上念司「「メディアの嘘を見抜け」のコーナーです。経済評論家上念司がお届けいたします。相変わらず近衛内閣末期のような大変恐ろしい状態が続いているんですが、また今日も恐ろしい新聞記事を発見してしまいました。こちらをご覧ください」
「政府・日銀 連帯責任」ということで、そんなもん当たり前だろということが新聞に出てたんですけれども、ポイントはここですね。共同文書なるものを発表して「事実上の政策協定をしましたよー」というまぁまた謀略情報だか偽情報だかが流れているんですが、これが大変曲者なんですね。
詳しくは読売新聞をよく読んでいただけると書いてあるんですけれども、政策協定っていうのは通常アコードと呼ばれているもので、これ本来日銀が本気で金融緩和をするとか、本気でデフレを脱却しますと言うことを約束する文章でなければいけないんです。その日銀の本気の約束、中央銀行の本気の約束っていうのをちょっと難しい言い方で「中央銀行のコミットメント」というふうに呼んでいます。
これ世界中の銀行が普通に当たり前にやっている話です。たとえばイングランド銀行なんかの場合は、「最低でもインフレ率2%にもって行きます」という政策協定というかインフレ目標というのが設定されていまして、もし達成できないときは中央銀行総裁が国会に行って詫び状を書いて「すいませんでした」といって説明しなければいけないという仕組みになっているんですね。世界中の銀行でこれを導入していなかったのはアメリカと日本だけだったんですが、ついにアメリカもFRBがインフレターゲットを導入したことによって、このコミットメントというものを明確に出しました。現状中央銀行のコミットメントが明示されていないのは日本だけということになります。
日銀は一応物価安定の理解、0から2%とか、インフレ目標のめどでしたっけね、そういうインチキな言い方をしてコミットメントがあるかのように見せ付けているんですが、実はそれがぜんぜんコミットメントじゃないんですね。今回発表された共同文書なるものも、全くコミットメントとしての効果はありません。そこをちょっとゆるゆるフリップでまとめましたのでぜひこちらをご覧ください
コミットメントとは?
国民をナメてますか?
コミットメントとは何かということで、以下の三要素で構成されております。1番数値目標、2番達成期限、3番罰ゲームということで、この共同文書をどこをどう読んでも2番と3番はありません。達成期限も罰ゲームも無くて、しかも数値目標1%なんですよ。これ全世界で最低2%といってるんですけれども、なんで日本だけが1%なんでしょうか?これハッキリ言って低すぎですよね。こんなことではデフレも脱却できなければ超円高も是正することは全くできません。ということでこんなことやってても全く意味が無いんですね。ただ共同文書って形でやったフリだけはしていると。つまり世の中の批判をかわすためにアリバイ的に出したインチキ文書であるということに気づかなければいけないんですね。
ところがマスコミがこれをさもコミットメントであるかのように報道するわけですね、「事実上の○○」っていうんですけども、「事実上の」っていうので騙されてはいけません。今まで日銀はこういう事実上の○○をやってまともに約束を守ったことはありませんので、物価安定の理解も結局達成できず、それから今年2月バレンタインに発表した「物価安定の目処」でしたっけね、こちらもほぼ達成できないことが展望レポートで判明しておりますので、日銀のこういうインチキな約束には信じてはいけません、謀略情報だと思ってください。
それでは私上念司から提案する正しいコミットメントというのをまとめてきましたんでこちらをどうぞご覧ください。
望ましいコミットメントの例
→日銀法を改正しないとムリ!!
はい、「望ましいコミットメントの例」ということで数値目標はコアCPIなのかコアコアCPIなのかで必ずモメますのでエネルギーと生鮮食品を除いた物価上昇率であるコアコアCPIを用いて最低2%以上4%未満という形で客観的に設定しましょう。達成期限は本当は半年ぐらいでやってほしいんですがまぁ2年でいいです、2年間我慢しますしょうがないんで。それから3つ目、達成できなければ日銀執行部は総辞職と、これわざと執行部と書いたんです、執行部って意味は審議委員・理事・正副総裁全員辞めてもらうと、そういうことをしてもらわない限りなかなか彼らを信用することは難しいです。
ということでこれらの大胆な望ましいコミットメントを導入するためにはやっぱり法律を改正しないと無理なんじゃないかなぁと思いました。ということで本日のコラムは終了したいと思います。どうもありがとうございました」
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