上杉景信とは (ウエスギカゲノブとは) [単語記事]

上杉景信（うえすぎ・かげのぶ　？～1578）とは、戦国時代の越後の武将で、常に上杉謙信（長尾景虎）に付き従った男である。初めは長尾景信と名乗る。通称は十郎。

概要

越後栖吉城主で長尾房景の子。越後長尾氏のひとつ・古志長尾家の当主で、古志（越）の十郎と呼ばれた。

上杉謙信の叔父にあたり（諸説あり）、一門衆筆頭格として謙信を支え続けた重臣である。が、謙信死後の御館の乱では長年のライバル・上田長尾家との対立から上杉景虎方につき、敗死した。

生涯

謙信の叔父として

古志長尾家は、越後長尾氏の中で一門衆筆頭格であり、父・房景の時代には、守護代・長尾為景（景虎の父）との婚姻によってさらに深い絆を結んでいた。一説には、長尾為景に嫁がせた房景の娘（＝景信の姉）が長尾景虎の生母（青岩院、虎御前）とも言われており、これが事実であれば景虎の叔父に当たる。その縁からか、早くから景虎を支持していたようである。

長尾為景死後、長尾晴景（景虎の兄）が家督を継ぎ、その病弱さ故に長尾景虎との家督争いが勃発。その際、すでに景信は有力な一門衆として景虎を支持。長尾景虎が家督を継承し、さらに正式な越後守護に任じられた時には、重臣として、また一門衆筆頭として名を連ねていた。

1561年、長尾景虎が関東管領上杉憲政から上杉の名跡と関東管領を継承した際、ともに上杉性に改姓している。以後、上杉十郎景信と名乗る事となる。

1575年の上杉家軍役帳では、上杉景勝・山浦国清（村上義清の子で山浦上杉家を継いだ）に告ぐ第3位として堂々と名を連ねている。1577年の家臣名簿でも越後衆筆頭扱いである。

戦功面はあまりはっきりしないが、上杉謙信の命で関山城を守るなど、ディフェンス面に期待が持たれていたようである。

上田長尾との対立と御館の乱

戦国期には越後長尾氏の中でも勢力争いが頻繁に起きており、特に景信の古志長尾家と長尾政景の上田長尾家は互いに領土争いを繰り返していたとされる。そのせいか、景信は上杉謙信死後の御館の乱において、上田長尾家出身の上杉景勝（政景の子）ではなく、上杉景虎（北条氏康の七男）に味方している。結果、山浦国清との戦いで景信は敗死してしまった。息子とされる上杉景満も乱で死去した。

古志長尾家の名跡は景信の上杉改姓時に河田長親が継いでいたが、長尾姓への改姓はしなかったため、名実ともに古志長尾家は断絶となる。

古志の十郎の謎

先述の通り、上杉謙信が改姓した際に景信もまた上杉姓を許された。ただ、どういった経緯なのかはよくわからない。一門衆筆頭（叔父）としての「格」によるものか、それとも既に断絶していた何らかの上杉氏の名跡を継いだのか、等の諸説が考えられている。

ここで一つの鍵になるかもしれないのが、彼の通称「古志の十郎」。実は古志長尾家の代々の当主の通称は「弥四郎」や「孫四郎」といったものが並んでいて「十郎」という名乗りは珍しい。

そして実は、以前反乱を起こして鎮圧された上条上杉家（越後上杉氏の庶流）は代々「十郎」を通称としている。という訳で、実は上条上杉家の名跡を継いで「十郎」を名乗ったのでは？という説もある。ただ同時代に上条政繁という上条上杉家の後継者が別にいて……結局、今のところ真相は不明。今後の研究が待たれる。

補足

「信長の野望」シリーズにおける長尾景信の能力一覧。なんとシリーズ皆勤賞である。

	軍事能力						内政能力
戦国群雄伝	戦闘			31			政治	67	魅力	80	野望	42
武将風雲録(S1)	戦闘			42			政治	58	魅力	67	野望	42	教養	63
覇王伝	采配	67	戦闘	52	智謀	43	政治	68			野望	32
天翔記	戦才	106(B)			智才	88(C)	政才	136(B)	魅力	67	野望	54
将星録	戦闘			47	智謀	59	政治	66
烈風伝	采配	32	戦闘	36	智謀	53	政治	63
嵐世記	采配	16			智謀	37	政治	48			野望	37
蒼天録	統率	16			知略	40	政治	54
天下創世	統率	18			知略	38	政治	54					教養	54
革新	統率	52	武勇	31	知略	43	政治	61
天道	統率	52	武勇	31	知略	43	政治	62
創造	統率	50	武勇	43	知略	47	政治	60