衷とは、人名である。
漢字として
- 意味
- 肌着、下着、内に着る、公正である、中正である、善い、(中と通じて)うち、心の中、あたる、中庸、(忠と通じて)まごころ、忠誠、という意味がある。
- 〔説文解字・巻八〕に「裏䙝衣なり。衣に從ひ中聲」とあり、〔春秋左氏伝・宣公九年〕から「皆、其の衵服を衷(うち)にす」を引用する。
- 字形
- 形声で声符は中。中に着る服である。
- 音訓
- 音読みはチュウ(漢音)、訓読みは、うち、まこと、ただしい。
- 規格・区分
- 常用漢字である。JIS X 0213第一水準。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。
- 語彙
- 衷言・衷甲・衷心・衷正
異体字
- 𠂻は、〔六書正譌〕にある俗字。
画数・筆順
日本における「衷」の画数は辞書によって「9画」と「10画」で揺れている。9画で書く場合は、縦画を貫いて書く。10画は「亠(なべぶた)」を書いて書き進める。
このことに関して文化庁へ問い合わせたところ、文化庁文化部国語課から回答があった。
常用漢字表は各掲出漢字の画数を明示しておりません。画数に関しては,「表の見方及び使い方」の「3」において,「字種は字音によって五十音順に並べた。同音の場合はおおむね字画の少ないものを先にした。」という言及があるだけです。
よって,「衷」の画数についても,「常用漢字表」は具体的に示しておりません。また,文化庁が採用している画数というものもありません。
現代の手書きの習慣から言えば,「衷」は9画で書かれることが多いかと思われます。9画を採用している辞書はその点を重視していると考えられます。一方,国内の多くの辞書が参照してきた「康熙字典」において,「衷」は「衣」部内の4画に挙げられており,なべぶた+「中」のように書く形が掲出されています。これは全体で10画となります。10画を採用している辞書はこの「康熙字典」に倣っているものと考えられます。
以上のとおり,「衷」の字画は9画と考える見方と10画と考える見方の両方があるものと言えます。このことは,辞書の作り手も意識しているようで,例えば,学研の「現代標準漢和辞典」の「衷」の項には,「どちらも正しいが,学習向け辞典は9画,一般向け辞典は10画の筆順を掲載している傾向がある。」といった解説が見られます。
―回答のメールより―
ということである。
ちなみに、中国・台湾・香港はいずれも10画で、真ん中を「中」と下まで突き出して書く字体を採用している。
関連項目
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