整数とは、0,1及びそこから加法構造で帰納的に得られる数の集合である。平たく言えば、0、と+1,+2,+3...といった自然数、-1,-2,-3...という符号反転した数のこと。
現実世界で実在物を数えるだけなら自然数で事足りるわけだが、自然数は引き算(足し算の逆演算)が自由にできないため演算構造として対称性が悪い。そこで負の数の存在を保証して足が出ないようにしたのが整数である。一応掛け算に付いても閉じているため、専門的には単位的可換環(加法群+可換乗法)ということになる。
いうまでもないが割り算は自由にできないので、完全な四則演算フリーではなく、よって整数は体ではない。
簡単な概要
整数とは、0, 1, 2, 3...や0, -1, -2, -3...のように、数字(0123456789)とプラスマイナスだけで表現される数のことである。分数や小数ではない数である。
リンゴやミカンなどを数えるときは自然数(1, 2, 3...)で十分だけど、自然数だけで物事を考えると、2 - 5 = ?のように、引く数が引かれる数よりも大きくなったときに、引き算ができなくなってしまう。そこで、自然数に0とマイナスの数を加えた集合を整数とした。これによって、どんな引き算もできるようになる。
整数と整数を、足したり掛けたり引いたりしても、その結果は絶対に整数になる。なので、+、×、-を使った計算は整数の世界だけで説明することができる。
しかし、整数の世界で÷を使った計算をすると、その結果が整数にならない事がある。そこで出てくるのが分数や小数であるが、それはまた別のお話。
負の数の乗法
ついでなので、負の数同士の積が正の数になることも説明しておく。
-1×-1=1
というこの式は、負の数自体が人工物である以上「そう決めたから」というのが答えなのだが、もちろん適当に決めているわけではない。
例えば会計処理で商品の販売数を1,2,3とカウントするとする。もし商品の返品があった場合、その扱いは-1,-2,-3として折り込まれる。一つ辺りの利益が100円とするならば、販売個数毎に100円、200円、300円と総利益がカウントされ、逆に返品毎に-100円、-200円、-300円……と、ここまでの処理が妥当である事は分かるだろう。
では、実はこの商品は特価品で、1つ売れる毎に100円の赤字が出るとしたらどうだろうか。この場合、商品が売れる毎に利益は-100円、-200円、-300円となり、返品される毎に(理論的には)100円、200円、300円の儲けがでることになる。マイナス×マイナスは確かにプラスを生んでいるのである。
負の数が当たり前のように使われるようになったのは割と最近で、かのオイラーですら「負の数は無限大より大きい」という謎な推論を行っていたりする。こういう基礎論に関わる問題は簡単なようで難しい。
証明
- 1+a=0となる整数aを(-1)と書く。
1+(-1)=0
- 両辺に右側から(-1)を掛ける。
1×(-1)+(-1)×(-1)=0×(-1)
- 両辺に左側から1×1を足す。0×(-1)=0。
1×1+1×(-1)+(-1)×(-1)=1×1
- 分配法則。1×1=1。
1×(1+(-1))+(-1)×(-1)=1
- 1+(-1)=0なので
1×0+(-1)×(-1)=1
- 1×0=0なので
(-1)×(-1)=1 ■
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