佐野房綱とは (サノフサツナとは) [単語記事]

佐野房綱（さの・ふさつな　1558 ～ 1601）とは、下野国の戦国武将、剣術家、大名である。

概要

初め天徳寺宝衍と号して出家の身にあった。甥の佐野宗綱の死後、後継者を巡る争いで親北条派に敗れ、豊臣秀吉に仕える。その後、小田原征伐で佐野氏の領地を受け継ぎ、中継ぎとして大名の座についた。

剣術の達人であったという。

生涯

若き日

佐野豊綱の子、あるいはその息子である佐野昌綱の子であるといわれる。1530年代の生まれとも。もう滅茶苦茶だな…。ここでは豊綱の子、昌綱の弟として扱う。
初め剃髪し、天徳寺宝衍（てんとくじ・ほうえん）と名乗っていた。なお天徳寺了伯（りょうはく）という名も伝わるが、当時本人が書いた書状には宝衍と記されており、了伯の名は後世の文章に登場する名前である。

剣術については、塚原卜伝から剣を学んだとの伝承が伝わる。昌綱の代に卜伝は3回目の諸国修行に出ており、その最後に佐野館に滞在。この時天徳寺は弟の祐願寺と共に剣を学び、武芸者として名を馳せたという。ただしこの伝承では昌綱の子になっているので注意が必要。

また足利学校で学び、学問にも通じていたようである。「言継卿記」には京都で蹴鞠に参加する「天徳寺」の姿が描かれているが、これは1548年の事なので生年が矛盾してしまう。

佐野家では外交僧のようなことをしていたようで、各地に外交文書が残る。一方、出奔して織田信長に仕えていた、諸国を回っていたとの説もあり。

武田氏が滅亡して滝川一益が上野に入ると、その与力となって活動した。しかし間もなく本能寺の変が発生。一益が伊勢へ戻ると宝衍も佐野宗綱の元へ戻った。

秀吉の下へ

1585年の元日に佐野宗綱が単騎突出して討死すると、後継男子のいなかった佐野家では後継者を巡って争いが起こる。宝衍や山上道及は佐竹氏からの養子を主張するが、「この不安定な情勢下もあるので北条氏から養子を取ろう」派との争いとなりこれが11か月も続く。最終的に北条氏が介入してきた事で北条氏忠（北条氏康六男）が跡を継ぎ、宝衍らは出奔。豊臣秀吉に仕えることになる。