|
医学記事 医療や健康に関する相談は各医療機関へ |
インフリキシマブ(Infliximab)とは、関節リウマチやクローン病などの治療に用いられる分子標的治療薬である。先発医薬品の販売名はレミケード®。
インフリキシマブは、世界初の抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体である。アメリカ合衆国のセントコア社が開発し、日本では2002年からクローン病の治療薬として製造販売が開始された。2003年に関節リウマチの治療薬として、2010年に潰瘍性大腸炎の治療薬としての承認を得るなど、自己免疫疾患に対する適応が追加承認されている。2014年にはバイオシミラー(バイオ後続品)も上市された。
インフリキシマブ(Infliximab)はマウスとヒトのキメラ抗体(-ximab)であり、中和抗体によって作用が減弱する可能性や過敏反応を惹き起こす可能性がある。免疫抑制薬を併用すると中和抗体が発生しにくくなるため、関節リウマチの治療においてメトトレキサートが併用される。
2024年4月時点におけるレミケード®の適応症は下記のとおり。バイオシミラーの適応症は下線を引いて示す。ただし、いずれも既存治療で効果不十分な場合に限る。
インフリキシマブは抗TNF-α抗体である。TNF-αとは、免疫細胞のマクロファージなどが産生する炎症性サイトカインである。炎症応答に関与する転写因子NF-κBなどの発現を誘導し、炎症性サイトカインのIL-1、IL-6などの産生、IL-1受容体、IL-6受容体の発現を誘導するため、炎症を増悪させる。
インフリキシマブはマウス型抗ヒトTNF-α抗体の可変領域をもつため、可溶性および膜結合型のTNF-αに特異的に結合する。そして、TNF-α活性の中和作用、TNF-α発現細胞に対する傷害作用、受容体に結合したTNF-αの解離作用により、炎症応答が抑制される。
重篤な感染症や結核の患者への投与は、症状の悪化につながるため禁忌。さらに、多発性硬化症などの脱髄疾患、うっ血性心不全の患者への投与も禁忌である。
副作用として、免疫応答を抑制することに起因する敗血症、日和見感染症がある。また、投与中・投与後にインフュージョンリアクションが生じることがあり、多くは軽度の皮疹、嘔気、頭痛などにとどまり投与速度を緩めるなどの対策で対処可能だが、まれにアナフィラキシー様症状など重篤なものが生じることもある。投与後3日以上経過したのちに遅発性過敏症をきたすこともある。
インフリキシマブと作用点が同じ分子標的治療薬として、TNF-αに対するヒト型抗体のアダリムマブ(ヒュミラ®)やゴリムマブ(シンポニー®)、可溶性TNF-α受容体のエタネルセプト(エンブレル®)が上市されている。インフリキシマブは関節リウマチの治療においてメトトレキサートが併用されるが、これらはメトトレキサート併用が必須ではない。
掲示板
掲示板に書き込みがありません。
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/11(木) 13:00
最終更新:2025/12/11(木) 12:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。