三平方の定理とは、数学の定理の1つである。ピタゴラスの定理とも呼ばれる。
概要
直角三角形の辺の長さに関する定理であり、直角三角形の直角を挟む2辺の長さをaとb、斜辺の長さをcとすると、a2+b2=c2が成立するというもの。
「ピタゴラス」の項目も参照。
おそらく数学の中でも1,2を争うほど有名な定理であり、学校で教わる前に知っていた小中学生も結構多いと思われる。
非常に汎用性が広く、例えば後述のように座標平面上の2点の距離を求める際にもこの定理は必要不可欠である。
a,b,cは有理数となる場合もあれば無理数となる場合もある。(a,b,c)が全部正の整数となる場合については、(3,4,5)や(5,12,13)などが有名。これについては「ピタゴラス数」の項目を参照。
一方、(a,b,c)のいずれかが無理数となる場合については、(1,1,√2)や(1,√3,2)が代表的であり、この比は小学校で使う三角定規にも使われている。特に、直角を挟む2辺の長さが1の直角二等辺三角形の斜辺の長さ(1辺の長さが1の正方形の対角線の長さともなる)が無理数になるという事実は、当時のピタゴラス教団を震撼させたとか…
ちなみに、この定理の逆の「三角形の辺の長さa,b,cについてa2+b2=c2が成立するならば、この三角形はcを斜辺とする直角三角形である」も成立する。
応用・拡張
前述のように、この定理の応用範囲は幅広く、例えば座標平面上の2点の距離を求める際にも使用される。
座標平面上に2点A(x1,y1)、B(x2,y2)を取ると、その距離は√{(x2-x1)2+(y2-y1)2}と表される。
これは、ベクトルのノルムという概念にも応用されている。
また、このような辺の長さの関係を直角三角形だけでなく、一般の三角形に拡張したものに、「余弦定理」がある。
余弦定理とは、三角形ABCにおいて、
という式が成立するというものである。
ちなみに、これは2つのベクトルの差の絶対値の2乗の展開式そのものである。
これは三平方の定理の拡張とみることもでき、三平方の定理は余弦定理で角を90°またはπ/2とした場合(cosが0になる)と見なすことができる。
証明
この定理には多種多様な証明方法があり、証明方法は数百通りにも及ぶと言われている。
ここでは、証明方法の一例を紹介する。
- a,bを正の数とし、1辺の長さがa+bの正方形ABCDを考える。
- 辺AB,BC,CD,DAをそれぞれa:bに内分する点をそれぞれE,F,G,Hとする、
- 三角形AEH,BFE,CGF,DHGは全て直角を挟む2辺の長さがa,bの合同な直角三角形となる。斜辺であるEH=FE=GF=HG=cとおく。四角形EFGHは1辺の長さがcの正方形となる。ここで、a2+b2=c2を示すことが最終目的となる。
- 正方形ABCDの面積を2通りで表すことを考える。
- 「1辺の長さの2乗」で表す場合、面積は(a+b)2となる。
- 「正方形EFGHの面積+4つの直角三角形AEH,BFE,CGF,DHGの面積の和」で表す場合、面積はc2+4・(1/2)・a・b=c2+2abとなる。
- 当然どちらの方法で表した面積も等しいので(a+b)2=c2+2abとなり、これよりa2+b2=c2が示される。
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関連項目
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