怒りマークとは、漫画などで使用される符号の一種で、線4本や3本を用いて「怒り」を表現するものである。絵文字では「💢」。
概要
日本の漫画で使用されてきた表現技法の一種。上記の絵文字のように4つの線で描かれる事もあるが、3つの線で描かれることもある。
額の側方、こめかみの部分の皮膚に血管が浮き出ている人は実在する。怒って血圧が上がった時などに、こういった血管は怒張して目立つことがある。この現象から「青筋を立てる」という怒りを表す慣用表現もある。このような現象を漫画内で描写するために、激怒したキャラクターの額に描いていたものが始まりだと思われる。
当初は上記のように「実際の現象を単純化して描いたもの」であったためにキャラクターの額の側方、こめかみ部分に描かれるものであった。しかし徐々に「血管」という由来を離れて「怒りを表す符号」として一般化していき、例えば「キャラクターの髪の上に描かれる」「キャラクターの近くに宙に浮いて描かれる」「キャラクターの吹き出しの中に描かれる」と言った使われ方もされるようになった(本記事の「関連静画」参照)。
現在では漫画だけでなく、アニメ/ゲーム/イラストなど、幅広い作品ジャンルにおいて使用されている。
起源
起源については不明だが、日本の漫画文化の中で培われたものと推定されている。
ネット上で確認できる古めの例としては、集英社「幼年ブック」に1955年4月号~1957年8月号の期間連載されたという杉浦茂の作品「ドロンちび丸」には既に登場しているようだ[1]。
しかし、おそらくさらに遡れると思われる。さらに古い例を見つけた方は本記事のこの部分を更新されたい。
海外において
日本の漫画/アニメ/ゲーム等でよく登場するが、日本国外の作品(例えばアメリカンコミックなど)では使用されないとされてきた。日本の漫画/アニメ/ゲームに馴染みがない外国人には、このマークの意味が解らないケースも生じるという。ただし近年では「日本の漫画/アニメ/ゲームに影響を受けた日本国外作品」で使用されることもある。
ちなみに、「怒りを表しているわけではないけれども非常によく似たマーク」はアメリカンコミックで使用されることもあった。たとえば主人公の「スヌーピー」で有名なアメリカンコミック「ピーナッツ」では、キャラクターがタメイキをつくときに吹き出し内に「💢sigh💢」と表記されていることがある。線が4つだったり3つだったりするのも怒りマークと類似している。しかしこれはスヌーピーがブチ切れているわけではない。
アメリカンコミックス内でキャラクターがためいき(sigh)やあくび(yawn)をする際に、アスタリスク記号「*」などで「sigh」や「yawn」を挟んで「*sigh*」や「*yawn*」と表現する……という手法の流れからきたものであり、怒りマークとは源流を異にするものである。「ピーナッツ」ではもっとアスタリスクに近い記号で「*sigh*」と表記されていることもある。
呼称
この「怒りマーク」という呼称は単によく使われているというだけのものである。定められた公の呼称があるわけではない。
そのため、例えば「青筋マーク」、「怒りの四つ角」や「怒りの三つ角」など、別の呼び方で呼ばれることもある。
絵文字
絵文字「💢」が存在する。Unicodeでは「anger symbol」という名称で、「U+1F4A2」でコードされている。[2]
関連静画
関連ニコニ・コモンズ
関連項目
脚注
- *ドロンちび丸・杉浦 茂|コミックパークより。立ち読み範囲内の6ページ目で、線3つで構成されているものが使用されているのが確認できる。
- *Full Emoji List, v13.0
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