マツダ・デミオ(DEMIO、2019年まで海外名MAZDA2) は、マツダが1996年より生産・発売しているハッチバック型自動車である。2019年9月から、国内向けも「MAZDA2」に改名された。
概要
4気筒エンジンを搭載する前輪駆動のコンパクトカーで、2021年現在販売されているものは四代目。海外ではMAZDA2として販売されていたが、上記の通り国内向けも名称統一された。マツダの救世主であり稼ぎ頭。初代と二代目は同じコンセプトの範疇にあったが、三代目になり大きく路線変更した。四代目ではクリーンディーゼルエンジンを中心にクラスを超えた走りの余裕を売りにしている。
なお、三・四代目モデルの中国とタイ、オーストラリアの各仕様には、トランクを付けた4ドアセダンも存在する。さらに、北米では「ヤリスセダン」の名でトヨタからOEM販売されていたこともある。日本でも売って欲しい…。さらにさらに、ハッチバックモデルは北米限定で「ヤリス」の名でOEM販売されていた。ややこしい。2021年現在は北米市場からトヨタが小型車を撤退させたため、このOEM販売も終了している。
歴代モデル
初代 (DW型・1996年〜2002年)
1990年代、バブル期の5チャンネル体制と言うわけのわからないものが破綻し、マツダは窮地にあった。そこで「なるべく金をかけず、サクっと売れて手軽に乗れる車が良い」と考えたマツダの偉い人が、オートザム・レビューのプラットフォームをベースとし、フォード・フェスティバの延長線上において開発・発売したのが1996年発売の初代である。同時にフォードにも「フォード・フェスティバミニワゴン」としてOEM配給されていた。
質素な外観と内装はともすれば味気ないものになりそうだが、優れた積載性と居住性、気軽に使える道具感が受けヒット作に。マツダの窮地を救う。
二代目 (DY型・2002年〜2007年)
そんな初代のヒットに続けと発売されたのが2002年登場の二代目。基本的にはキーコンセプトだが、内外装の質感が高められ、重厚感のある乗り心地となった。発展型のモデルチェンジである。リアのエンブレムは車名と「MAZDA」エンブレムの位置が入れ替わり書体も「DEMIO」→「Demio」となった。初代ファンは「あの道具感が良かったのに」と嘆いたが、なんだかんだで売れた。
CMには伊東美咲が起用され、様々なバージョンのものが作られた。特に話題になったと思われるのは、ボルボのトレーラー追い越し編。伊東がデミオで峠道を走っていると、前方にチンタラと走るボルボの大型トレーラーが現れる。ムカついた伊東が勢い良くアクセルを踏んで4000回転以上まで回し、トレーラーをぶち抜き、追い越しざまにミラーで後ろを見て「フッ、雑魚め」といったSっぽい表情の微笑を浮かべるもの。実にマツダらしい健全なCMであった。
二代目の欠点としては燃費の悪さが挙げられる。重量増と設計の古い4ATが足を引っ張ったのが原因。また欧米からは「なんか商用車っぽいな」と苦言も呈される。燃費を重視する傾向に逆らえるはずも無く、またマツダの主要な顧客は欧米人を無視するわけにもいかない。これが次の三代目での大転換に繋がる。
この二代目をベースに内外装をお洒落にした国内専用モデルのベリーサも発売された。黒歴史扱いをしてもらっちゃ困る。まだ売ってるんだから。
→ 2015年9月に販売終了しました。
三代目 (DE型・2007年〜2014年)
2007年登場の三代目は、コンセプトが大きく変わった。先述の欧米からの注文を受け、積載性よりもスタイリングを重視した車に。全長も先代より小さくし、平均100kgもの軽量化を達成。モデルチェンジの度にデカくなる傾向のあるこのクラスの車種でありながら、敢えてダウンサイジングを決行した結果、先代よりもコンパクトカーらしい車へと変貌を遂げた。積載性は当然ながら悪くなったものの、格好いいスタイリングやマツダらしい楽しい走りが評価され、2008年度のWCOTYを受賞。初代と二代目のファンは「あの積載性が良かったのに」と嘆いたが、何だかんだ言って売れた。またミラーサイクルエンジンが復活し、軽量化とあわさってクラストップレベルの燃費を実現した。
発売当初のCMには玉木宏や戸田恵梨香らを起用。特に話題になったのは「ふしぎなおどり」編。オレンジのドレスを着た戸田が、オレンジのデミオの前で「ふしぎなおどり」をするもの。スタイル抜群の美脚でドS美女の戸田が羞恥プレイを受けたとして、人気を博した。今でも語り草になっており、2chでは戸田の話題になると「デミオ」のレスがつく。誰も許さないようだ。
2011年のマイナーチェンジで、SKYACTIV-Gエンジンを搭載したグレードが登場。これはミラーサイクルのポテンシャルを高める為に6ポート燃料直噴、高圧縮比化、熱損失を防ぐ為のピストン頭頂部形状、ピストン軽量化、筒内摩擦抵抗の低減、排気側バルブタイミング、排気再循環、さらに車体底面への整流板の設置、CVTの制御の一部をECUの一部で行うなどし、10・15モードで30.0km/L、JC08モードで25.0km/Lを達成。同時にスカイアクティブを含む全車で足回りが見直され、乗り心地と操縦性の向上が行われた。
2012年10月に電気自動車版の「デミオEV」が中国地方の法人向けにリース販売され、2013年12月にはデミオEVをベースに発電用ロータリーエンジンを搭載した「RE レンジエクステンダー」が試作されている。
四代目 (DJ型・2014年〜2019年、以降「MAZDA2」に改名)
2014年、7年ぶりのフルモデルチェンジが実施された。CX-5以降のデザインテーマである「魂動デザイン」と「SKYACTIV TECHNOLOGY」を全面採用。5ナンバーサイズは変わらないが全長は4060mmとなった。また、三代目アクセラから採用された「マツダ コネクト」も搭載される。9月に出たばかりなのに2014-15 日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。また、2014年度グッドデザイン賞のベスト100にも選出され、グッドデザイン金賞を受賞している。
搭載するエンジンは先代から引き継いだガソリンエンジン「SKYACTIV-G 1.3」のほか、2014年6月に発表された新ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.5」を搭載するディーゼル車もラインナップする。ガソリン車はすべてSKIACTIVE-G搭載となった。モデルチェンジ当初は1.5Lガソリン車は未設定であった。
トランスミッションはAT車にはガソリン車、ディーゼル車ともに「SKYACTIV-DRIVE」6速ATを搭載。MT車は「SKYACTIV-MT」が搭載されたが、ガソリン車は5速、ディーゼル車は6速となる。先代に搭載されたCVTは未設定。
燃費に関しては、ディーゼル車はJC08モード燃費で30.0km/L(6MT・FF)、26.4(26.6)km[1]/L(6AT・FF)となり、ガソリン車はJC08モード燃費で24.6km/L(6AT・FF)、21.8km/L(5MT・FF)となった。AT車は先代のSKYACTIV-G搭載車と比べると0.4km/Lの低下となったが、エンジンの最高回転数が引き上げられ、出力、トルクも共に向上している。
オーディオレス車専用に「マツダスマートナビゲーション(JVCケンウッド製)」が用意されるが、マツダ コネクトと違ってi-DMなどはメーター内ディスプレイに表示される。
なお、リアのエンブレムは「MAZDA」エンブレムが無くなり、車名エンブレムが書体を初代以来の「DEMIO」に変更したうえで左側に移動している。
2015年夏より、メキシコ新工場で生産された四代目デミオをベースとした北米向け小型車をトヨタ自動車のSCIONブランドにOEM供給された。日本では販売されていない4ドアセダンとなっており、車名は『iA』となっている。上記の通り、『ヤリスセダン』に改名し、ハッチバックも含めて北米向け『ヤリス』として販売されたが2020年秋をもって販売終了している。
2015年10月、新グレード「15MB」を追加発売。MBは「モータースポーツ・ベース」の略で、ジムカーナなどへの参加を想定したベース車両として設定された。現行型デミオでは国内向け初となる、アクセラと同型の「SKYACTIV-G 1.5」エンジンを搭載(ハイオク仕様)。トランスミッションはギア比を最適化した6速MTのみの設定で、前後ブレーキも大型化している。一部の快適装備はオプションも含めて非設定となった。
2016年10月、ステアリング操作に応じてエンジンの駆動トルクを緻密に変化させ、安定性と乗り心地を安定させる新機構「G-ベクタリングコントロール」を全車に標準装備。
2018年8月、ガソリンエンジン車を「SKYACTIV-G 1.5」に統一。MB以外はレギュラーガソリン仕様とした。
2019年7月、車名を輸出用と同じ『MAZDA2』に改めた。
関連動画
外部リンク
関連項目
脚注
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