市とは、いくつか意味のある言葉である。ここでは行政区分の意を中心に、それ以外の意味についても紹介する。
市(行政区分)
市(し)とは、日本の行政区分(地方自治体)の一つである。市区町村も参照。町村の規模より小さい市もある。英語のcityなど諸外国の行政区分の訳語に当てられることもある。
かつては市の名称は「既存の市の名称と同一あるいは類似であってはならない」というルールがあったため、そのルールが通知されるより前に同一名の市となっていた府中市(東京都・広島県)を除いて同一名の市は存在しなかった。そのため、北広島市のように方角をつける、陸前高田市のように広域地名をつける、鹿嶋市のように異体字を使う、みよし市のように平仮名にするなどの方法で重複を避けていた。
しかし、平成の大合併の際に既存の市が承諾すれば同一名も問題ないとルールが変わったため、新たに伊達市(北海道・福島県)という例ができた。
市制施行の条件
- 原則として人口5万人以上
- 中心市街地の戸数が全戸数の6割以上
- 商工業等の都市的業態に従事する世帯人口が全人口の6割以上
- 他に当該都道府県の条例で定める要件を満たしていること
- 合併やその他などで都道府県の知事に認可されること
日本一人口の多い市
神奈川県横浜市である。
住民基本台帳人口は2023年9月末時点で375万6148人。
日本一人口の少ない市
北海道歌志内市はかつて炭鉱の街で人口が46,000人ほどあったものの、2023年9月末時点の住民基本台帳人口は2701人。
炭鉱閉山などで一気に過疎化し、1980年代に1万人を割り込んだ。
かつて、人口が2番目に少ない同じ炭鉱都市だった山田市との姉妹都市を締結していたが、山田市が合併し、嘉麻市になったことにより消滅。嘉麻市とは姉妹都市を締結していない。
市(イチ)
漢字として
- 意味
- マーケット、市場、買う、売る、商売、取引、まち、都市、という意味がある。
- 〔説文解字・巻五〕に「買賣するものの之く所なり」と、市場のこととある。
- 字形
- 諸説ある。
- 〔説文(段注本)〕には「市、垣有り。冂に从ひ、乁に从ふ。乁、古文の及なり。物の相ひ及ぶを象るなり。之の省聲」と、形声とある。ほかに、八+丂に従う之声の形声説(〔文源〕)、市場の標識の象形説(白川静)などがある。
- 音訓
- 音読みはシ(漢音)、訓読みは、いち、うる、かう。
- 規格・区分
- 常用漢字であり、小学校2年で習う教育漢字である。JIS X 0213第一水準。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。
- 意符
- 市を意符に持つ会意字に、鬧などがある。
- 語彙
- 市街・市況・市場・市井・市政・市中・市長・市民
関連項目
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