龍驤(空母) 単語

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リュウジョウ

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龍驤りゅうじょう/りうじやう)とは、大日本帝国海軍が誇るみたいな何かである。  

概要

冗談はさておいて、<龍驤>は日本海軍が<鳳翔>の経験を元に建造した、二隻の正規空母である。小空母であったこともあって<赤城>、<加賀>のような大戦果にこそ恵まれなかったが、日本海軍が保有した最初の四隻の空母の一隻として、発着艦訓練など太平洋戦争における日本海軍空母航空隊の活躍に大きく貢献したといえる。

設計

写真を探して見てもらえれば、<龍驤>はとっても不安定な艦をしていることがわかるだろう。妙に小さな艦体、現代の原子力空母の甲の如く広がる舷側。そしてその上に明らか理やり載せたような格納庫と飛行甲

この特徴的な艦はなぜ生まれたのだろうか。その計画から順を追って見ていくことにしよう。

日本第二の正規空母<龍驤>

ワシントン軍縮条約による航空母艦建造排水量制限81000tに、<赤城>、<天城>(のち<加賀>)というデカブツを二隻放り込んだ帝国海軍は、これ以上デカブツを作るのは難しいと見るやとりあえず軍縮条約で制限されない排水量10000t以内という小さめの空母を作ることにした。そこで水上機母艦<若宮>の代艦計画を流用して作ることにしたのが航空母艦龍驤である。

そういうわけで<龍驤>は当時の帝国海軍宿芸である「できるだけ艦を小さく、できるだけ武装を沢山」を実現する形で設計案をどうにか10000tに収めて建造を始める。しかし、建造中にロンドン条約で「10000t以下も規制するから。建造制限はそのままで」と決められてしまい、建造されている意味がなくなってしまったのであった。

が、「これぞ好機!」と藤本喜久雄センセ辺りが思ったかどうかは定かではないがとにかくここで艦政本部は規制されたなら10000tの限界とかもう気にしなくていいんじゃね!」という結論に達したらしく、建造途中の艦体に格納庫をどーんと積み上げて搭載機数を24機から36機+補用12機に大幅アップ。当然そのまま上に伸ばすわけにも行かないから格納庫は左右に広げ、上に飛行甲ポンと載せて、さらに高を載せないといけないので甲の下から横に伸ばすことにした。しかしこれではバランスが悪くってしょうがない。仕方ないのでバルジをくっつけ、これでしめて基準排水量10600t、全長180m!うん、いい感じだ!が5.56mしかないけど大丈夫だいじょうぶ!

……と、こういう経緯でというよりはが浮いてるかのようにさえ見える正規空母龍驤>は誕生したのであった。
冷静で飾り気のない文体に定評のあるWikipedia先生にさえ体から溢れんばかりの上部構造に注とか「逆三角形の奇観」って言われてるが、まあ気にするな!

第四艦隊事件

いろいろあって建造開始から3年半、日本第二の正規空母龍驤>が工したのは1933年4月1日
それから一年も経たないうちに、佐世保で艇が横転・沈没する友鶴事件が発生する。横転した理由は「武装を積み過ぎた結果トップヘビーが過ぎたから」。ふーむ、ところで<友>なんかよりさ、こっちの<龍驤>のほうがよっぽど横転しそうな格好してるんだけど、これ、ちょっとまずいんじゃないか?ということでさらにバルジを増やし高も2基下ろして、これでどうにか一安心。

……と思ったのだが、<龍驤>の積みっぷりは<友>どころじゃなかったし、三陸の波は佐世保港外どころじゃなかった。帝国海軍史に残る大事件、第四艦隊事件である。波浪ヤバイマジヤバイ

1935年9月6日演習のため編成された第四艦隊は三陸にて、折悪しくも台風中に突っ込むこととなる。これは別に「帝国軍人は一歩も退かぬ!」みたいなことではなく、悪の中では混乱をきたす十六点回頭を命するわけにも行かず、日本で戦うからには台風を避ける訳にはいかない、という至極もな理由によるものである。しかしそれは、帝国海軍を驚倒させる大惨事を招いてしまったのであった。

この大嵐で、第四艦隊では妙高重巡洋艦と並んで大艦であった<龍驤>が受けた被害「艦圧壊」。字面だけでなんか凄そうなこの損傷の詳細は「失敗知識データベースexit」によれば

航空母艦龍驤は前甲が低いため、飛行甲板前端である艦及びその周が怒涛のため圧壊を生じた

ということであるから、つまりフルフラット方式ゆえに最前部飛行甲下に設けられていた艦にまで大波が達し、艦の壁をぶち割った」ということで、その理由といえば「上にいろいろ乗せすぎてが低くなりすぎ、大波を被りやすくなっていたから」ということなのであろう。えええ、えらいこっちゃ!

そんなわけで損傷部分をそのまま修復するわけにも行かず、<龍驤>は第二次装に入る。
飛行甲をちょっと短くしたりというぐましい努によってどうにかこうにかを7.08mに上げ、今度こそ波浪に耐えられる空母になったのであった。

まあ、艦が相変わらず不安定なのはね、もうどうしようもないから。不安感溢れるけど大丈夫だから。

ところで

友鶴事件」を受けての装ではバルジを増設したことは前項で述べたが、その中には重しの代わりに燃料タンクが入っていた。それはつまり、転覆しないためにバルジを増設した以上、そのタンクから燃料を抜いてしまえば転覆しやすくなってしまうわけで、転覆したくないならその燃料を使うわけには行かないということで……。

……どうしてそんなところに燃料タンクつけようと思ったんだろう?

戦歴

設計・建造と散々なにあってきた<龍驤>だが、その戦歴はそれなり。

事変で初陣を飾り、10000t級ゆえの小回りの良さと36機+補用12機を搭載する性が便利だったのか、太平洋戦後マレー作戦スラバヤ沖海戦南方攻略作戦において戦果を上げ、機動部隊の活躍をで支えた。

ミッドウェー海戦の後は空母不足から一航戦に編入され、その一員として戦歴を終えることとなる。第二次ソロモン海戦において<サラトガ>の攻撃を受けた<龍驤>は撃により大傾斜。そのままに沈んでいったのであった。

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掲示板

  • 31 ななしのよっしん

    2020/11/29(日) 09:12:51 ID: VdwTFt3fVD

    >>29
    赤城飛龍以上の正規空母を使い潰せるってだけでも格の違いを感じるなあ

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  • 32 ななしのよっしん

    2020/12/17(木) 21:09:07 ID: YWPTtrZ/7b

    「ところで」に

    >どうしてそんなところに燃料タンクつけようと思ったんだろう?

    って書いてあるけど、バルジを燃料タンクにすること自体は合理的な発想だったりする。
    バルジ内は燃料で満たされているが、当時の重は引火しにくいから仮にバルジに被しても燃え上がることはない。
    また、被しても重(液体)が漏れ出して代わりにが入ってくるだけだから、艦の浮は変わらない(=つまり燃料タンクがいくら破損しても沈まない)。

    当時のアメリカ戦艦でも同じ理由で喫線下に燃料タンクを配置している。

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  • 33 ななしのよっしん

    2021/06/30(水) 15:32:50 ID: PzKbXBVgOf

    ロシア中国空母って前から見ると逆三角形どころかもうTの字なんだよね。
    何事もやってやれないことはないもんだ。

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