ソウシハギ(Aluterus scriptus)とは、フグ目カワハギ科ウスバハギ属に属する海水魚である。
全長は最大で70cmから1mに達する大型のカワハギ類。沿岸の岩礁帯を好み、世界中の暖かい海に生息する熱帯性の種である。そのため本来日本では沖縄などの南日本に多かったが、海水温の上昇に伴い生息域が北へ広がっており、現在では石川県にまで達している。
同属のウスバハギと違い単独行動をし、藻やクラゲなどを食べて生活している。上物釣りの外道として釣り針に掛かることもあり、沿岸性のため釣り公園などでもしばしば見られる。
見た目はウスバハギやウマヅラハギに似ており、大型のカワハギ科の魚であることもあって今晩のおかずに最適に見える本種であるが、内臓に猛毒成分パリトキシンを含むことがあるため絶対に内臓を食べてはならない。
パリトキシンはフグ毒テトロドトキシンの数十倍もの強さを誇る極めて強い毒であり、加熱しても毒性は失われない。もともとはスナギンチャクやその共生者である褐虫藻に含まれる成分で、それを食べた魚に蓄積され、さらにそれを食べた人間が中毒するという経路を辿る。なおシガテラも同様の経路を辿って発生するため、古い文献ではソウシハギもシガテラ中毒を引き起こすとなっているものもある。
厚生労働省のデータによると、1953年から2016年までの間に44件129名のパリトキシン中毒例があり、うち8名は死亡している。これらは主にアオブダイによるもので、ソウシハギによる中毒・死亡例は報告されていないが、家畜が死亡した事故は発生している。
本州での目撃・捕獲例も増えてきたため、行政をはじめ各釣り場やインターネット上などで毒についての注意喚起がなされている。
2016年にはソウシハギを釣り上げた釣り人が肝を食べるとTwitterに写真付きで投稿し、それを見たユーザーが慌てて止めたことで命拾いをした事例があった。また、2018年にはスーパーでカワハギと誤って販売され、実際に購入した家族が肝まで食べてしまったが、幸い中毒は生じず肝を冷やした事例もある。
なお肉は無毒であり普通においしく食べられる。そのため沖縄などでは食用として販売されていることもあるが、よくわからないまま調理すると危険なので、慣れない人はソウシハギが釣れても食べない方が賢明である。
カワハギが最大で30cmほどの菱形の魚体であるのに対し、ソウシハギははるかに大型に育つ上に細長い体形をしている。ウマヅラハギやウスバハギは比較的大型に育つ上にカワハギよりも細長いが、ソウシハギは体表に蛍光ブルーの毒々しい芋虫のような模様を持ち、尾びれが非常に大きいため、皮がついている状態での区別は容易である。
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最終更新:2025/12/10(水) 09:00
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