フランドール・スカーレットとは、ZUN制作の弾幕STG「東方Project」のキャラクターである。
テーマ曲は「U.N.オーエンは彼女なのか?」
概要
東方紅魔郷・Extraステージボス。東方文花帖EX-1,2ターゲット。
東方紅魔郷・6ステージボスであるレミリア・スカーレットの妹である。
十六夜咲夜やパチュリー・ノーレッジ等、紅魔館の他の住人からは「妹様」と呼ばれている。
495年以上生きているが、少々気が触れている(情緒不安定な)為か、通常は屋敷から出して貰えず、また自分から出ようともしないので世間知らずのまま育った。
普段は大人しく可愛らしいが、人間の襲い方を知らないため、手加減できずに跡形も無く吹き飛ばしてしまう。
そもそも紅魔郷で主人公達に会うまで、調理された形でしか人間を見た事が無かったようである。
手には何とも形容しがたい形の物を持っている。デザイン的には時計の針が歪められたような棒状の物体。これはフランドール・スカーレットを表すシンボルの一つになっている。
また、「枯れ木にプリズムがぶら下がった」とでも言うような非常に特徴的な羽をしている。悪魔然とした姉の翼とは対照的に、歪さと輝かしさを併せ持つ異様であり、これもまた彼女の象徴となっている。博麗霊夢曰く「あんなんでは飛べないでしょうに」との事であるが、この発言について「そもそも羽自体無いのに飛んでる者が沢山いる幻想郷で何を仰るのか」と稗田阿求は述べている。
なお、紅魔郷Extraステージで登場してから弾幕ごっこの最中まで終始あの羽をパタパタと振っている。かわいい
姉であり紅魔館当主でもあるレミリアのことを東方紅魔郷では姉として慕っている様子であるが、後に東方文花帖(書籍版)で登場した際には陰で「あいつ」呼ばわりしていた。
おかげで「妹に素で舐められる」と言う描写はレミリアのカリスマブレイクにおける遠因の一つとなってしまう羽目に。
姉以外の紅魔館住人との関係は現時点においてほぼ描写されていないので詳細は不明だが、
【紅魔館の中でも仲の良い妖怪は少なく常に孤立している。姉ですら一緒にいる姿はあまり確認されていない】
と記述されている書籍もあるので、他の住人との関係はあまり良好では無いと思われる。(引用書籍:東方求聞史紀)
一方で、東方鈴奈庵においては非常に貴重なスカーレット姉妹のツーショットが8年ぶりに実現し、何と二人でチュパカブラを眺めているという微笑ましい姿が見られた。
「気が触れている」という設定があるが、いずれの媒体に登場した際も所謂「発狂」した事例はなく比較的冷静で、ゲーム内では魔理沙に対しなかなか高等な会話をしている。また書籍版文花帖ではややまどろっこしい話し方をしていた(ただしこの時、姉も同じような会話法を取っており、射命丸を煙に巻こうとしていた可能性もある)。
「あなたが、コンティニュー出来ないのさ!」
が有名。お嬢様然とした言葉遣いから突如として繰り出されたこの言葉は、彼女の気性と苛烈さを如実に表したものとして多くのプレイヤーに刻まれることとなった。
名前の綴り
初期にZUN氏が2004/1/4の日記で紅魔郷や妖々夢のキャラの英字綴りを公開した時点では"Flandre"とされていたが2006/12/27発売の東方求聞史紀では"Frandle"となっていた。
しかし、さらにその後の2007/1/26発売の東方三月精にて"Frandoll"と言う誤記があった時、ZUN氏によって"Frandre"であると正誤訂正がなされている。
このように3つが3つとも異なる綴りであり一定していない。
最も新しい情報としては2007年の三月精正誤訂正における"Frandre"であるが、どれが正しいとも言いがたい。
なおgoogle先生に聞くと以下のような結果になる(2013/03/20時点)。
「Flandre Scarlet」で検索・・・約1,470,000件
「Frandle Scarlet」で検索・・・約17,500件
「Frandre Scarlet」で検索・・・約4,930,000件 もしかして : Flandre Scarlet
余談だが"Flandre"(フランドル)とは実在の地名。「フランダースの犬」のフランダースの別名である。
能力
ありとあらゆるものを破壊する程度の能力
全ての物質には「目」という最も緊張している部分があり、そこを攻撃することで対象を破壊する事ができるというもの。経絡秘孔とか直死の魔眼辺りがイメージに近いか、正に一撃必殺の能力である。
更に彼女はその「目」を自分の手の中に移動させることができ、手を握り締めて「目」を壊せば無条件で対象を破壊できる。ゲーム上では出しにくい能力であるが、数少ない実例として、書籍文花帖にて隕石を破壊したという描写が存在する。無論、「目」は物質だけでなく人間にも妖怪にも存在する。
本人曰く「きゅっとしてドカーン」
身体能力
当然ながら、鬼の怪力と天狗の素早さを併せ持つとも言われる吸血鬼の身体能力・再生能力も持っている。
一説では姉のレミリアをも上回るとかなんとか。
テーマ曲
U.N.オーエンは彼女なのか?
テーマ曲タイトルの「U.N.オーエン」とは、アガサ・クリスティ著の実在の推理小説の登場人物である。
厳密には、事件の発端となった招待状の差出人の夫妻の名前をイニシャルにするとU.N.オーエンとなる。
U.N.オーエン=Unknown、つまり「正体の分からない者」であり、登場人物が誰とも分からぬ犯人に殺されていくストーリーとかかっている。
フラン自身が人間や他の妖怪を殺す事の意味を分かっていないある意味残酷な性格である事、地下で幽閉され続けてその存在が外に殆ど知られていない事などから関連付けられたものだと思われる。
スペルカード
東方紅魔郷
スペルカードも、テーマ曲と同じく「そして誰もいなくなった」にちなんでいる。
ちょうど10枚なのも登場人物が10人だからである。
- 禁忌「クランベリートラップ」
クランベリーとは果物の事。弾幕がクランベリーの収穫方法にちなんでいる事に加え、
10人のインディアンの最初の一人が「喉に詰まらせて死ぬ」事にも関連しているのだろうか?
- 禁忌「レーヴァテイン」
北欧神話に登場する炎の魔剣(魔杖)。世界を焼き払うとも言われている。
スペカも赤いレーザーでなぎ払うような内容となっている。
フランの持っている、スペードがくっついた槍だか杖だか分からないアレの事だろうか?
- 禁忌「フォーオブアカインド」
ポーカーの「フォーカード」の別名。ちなみにファイブカードはファイブ・オブ・アカインド。
文字通り4人に分身して攻撃を仕掛けてくる。
- 禁忌「カゴメカゴメ」
有名な子供の遊び、及びその時に歌う歌「かごめかごめ」から。
禁忌と言うのは「かごめかごめ」には色々な怪談があったり、歌詞に子供が歌うのに適さない様々な意味が込められているという説があることからだろう。
- 禁忌「恋の迷路」
ぐるぐると回される迷路状の弾幕を放つスペル。
このスペルを避けきる方法は正面で普通に避ける(押しの一手)か、迷路を抜けるように自分が回る(相手に合わせる)かの2通り。
- 禁弾「スターボウブレイク」
「スターボウ」とは「星虹」とも書き、宇宙を亜光速で航行すると目にする事が出来るであろうと言われている現象。
高速で移動するとドップラー効果による偏移で星の色が「ズレて」見える。
この時肉眼にとっては不可視である赤外線やX線などの光線も可視光の範囲に入り、宇宙に煌びやかなリング状の虹のようなものが出現する(亜光速で宇宙を航行する技術はまだ無いので、理論上の話であるが)。
フランのこのスペルにおける弾幕も虹色の弾が出現する。そして、それらが「ブレイク」される。
- 禁弾「カタディオプトリック」
【カタディオプトリック】とは、『カトプトリック(反射光学の)』と『ディオプトリック(屈折光学の)』と言う2つの言葉を合わせた、天文学用語の造語。
これで1つの単語である。反射望遠鏡にレンズを組み込んだ方式の望遠鏡の事。
なおカタディオプ(pu)トリック。カタディ・オブ(bu)・トリックと読むのではない。
フランの弾幕も画面端で反射して屈折する。
- 禁弾「過去を刻む時計」
十字型のレーザーが反時計回りに回る=つまり過去を刻んでいる。
- 秘弾「そして誰もいなくなるか?」
「そして誰もいなくなった」の直接のもじり。フランと魔理沙の会話もこれを元ネタとしている。
秘弾とは被弾ともかけられていて、自機が被弾すればフランも消えてる状態なので文字通り誰もいなくなった状態。
- QED「495年の波紋」
QED=Quod Erat Demonstrandum(かく示された)。数学などでよく使われる、「証明終了」の事。
495年を幽閉されて過ごした結末がどのようなものであるかの証明、と言った意味であろうか?
495年を経て波紋とかスタンドの能力を身につけたのではない、はず。
東方文花帖
東方文花帖の事実上の最終ステージEXに登場し2つのスペカを披露する。ここに辿り着くまでが大変。
- 禁忌「フォービドゥンフルーツ」
フォービドゥンフルーツ=禁断の果実とはすなわち旧約聖書に登場する「知恵の実」のことである。
弾幕は画面四隅と中央にいるフランドールから隙間のない全方位弾が放たれるというスペルカードルールにおけるまさに禁忌。
- 禁忌「禁じられた遊び」
「禁じられた遊び」は1952年にフランスで公開された映画で、子どもたちが教会の墓をあばいて十字架を盗んで動物の墓を作る遊びからタイトルが取られている。
十字架を模した弾幕を全方位に放ってくる。この弾幕は消しても復活するので注意。
幽閉設定について
495年間館の外に出たことが無かったと言う点はほぼ確定であり、多くの二次創作において「フランドールは495年間地下室に幽閉されていた」との設定が使われているが、フランドールの境遇については公式に明言された事は無い為、これは正確ではない。
しかし彼女の登場作品における設定や会話にそうしたことを示唆する物が多い事が、この設定が広まった理由と思われる。これについては以下を参照。
- 『通常は表に出してもらえません。出ようともしません。(東方紅魔郷おまけ.txt)』
- 『紅魔郷EXステージで外に出ようとした際、パチュリーがそれを阻止(東方紅魔郷EX状況)』
- 『フランドール「私は495年間一回も、お外に出てないのよ」(東方紅魔郷EX霊夢ルート)』
- 『フランドール「ずっと地下で休んでいたわ、495年くらいね」(東方紅魔郷EX魔理沙ルート)』
- 『人間を飲み物の形でしか見た事が無かった(東方紅魔郷EX霊夢ルート)
※館全域で活動している筈の十六夜咲夜を見た事が無い?』 - 『東方紅魔郷エクストラストーリーOPにおいて姉であるレミリアに存在を忘れられていた(東方紅魔郷)』
ただ、これらは幽閉を明言しているものでは無いので、どう受け取るかは人によって大きく変化する。
また、これらに対する設定や意見として、
- 『少なくとも東方紅魔郷以降は屋敷を徘徊している(東方文花帖、東方求聞史紀)』
- 『庭にも出ている(東方文花帖)※1と合わせ、幽閉されていたとすれば適応が早過ぎるという指摘も』
- 『公式においては東方紅魔郷以降でフランドールの性格が(一部の二次設定にあるように)激変した様子はなく、
上記1、2の描写を「レミリア達が幽閉を解いた」と判断する根拠がない』 - 『屋敷を出ない事について「閉じ込められている、もしくは引き篭もりという噂」と言及されている(東方求聞史紀)』
- 『ずっと地下室に居たと言う根拠としては弱い(上記5、6について)』
等が挙げられている。
受け取る人間によって解釈の変わるこれらの設定によって幽閉の有無に関する議論に発展する事もある。
しかし上記の通り、この件について公式で直接触れられた事は無く、確定した情報が無い為にどちらの意見も臆測の域を出ておらず、公式の設定とは言えないのが現状である。
公式での新情報が来ない内は、あまり気にしないで好みの解釈をするのが良いかもしれない。
ニコニコ動画において
そのテーマ曲である「U.N.オーエンは彼女なのか?」も有名であり、MAD作品に多用されている。
一時ニコニコ内での新参ホイホイとなっていた(キャラではなくテーマ曲のほうでだが)。
また、COOL&CREATEのアレンジ「最終鬼畜妹フランドール・S」を原曲と間違える人もいたらしい。
詳しくは「U.N.オーエンは彼女なのか?」を参照していただきたい。
その一時の露出によってフラン自身も注目されるようになり、単純に洋ロリとしての魅力や特徴的な容姿、掘り下げ甲斐のある設定や狂気を是とするニコニコ動画との相性もあり、ニコニコ動画でも人気のある東方キャラの一人となっている。
二次創作では
カリスマの有無で多様な姿をとる姉同様、「狂気」をどう捉えるかによって性質が変化するキャラである。
原作のやり取りから言えば狂気といっても「発狂」するタイプではなく比較的冷静で知的なキャラだと考えられ、これに準拠したどこか冷たい、或いは何かがおかしいタイプの描写もされるが、「狂気」のイメージから一枚絵を中心に血と狂気を孕んだ物凄く狂った姿で描かれる事がある。
逆に、見た目や幽閉設定の関係で本来の狂気が無知に変質して本来の知性が中和され、見た目どおりの無邪気ロリになっている場合もある。
これらの描写は適当なところで折衷されることが多く、無邪気攻めやドSになったりするほか、他色々な意味で『危うい』描かれ方をされる事も多く。ただの無知とする場合も、チルノなどとは逆でネチョい方向に話が行きやすい傾向にある(→お兄様ホイホイ)。
東方手描き劇場などでは、自身の狂気との付き合い方に思い悩む姿や力加減ができず危なっかしい姿、強力な頭脳と力を持っているのに性格が幼いなど、現代的な精神障碍者のイメージに近い描かれ方をする時も多い。
能力に関しては、文花帖での取材記録などから遠くの対象を握り潰して爆砕する技と解釈される。
上記の能力からの連想、吸血鬼であること、レーヴァテインを振り回すことなどから物理的にも凄まじい怪力であると解釈されることが多く、能力を使わない物理的破壊も良く見られる。どちらかというとスピード重視の姉と比べ、こちらは純粋なパワータイプとされる場合が多い。
また、これらの事情や人間をうまく襲えない点から不器用であるとされることが多く、特に冷静だったり知的だったりと言った部分が反映されていない場合その傾向が強くなる。ただし、魔法少女でもあるという点や姉よりもややこしい弾幕を多く使うことから知的な性格を反映する場合はこの限りではない。
また、紅EX後に幽閉が終了しその後どうなったかの描写が作者に任せられているため、(完全に狂っているタイプを除き)どのようなの狂気のフランであっても紅魔館メンバーの中で最も行動が自由で多様という逆転現象が発生している。
さらに紅魔館で余りがちのためかむしろ外出機会も多くなり、活動範囲が非常に広い。
他のキャラとの関連
どういう理由であれ基本的に地下で生活しているせいか原作で絡みがあるキャラが極端に少なく、キャラ像や他人との関係性は二次創作の積み重ねによるところが大きい。
初めは公式で接点があった姉及び主人公組が主体であったが、紅魔館内でのホームドラマ的な創作から紅美鈴との接点ができ、その後原作から6~7年程の時を経てようやくお友達ができるようになり、現在はそれを拠点に新勢力と絡む機会を増やしている。
レミリア・スカーレット
紅魔館の主であり、フランの姉。
幽閉設定をどうとるかという問題があり、姉妹共に相手を気に掛ける描写とぞんざいに扱う描写が同時にあるため関係性は様々。公式書籍で紅霧異変以降館内で見かけるようになったと言う記述がされ、それがコミックで描写されて確定したため以前ほどいがみ合っている描写はされなくなった。
基本的にレミリアのお姉ちゃんキャラが強調される形になるが、ギャグなどでレミリアがボケ役(主に意地と見栄の張り過ぎ起因する)の場合、冷静な性格を反映したフランがツッコミと言うパターンも多々ある。
紅美鈴
紅魔館の門番。
直接の接点はないが、弾幕として虹を使用するという共通点がある。
レミ咲に対応させる形でつくられたという面と、美鈴の「扱いが悪い」→「頑丈で我慢強い」という解釈がされたことで、フランの狂気をある程度吸収・軽減できるからなどの理由がある。
基本的に年の離れた姉妹のように、時に美鈴が苦労しながらも仲よく一緒に遊ぶような形となる。
そのため、狂気の程度に関わらずフランは幼く描写されやすい。
パチュリー・ノーレッジ
図書館の居候。
「外に出せさないために雷雨を降らせている」という設定があるために、フランが外に飛び出す類の話では何かと行動不能にさせられてしまう苦労人的なポジションに回される事がしばしば。
一方で館の内で進行する様な話では、読書の楽しみを教える先輩であったり共に難解な書誌を嗜み合う同士であったりと、数少ないインドア派仲間として意気投合する描写もよく見られる。
他キャラと比べるとカプ的な絡みとして取り上げられる事は稀であるが、セットで登場した場合は名脇役として共に立ち回る役柄が多い。
古明地こいし
原作での接点は皆無であるが、Exボス・妹キャラ・狂人と共通点が多々見受けられる事から、二次創作で接触の機会が設けられる事が多い。特に説明もなく友人関係となっているケースもしょっちゅうである。
こいしは特性上どこにでも登場でき、感情が無いため恐怖せず、お互いに狂気を引け目に感じたりする必要もないなどの条件が揃っているため、対等な「はじめてのおともだち」として描写される場合が多い。
カップリングに近い描写の場合必然的に二人の世界になってしまい、極端に綺麗に描かれることもあれば、重苦しかったり壊れ気味なこともある。一方で、封獣ぬえを加えてEX三人娘になると悪ガキとしての描写が多くなる。
お絵カキコ
枚数が多くなったので、フランドール・スカーレットのお絵カキコに分割しました。
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