急行単語

キュウコウ

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急行(きゅうこう)とは、

  1. 急いで行くこと。(Ex:了解、現場に――します。)
  2. 公共交通機関などにける種別の一種。急行列車・急行バスなどの略。この稿で説明する。

概要

急行とは、列車バスなどで停・停留所を厳選して速達化を図った種別をす。
日本においては大きく分けて旧国鉄の流れをくむJRの有料急行、都市間輸送を体とする私鉄無料急行、急行バスとで大きく異なる。

JR(旧国鉄・鉄道省時代)の急行

歴史

戦前の急行

現在JRを走る急行は元をたどると鉄道省時代までさかのぼる。ごく初期の急行は現在快速列車に近い存在だったが、後に急行列車より速い列車として最急行という種別が登場する。この最急行は明治最後の年、すなわち1912(明治45)年には名前特別急行められ、速度サービス共にまさに「特別」なものとして独自の発展を見せていくことになる。
大正時代から昭和初期の戦間期においては戦前における急行列車の黄金期である。当時の特急列車は展望などを設けて威の発揚も兼ねた非常にな使用であったが、わずかに4種類(「富士」「」「」「」)しかなく当時の幹線での優等列車は急行列車がであった。
東京から東海道山陽を経由して下関まで向かう急行は関釜航路に接続し、朝鮮満州さらにはシベリア鉄道を経由しヨーロッパ都市へ向かう役割を果たしていた。
特急列車の走らなかった東北地方には特急に準じた設備を備えた車両が運行され、その一方東京神戸間を結ぶ列車は3等し、座席は1両のみという戦後寝台列車を彷彿とさせる仕様で、政治経済に関わる要人や各界の著名人が利用するこの列車名士列車異名をもっていた。
このように盛を極めた戦前の急行列車だが、太平洋戦争の勃発とその後の戦況悪化により優等列車は削減に削減を続けられ、しまいには東京~下関間にわずか1往復となってしまう。

戦後の急行

1945年8月15日終戦を迎えた日本だが、増える鉄道の需要に対して供給はまったく追い付いていなかった。
石炭・車両の不足などにより満足列車を運行することすらできず、1947年1月には戦中に残っていた1往復の急行すら止、優等列車が運行されないという異常事態に陥る。だが同年中に徐々に急行列車は増発されてゆく一方、戦前には走らなかったローカル線にも新設されていく。ちなみに、これら料を徴収する急行と電車区間を走る料不要の急行とを区別するために快速という種別が誕生する。
昭和30~40年代には旺盛な客需要に応じて多数の急行列車が運行された。この時代の特急戦前同様「特別な急行」であったため、庶民の味方として急行は日本で走り回った。この時期を戦後における急行の黄金期とみることもできる。
そんな第2の黄金期を迎えた急行列車だが、エル特急の新設や特急列車の大増発を行った白紙ダイヤ正(ゴーサント正)などにより行きが怪しくなる。急行列車のうち長距離列車については特急列車新幹線に格上げ、中距離列車については快速列車に格下げとすることで同時期の特急べて劣っていたサービスの向上を図ることとした、とされているがこの他に急行料を徴収していた列車特急に格上げすることで特急を徴収し赤字であった国鉄の経営善を狙っていたとする向きもある。
さらに1990年前後からは、従来の急行車両の座席よりも快適な転換クロスシートを装備した車両や、お古の特急車両を使用した快速列車が各地で次々と誕生し、私鉄高速バスなどの低価格競合路線のある路線を中心に投入されていく。このことが「急行」の存在にさらなる追い打ちをかけることとなった。
こうして特急快速などの普通列車に挟まれた中途半端な存在として急行列車は存在感をなくしていった。

近況

1987年国鉄分割民営化によりJRが誕生するが、わずかに残った急行列車は一部で新を導入されたり内設備の善が図られるも次々と国鉄末期同様の特急格上げ(急行「東海」など)や快速格下げ(急行「陸中」「みよし」など)がなされ、最後まで定期運行されていた「はまなす」が2016年3月止されたため、JRからは定期運行の急行列車が消滅し、急行は臨時列車のみの種別となった。

なお、臨時急行についても、毎年運行されるのはJR東日本の「ぶらり鎌倉号」「ぶらりお座敷鎌倉号」のみで、それ以外の急行はその年限りの列車となることが多い。

臨時列車に限り僅かながら「急行」が存在する理由は「特急車両を使用する有料列車として設定したいが、定期列車の合間を縫って運用したり、観光的のためゆっくり運転するなどの理由で速達性に乏しいため、特急と言うには相応しくない列車」である場合に、「特急」よりも「急行」という種別の方が使い勝手が良いためと考えられる。この「急行」は、種別こそ「急行」ではあるものの、いろんな意味で過去の「急行」のイメージとはかけ離れているものと言えよう。そういった急行も増収のために特急に格上げされたり快速に格下げしつつも着席保サービスを用意し定席料でしっかりお代を頂くスタイルになるものも増えたため現在臨時で急行を走らせているのはJR東海くらいである。

私鉄の急行

前述の中長距離の輸送を体とするJR(旧国鉄鉄道省)の急行と異なり、電車による高速・高頻度の都市間輸送を行う電会社が出発点であった私鉄の急行はまったく異なる歴史を歩んでいる。
運賃とは別に料を徴収する私鉄の急行は歴史上ほとんど存在せず、現在では一部の地方私鉄ぐらいでしか見られない。かつて大手私鉄では東武鉄道が有料急行を営業していたが、1999年3月りょうもうが、2006年3月しもつけが特急に昇格し列車種別から消滅した。
不要の列車は、利便性や停の違いを考慮して様々な種別が生している。

例1:急行よりも停が少ない列車・・・「特急」「快速急行」「快速特急快特)」「高速」「準特急」など
例2:急行よりも停が多い列車・・・「準急」など(ただし、後述の「例3」のケースが大半である)。
例3:途中から各駅停車に変更される列車・・・「区間急行」「準急」など。
※「急行」が途中から各駅停車に変更される路線の場合は、急行よりも各に停する区間が長い列車や、急行運転区間の停が急行よりも多い列車が「区間急行」や「準急」となる。いずれの場合も、途中で種別変更して運転する例は少なく、各駅停車区間は「すべてのが急行停」という扱いで急行のまま運転する、としている会社の方が多い。
また、名鉄西鉄などのように途中で「急行⇔普通」と種別変更することで「区間急行」や「準急」を設定しない会社もある(他社で例えると二日市以南各停の急行=「区間準急」、以南各停の急行=「準急」、西鉄久留米西鉄柳川各停の急行=「区間急行」に相当するが、いずれも途中で種別変更を行うことで使い分けられている。)
例4:時間帯・行き先が限定されている列車・・・「通勤急行」「直行」「区間急行阪神)」「空港急行南海)」「通勤快急京阪)」など
 
例1のようの上位の種別が存在する路線の急行は停が多く設定されている場合があり、「急行」とは言い難いことから「急いで行かない」「隔などと揶揄されることもある。路線によっては種別インフレ起こして特急快速急行はあるのにただの急行がない路線や鉄道会社も出てきている。

また、JR同様「快速」と「急行」が同時に設定されている線区も存在するが、上下関係は線区によってまちまちであり一概には言えない。

なお、生種別も含めた、急行の外国語表記は、各社とも頭を悩ませる問題である。
英語表記については、だいたい以下の5通りの対応に分かれるようである。

  1. そんな区別が必要なほど複雑に種別を分けていない
  2. あきらめる
  3. 複数の種別はまとめてしまう
  4. まじめにそれぞれを区別した名前をつける
  5. 急行などというものは存在しない

バスの急行(急行バス)

一般を走る路線バスのうち停する停留所を厳選して通常の路線バスより時間を短縮したものを急行バスとして運行することがある。高速バスと同じ車両を使用したもの(岩手県北バス106急行など)と路線バスと同じ車両を使用したもの(都バスなど多数)に大別される。
このうちさらに停まる停留所数の少ないものを「特急バス」と称することがある。

高速道路を走る高速バスにおいても急行バスとして運行しているものは多いが、高速バスにおける急行バス高速バスの中でも最低ランク鉄道なら各駅停車相当)であることがほとんどである。路線バスべて急行という意味を持たせていると考えられる。なお、昭和30年~40年代の高速路線バスには現在の「特急バス」に相当する「特急バス」>現在の「特急バス」に相当する「急行バス」>全ての停留所に停まる「急行バス(当時は種別無印)」の3つがあり、急行バスにも通過する停留所が存在したのである。しかし、優等種別の度重なる停停留所増により、いつの間にか現在のような形となってしまった。

鉄道にも「サービス向上を名とした優等種別の停数増加」が頻繁に起こっていることを鑑みると、「高速路線バスにもサービス向上を的とした優等種別の停停留所の増加が起こり、それが鉄道よりも過剰に行われた結果、通過する停留所のある急行バスがなくなり、全ての急行バス各駅停車となる事態が起きてしまった」と考えることができるかもしれない。

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最終更新:2024/03/19(火) 19:00

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