SCION(サイオン)とは、2016年9月まで存在した、北米圏におけるトヨタ自動車のブランドである。
概要
2000年代前半までにおけるアメリカのトヨタ自動車のブランドはトヨタのほかにもレクサスが存在し、故障知らずでバリューフォーマネーをそのまま行くものであった。特にレクサスは自動車における顧客満足度の指標であるJDパワーの調査でも2008年まで14年連続トップであり、ハード・ソフトの面でも随一であった。
一方で免許を取り、自動車を乗り始める世代にとってはそうした評価があまり指標とならないケースが見られた。ジェネレーションYと言われる若者を中心にトヨタ車のイメージは「おっさん/おばさんの乗る退屈な車」と言うイメージであった。彼らは多感な時期に冷戦崩壊や9.11のようなパラダイムの転換を目の当たりにした為、既成の概念を否定しがちであった。また理屈よりも感性を重視する世代であり、いかにトヨタの車が燃費が良くて安い上に壊れないと言ったところで、見た目がつまらない、自分に合わなければメリット以前にバッサリ否定する傾向があった。加えてインターネットを駆使するという風にこれまでのアメリカ人には見られない特徴が存在する。
人口の多いこの世代をとりこぼす事は北米においては将来的に販売台数が落ちるかもしれないという危機感があった。そこで若者向けのまっさら新しい第3のブランドとして2003年に登場した。
2016年2月、トヨタ自動車は「SCION」ブランドを廃止すると発表した。現行車種は今年8月から順次、「トヨタ」ブランドに統合していく[1]。
ネッツ店との違い
日本においてSCIONに相当するのはネッツ店である。ネッツ店は前身であるトヨタオート店時代を含めて若者向けの車種を取り扱うディーラーであり、共通する点は多いが実際はまるっきり異なっている。
ネッツ店は独立したディーラーとして存在するのに対して、SCIONはトヨタのディーラー店の中にSCIONのブースなりディーラーがある形を取っている。これは今はSCIONであっても、いずれは卒業してトヨタブランドへ移行するという日本における「いつかはクラウン」のようなサイクルをもくろんでいる為である。なお、日本とアメリカにおける自動車販売の環境の違いも考慮にいれる必要があり、アメリカにおけるトヨタでは車種や階層に合わせた多チャンネル販売店は存在していない。
もっとも大きな違いはネッツで販売される車は「ネッツというメーカーの車ではなくトヨタの車」であるが、SCIONで販売される車は「SCIONの車でありトヨタの車ではない」事である。
販売戦略上も異なっており、ネッツ店は従来よりの方式でテレビCMを多用する傾向があるが、SCIONはクラブなどの若者が集まりやすい所を中心にCMを行い、狙い撃ちをする傾向がある。インターネットを活用し、オンラインでの相談をする事も出来る。
サイオンブランドの車
日本でも発売されている車が多く、エンブレムがサイオンマークになる程度と思いきや、顔つきが大きく異なってたり、そもそもエンジンが違うという事もある。トヨタ車で見られるレクサスマークに貼り替えと比べると、サイオンマークへの貼り替えは意外に多くない。
- xA(生産終了)
初代istがベースとなっている。日本には設定のない5速MTが設定されていた。 - xB
初代はトヨタbB、2代目はカローラルミオンがベースとなっている。いずれも日本には設定のない5速MTが設定されている。2代目は日本には設定のない2.4Lのエンジンが標準である。 - tC
日本未投入のクーペ。セリカの後継と言う位置づけであり、ベースはアベンシスとなっている - xD
2代目istがベースとなっている。日本ではラインナップから消えた1.8Lが基本である。これまた5速MTがラインナップにある。 - iQ
このモデルのみ日本と同じ名前である。スタイルもほぼ一緒であるが、微妙に出っ張ったバンパーが特徴である。 - FR-S
トヨタ86とほぼ一緒である。 - iA
サイオン初のセダンであるが、まさかのOEMでマツダ・デミオである。しかも、日本未導入のセダンモデルである。こちらには6速MTとATが用意され、コンパクトスポーツセダンを標榜する。 - iM
トヨタ・オーリスを北米仕様に仕立てた車であり、オーリスで言う所のRSグレードをベースとしている。
関連動画
CMだけみても、ターゲットにしている層へのアピールの仕方が異なる点に注目されたし。IQのCM比較。
関連商品
関連項目
リンク
脚注
- 0
- 0pt