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シウス

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CIWSとはClose In Weapon System.の頭文字をとったもので、日本ではシウス、シーウスなどとも呼ばれる。対艦ミサイルが主軸となる現代水上艦艇における最終的な個艦防御システムの総称。
ここではCIWSの説明と共に代表的なCIWSについても簡単にふれる。

尚、細かいようだがCIWSのCloseは「クロー」ではなく「クロー」と発音する。クローズだと「閉じる」という意味の動詞だが、クロースと発音すると「近い、接近した」といった意味の形容詞になるためで、近接防御火器システムなどとも訳されるCIWSでは「クロース」と発音する方が正しいのである。

概要

対艦ミサイルなどの攻撃兵器に対して艦隊および個艦防御の段取りは各国のシステムの違いはあれど、概ね以下の手順で行われる。勿論脅威下においては発射母機・母艦を攻撃前に無力化するのが最善ではある。

  1. ECM(電子妨害)・チャフ・フレア・煙幕などのソフトキルを行う(あるいは以下のどこかで行う)
  2. 艦隊防空を担当する長距離対空ミサイル(スタンダードミサイルなど)で迎撃
  3. 個艦防御を担当する中距離対空ミサイル(シースパロー、ESSMなど)で迎撃
  4. 個艦に搭載された速射砲(127mmやOTOメララの76mmスーパーラピッドなど)から打ち出す調整破裂弾

ときて、上記の対抗処置でもダメな場合の最終手段としてCIWSで迎撃するという手順である。

CIWSの基本コンセプトは20mm~30mmクラスの機関砲による弾幕で接近するミサイルを物理的に無力化するというのものなので、有効射程は数km程度とごく短距離になっており、これが動き出したとすれば個艦防御の最終局面で、ミサイルはもう直前(着弾まで数秒)まで迫っている危険な状態であるといえる。

CIWSは上記のような緊急時に使うため、基本的に捜索・追尾・照準用のレーダーや電子光学機器等を含めた(完結した)ユニットとなっている。これは艦の防空システムから独立して対空防御を行えるようにしているためでもある。
通常のフリゲートクラスでは艦の前後、大型艦では舷側に二基など、全周をまかなえる配置となっているので艦船の映像や写真など見る機会があれば見てみるといいだろう。

…ただし昨今の対艦ミサイルは大型化・高速化しているため、20mmや30mmではミサイル弾頭を破壊し完全に無力化するまでに至らない、あるいはそもそも命中しないのではないか? とその有効性が若干疑問視されているのも事実ではあるが、あまり規模を大きくすると通常装備などが乗せづらいなど様々な問題が生じるため(後述するゴールキーパーはあまりにシステムが大きすぎて搭載されている艦が少ない)、RAM対空ミサイルシステムを搭載する艦艇もふえてきている。

代表的なCIWS

Mk.15 ファランクス

アメリカ・レイセオン社が開発したCIWS。もっぱらCIWSといえばこちらを想像する人が多いだろう。
白いレーダードームが特徴的でアメリカ海軍ではR2D2とも呼ばれているとか。レドーム下に設置された20mmガトリング砲から毎分3000発のスピードで弾幕を張る…もっとも弾倉は1000発に満たないので実際はものの20秒あまりでタマ切れするのだが。
メリットはそのコンパクトさで艦にあまり影響を及ぼさない作りになっているのだが、いかんせん20mmでは有効射程が短いこと、高速化する傾向にある対艦ミサイルに対して弾頭破壊まで至らないのではないか(破壊しても艦に近ければ損害も発生する)というわけで、ファランクスでは防御力が足りないのではないかという懸念が付きまとっている。

ただ、20mmというちょうど手ごろな攻撃力もあってか、最新のBlock1Bでは手動制御も可能にして水上小型目標(自爆艇など)やUAVなどの小型目標も追尾、破壊できるようになった。これは駆逐艦コールに対する小型艇自爆テロなどの教訓から海上におけるチープキル(安価な小型艇や小型航空機、無人機などによる非対称攻撃)対策や、海賊など非軍事目標への対処能力の向上が進められていることが背景にある。

またこのファランクスの地上型ともいえるLPWS(Land-based Phalanx Weapon System)も開発され、トレーラーなどに積載して運用するスタイルとなっており、イラクで実際にテスト運用されているとか。

海上自衛隊では護衛艦の多くがファランクスを搭載している。稼働率が芳しくなく、よく共食い整備されているなどという話もあるが定かではない。…また、あまりいい話ではないが、過去にアメリカ海軍との共同訓練でこのファランクスの誤射でA-6イントルーダー攻撃機を撃墜してしまったことがあります…。

ゴールキーパー

オランダ・シグナール社(現フランス・タレスグループ)が開発したCIWSで、A-10攻撃機にも搭載されているGAU-8アヴェンジャー・30mmガトリング砲を搭載。破壊力もあるがいかんせん高価でシステム規模も大きく、最初から搭載を考えた設計にしないと艦重心位置などに影響を及ぼすためか、搭載している艦艇はあまり多くない。

RAM

ローリング・エアフレーム・ミサイルの略でRAM。機関砲の代わりに小型のミサイルを用いることで迎撃率と連続対処能力の向上を図るために開発された。

機関砲形式のCIWSでは上述の通り威力や命中精度に限界があり、加えて即応弾薬を数十秒で撃ちつくしてしまうと言う問題があった。2-3発のミサイルを迎撃するたびに甲板に出て人力で再装填しているようでは対艦ミサイルの連続攻撃に対応出来ないし、かといってシステム自体を際限なく大型化することにも限界があるため、小型の多連装ミサイルによる迎撃を行うことが構想される。これがRAMである。

RAMはサイドワインダーの弾体とスティンガーの赤外線シーカー(追尾装置)を転用し、安価で軽量なシステムに仕上げられている。ミサイル弾体を飛行中に回転させることで飛行制御とシーカーによる捜索を行う構造になっており、これがローリング・エアフレームの名称の由来である。

ただし、RAMは終端誘導を赤外線シーカーによって行う関係上、連続発射すると先に発射したミサイルの発射炎がフレアのように作用してシーカーを妨害してしまい、命中精度が低下するのではないかと言う懸念が一部にある。また、機関砲CIWSのように対地・対水上攻撃に転用しづらいというデメリットもある。

AK-630

旧ソビエトで開発された30ミリ機関砲を使用するCIWSで、ファランクスに比肩される旧東側におけるデ・ファクトスタンダード。射撃指揮レーダーと砲座そのものを分離して配置する方式になっており、1基の射撃指揮レーダーで2基の砲座を管制する。

人民解放海軍では独自のステルス性を考慮したシールドつきのタイプを使用している。

CADS-N-1

30mm機関砲を連装で搭載し、それぞれの上部に4基ずつのSA-N-11対空ミサイルを装備したガン/ミサイル複合式の大型CIWS。システム名称はコールチク、輸出名称カシュタン。ソビエト/ロシア陸軍で運用されているツングースカ自走対空砲と似た構成をとっている。

ミサイルと機関砲を両方装備することで対処能力の向上を図っているが、システム自体が大型で高コストなものとなってしまっている。

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