく7301130コンビで運用するが、056のようにHQ-10のみ搭載するケースもある。

CADS-N-1

ロシア製CIWS。30mm機関を連装で搭載し、それぞれの上部に4基ずつのSA-N-11対空ミサイルを装備したガン/ミサイル複合式の大CIWS。システム名称はコールチク、輸出名称カシュタン。ソビエト/ロシア陸軍で運用されているツングースカ自走対空砲と似た構成をとっている。

ミサイル機関を両方装備することで対処の向上を図っているが、システム自体が大で高コストなものとなってしまっている。

ミレニアム

笑顔の絶えない職場ではない。スイス・エリコン社製CIWS。35㎜リボルバーキャノンを採用。重いことがネタにされるゴールキーパーよりさらに重く、デンマークアプサロン級とアイバー・ヒュイトフェルト級のほかはベネズエラ海軍の警備に使われているぐらいである。ちなみにレーダーとかはなく索敵・追尾は搭載艦のレーダーに頼る。

メロカ

スペイン営イサル製CIWS。エリコKA20㎜機関[9]を横六列縦二段、計12門を束ねて順番に発射させるという珍兵器。しかし機関部が壊れたらそこまでというガトリングガンと違い、1門ジャムっても残り11門が撃てるので馬鹿にできたものではない。

関連動画

関連静画

MMDモデル

関連リンク

関連項目

脚注

  1. *CIWSのCloseは「クロー」ではなく「クロー」と発音する。クローズだと「閉じる」という意味の動詞だが、クロースと発音すると「近い、接近した」といった意味の形容詞になるためで、近接防御火器システムなどとも訳されるCIWSでは「クロース」と発音する方が正しいのである。
  2. *「各のCIWSラインアップ木下郁也 世界の艦1991年11月
  3. *護衛艦建造の歩み 第24回」 香田洋二 世界の艦2014年12月
  4. *護衛艦建造の歩み 第24回」
  5. *The Last Time A Japanese Warship Shot Down A U.S. Navy Plane Was Actually Not So Long Agoexit 2021.6.4
  6. *ミサイル防衛に関する最近の話題(16)C-RAMexit 2021.3.20
  7. *最強第7艦隊最新図鑑」坂本コスミック出版 2018 p.96
  8. *最強第7艦隊最新図鑑」pp.96-97
  9. *零戦に積まれていた20㎜機関銃と共通のご先祖様(エリコFF20㎜機関)を持つ。
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