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アンフェタミン(Amphetamine[1])とは、強い中枢興奮作用をもつ精神刺激薬、覚醒剤である。フェニルアミノプロパン[2]とも。
概要
アンフェタミンは、中枢神経を興奮させる作用をもつフェネチルアミン誘導体で、精神刺激薬の一つである。1887年、ルーマニアの化学者ラザル・エデレアーヌによって初めて合成された。日本では、かつて武田長兵衛商店(現在の武田薬品工業)よりゼドリンの名で製造販売されていた。
アンフェタミン系の精神刺激薬は、精神依存(薬物を渇望し衝動的に求めること)や耐性(連用により効果が減弱すること)を形成し、濫用や犯罪に繋がりやすい。よって、現在ではメタンフェタミンとともに「覚せい剤」に指定され、規制されている(覚せい剤取締法第2条)。海外ではデキストロアンフェタミンがナルコレプシーや注意欠陥・多動性障害の治療に用いられているが、日本でアンフェタミン製剤は承認されていない。
アンフェタミンとメタンフェタミンは、間接型アドレナリン受容体作動薬である。ドーパミン神経系やノルアドレナリン神経系において、小胞モノアミントランスポーター(VMAT)を阻害することにより、シナプス間隙からの神経伝達物質の再取り込みを抑制する。また、シナプス小胞に貯蔵されている神経伝達物質と置換し、神経伝達物質の遊離を促す。これらの作用によりシナプス間隙に神経伝達物質が充溢し、過剰な神経興奮が持続する。結果として、以下の作用を示す。
上記のほか、精神的依存を形成するため、薬物を渇望するようになる。薬物を衝動的に求め、手許に薬物がないと不安を覚える。薬物耐性も形成するため、効果が減弱し、以前と同じ用量では十分な効果を得られず投与量が増えていく。なお、このアンフェタミンなどによる耐性は、短時間で形成される(タキフィラキシー)という特徴がある。慢性的な使用や高用量の使用により、幻覚や妄想を伴う精神病に進展することもある。
関連動画
メタンフェタミンを中心に扱った動画が多いが、アンフェタミンと作用やメカニズムは同じである。
ここで紹介する東方で学ぶ覚せい剤講座【ヒロポン】で、自衛隊法第116条において「自衛隊の部隊や補給処での覚醒剤の譲渡や所持が認められている」と紹介されているが、実際には自衛隊法第115条の3において「自衛隊の部隊や補給処では医薬品としての覚醒剤原料(≠覚醒剤)の譲渡や所持が認められている」[3]。覚醒剤および覚醒剤原料の定義については、覚せい剤取締法の記事を参照。
関連リンク
関連項目
- 有機化学
- 医学 / 薬学
- 医薬品
- 武田薬品
- 覚醒剤
- 覚せい剤取締法
- ジョディ・スウィーティン
- ポール・エルデシュ
- 衛宮切嗣
- ソリッド・スネーク
- ドーパミン
- ノルアドレナリン
- メタンフェタミン
- メチレンジオキシメタンフェタミン
- リタリン
- コカイン
- 化合物の一覧
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脚注
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