共喰い(ともぐい)とは、田中慎弥による短編小説である。第146回芥川龍之介賞受賞作。
本来の意味は「共食い」の記事参照。
概要
『すばる』2011年10月号にて発表。本作は第146回芥川龍之介賞を受賞した(円城塔「道化師の蝶」との同時受賞)。田中にとっては5回目の芥川賞候補での受賞であった。
受賞会見の際の、
4回も落っことされた後ですから、ここらで断ってやるのが礼儀といえば礼儀ですが、私は礼儀を知らないので。もし断ったって聞いて、気の小さい選考委員が倒れたりなんかしたら都政が混乱しますんで、都知事閣下と都民各位のために、もらっといてやる、です。
という発言がニコニコ生放送でも中継され話題になった。当時の東京都知事・石原慎太郎が選考委員を務めていたことを受けての発言で、石原はこの回の選考会で激怒して途中退席、そのまま選考委員を退任したこともあって石原との対立関係と受け取られることも多かったが、実際は石原が激怒したのは円城作品の方で、本作の方は石原も評価していた。田中慎弥の記事も参照。
あらすじ
昭和63年。十七歳の篠垣遠馬(しのがきとおま)は一つ年上の会田千種(あいだちぐさ)と付き合っている。遠馬は父の円(まどか)と父の愛人の琴子(ことこ)と共に過ごしていた。遠馬の生みの親の仁子(じんこ)は右腕に義手をつけて魚屋を営んでいる。
父はセックスの時に琴子を殴る。それを見ていた遠馬は、自分もセックスの時に千種を殴るのではないかと不安に思うが、父とは違うと自分に言い聞かせる。しかし、次第に湧き上がる衝動は抑えきれないほどに膨れ上がる。
関連商品
第144回芥川龍之介賞の候補作『第三紀層の魚』も収録されている。
関連項目
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