『陰陽ノ京(おんみょうのみやこ)』とは、メディアワークスから出版された、渡瀬草一郎著作の小説・ライトノベルシリーズである。本記事では、電撃文庫レーベルで発行された『陰陽ノ京』と、メディアワークス文庫レーベルで発行された続編『陰陽ノ京 月風譚』の両方について解説する。なお、表紙・挿絵イラストは第壱巻のみ田島昭宇、以後第二巻『巻のニ』からは洒乃渉が担当している。2010年8月時点で既刊7巻(5巻+月風譚2巻)。
作品概要
渡瀬草一郎のデビュー作であり、第一巻『陰陽ノ京』の第7回電撃ゲーム小説大賞にて金賞を受賞したことにより刊行された。電撃文庫から発行するに際して、『平安京八卦』というタイトルから改題して小説化された。
過去の日本国は京の都、平安京でおきる様々な怪事件と、それを解決するべく奔走する陰陽師たちの活躍を描いた物語。歴史上に記された人物である慶滋保胤や安倍晴明らの人物像を膨らませ、陰陽道や識神(しきじん)を駆使して京の平穏を守る、一種の異能の者たちとして描いている作品である。
本作品は、第三巻『巻の三』まで順番に刊行された後、著者が別シリーズ(パラサイト・ムーン)の執筆に移行したため、陰陽ノ京は他作品の合間に刊行された。第五巻『巻の五』までが電撃文庫レーベルで刊行され、その後、ライトノベルと一般小説の中間点的な位置付けのメディアワークス文庫に移行し、題名も『陰陽ノ京 月風譚』と改題し、以後続刊している。一巻完結型の物語の構成になっているため、月風譚から読む、あるいは月風譚のみ読了でもそれほど支障はない。余談だがメディアワークス文庫のあとがきは電撃文庫より真面目に書かないといけないらしい。
読者の年齢層を考慮してか、陰陽ノ京では慶滋保胤と伯家時継が、それぞれ主人公格とヒロインに据えられていたが、移行先の月風譚では彼らより少し年上の賀茂光榮の視点で、物語が進行することが多い
物語概略
今は昔、まだ人と神と妖がそれほど隔てられていなかった時代。平安の京、その健やかさを願う名とは裏腹に、そこに住まう人の怨憎は黒く滲み、澱んだ気や歪んだ願いは魑魅魍魎に転じ京の人々をおびやかしていた。
賀茂保憲を陰陽頭とする京の陰陽寮の道士たちは、日々自らの陰陽道の技を研鑽していた。保憲の弟、優しく柔和な青年の慶滋保胤。保胤とかつて約束を交わした伯家の姫、時継。奔放で豪快で強力な陰陽師、安倍晴明。襤褸をまとい野の獣じみた雰囲気をまとう保憲の長男、賀茂光榮。彼らの遭遇する怪事は、人の心が生み出す暗鬼と対峙せねばならぬものである。人の生はあまりに短く、死の無念はあまりに深い。
それでも陰陽師たちは、人と妖の間に立ち、陰と陽の理によって歪みを正す。
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