マーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye 1939~1984)とは、1960年代から1980年代前半にかけて活躍したアメリカのソウル歌手である。
ワシントンD.C.で牧師の息子として生まれ、紆余曲折を経てモータウン・レコードに所属し、歌手デビューを果たす。
代表作は1971年に発表されたアルバム“What's Going On”。
このアルバムに収録されている同名の曲は、弟・フランキーからベトナム戦争に参加した時の経験を聞き、ベトナム戦線の悲惨な状況に衝撃を受けたマーヴィンが作成したものだと言われており、歌詞には明確な反戦メッセージが込められている。
アルバム“What's Going On”に収録されている他の曲も、“What's Happening Brother” や “Save The Children” など、当時の社会問題やアフリカン・アメリカンの連帯を訴えかけるものが多く、アルバム“What's Going On”はそれ自体が社会的なメッセージの込められたコンセプトアルバムとなっている。
もちろん、マーヴィンの曲全てがこうしたコンセプトの曲ではなく、“Let Get it On” や “Sexual Healing” のようなラブソングも多数ある。というより、マーヴィンの作品では“What's Going On” が異色作である。
初期のマーヴィンは「セクシーな歌声のバラードの歌い手」として人気を集めており、本人の繊細な性格[1]とあいまって、マーヴィンは「女性に人気のアーティスト」という位置付けだった。
そのため、“What's Going On” を発表する前には、モータウン・レコード側から「マーヴィンのキャラと全く違う、こんな社会的なアルバムを出しても売れるはずがない」と、ひと悶着あったと言われている。
しかし、“What's Going On” はダブルミリオンを超える売り上げを達成し、「アメリカ音楽史上における不朽の名作」(※“What's Going On” インナーより引用)とまで言われる評価を受け、ロック音楽誌「Rolling Stone」に「70年代を代表するベストアルバム」としても選ばれるなど、マーヴィンの生涯のキャリア・ソングとなった。
あれこれ説明するよりも実際にマーヴィンの歌声を聴いてもらった方が早いかと思う。とにかく名作である。
晩年のマーヴィンは、妻との離婚、麻薬の乱用、厳格な牧師の父親との対立など不幸な出来事が積み重なり、精神的に不安定な状況になっていたと言われている。
1984年4月1日、父親と激しい口論になった末、父親にプレゼントした猟銃で父親に射殺されるという悲しい結末で、マーヴィンは45年の短い生涯を閉じた。
左:流麗なグルーヴに乗せて、分かり合えず、戦争で無駄に喪われる人々の命を悼み平和な世界への模索を訴えた代表作"What's Going On"。
右:初期のマーヴィン・ゲイと、名パートナーであるタミー・テレルとのデュエット『エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ』。マーヴィンの歌う傑作ラブソング。
掲示板
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/21(日) 15:00
最終更新:2025/12/21(日) 15:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。