YZF1000Rとは、ヤマハ発動機が製造・販売していた大型自動二輪車である。
「サンダーエース」のペットネームを持ち、「雷帝」の愛称がある。あるんだよ。
概要
90年代初頭、バイク界を席巻したレプリカブームがゼファーショックにより和らぐと同時に、ホンダCBR900RRを嚆矢とした「スーパースポーツ」というジャンルが拓かれる。
HY戦争の熱が未だ冷めやらぬヤマハは、ホンダに遅れを取るわけにはいかないとFZR1000Rの後継として新設計のリッターエンジン「GENESIS」を750ccクラスのフレームに搭載したフルカウルモデルを出す。
YZF1000Rと命名されたこのマシンは、それまでワークスマシンの名前だった「YZF」を市販モデルとして初めて世に知らしめた記念碑的モデル―――なのだが、先代のFZR1000Rとはうって変わったマイルドな性格が災いしてか、国内販売は振るわなかった(欧州では人気を博し、結果どんどん輸出されて国内ではさらに見なくなった)。CBR900RRがレーサーレプリカの色を濃く残すじゃじゃ馬だったのに対し、ヤマハは「公道を走るビッグスポーツにはゆとりが必要」というコンセプトを打ち出していたのだが、それが裏目に出てしまった形になる。
1998年のYZF-R1の登場後も、生産は2003年まで続けられた。
かくして横にCBR900RR、後にR1という立ち位置ゆえに知名度は低く、
「なにこれ、ツアラー?」
「メガスポじゃない? 見たことないけど」
と散々に言われてしまうこともしばしば。
しかしゆったりとしたカウルやシートを剥いてみれば、驚くほどコンパクトに引き締まったフレームが現れる。
公道での性能を追求するというコンセプト、新機軸のエンジンといったR1のエッセンスは実はこのYZF1000Rの時点で確立しており、いうなればR1プロトタイプ、R0(ゼロ)とも呼ぶべき存在……なのかも、ね。
前述の通り国内販売は振るわず、その多くが海外へと輸出されているため中古市場でもあまり見かけない。
その一方、一概に状態の良い個体が多く、またR1ではなくこのモデルを買うオーナーも何らかの強いこだわりを持っていることも多い。
一説には「バイクの方が乗り手を選んでいる」とされ、「ゆとりある誰でも乗れる大型バイク」というコンセプトにバイク自身が反逆しているのかもしれない。
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